注意点を知らないと住み替えで損をする

ライフスタイルの変化によって、自宅の住み替えが必要になることがあります。
住み替えでは、自宅の売却と新居の購入を同時期に行う必要があり、損をしないためには事前に住宅ローンや税金、売買タイミングなどの様々な知識をつけておく必要があります。<>
この記事では、住み替え時の不動産の売却と購入について、後悔をしないための基礎知識を徹底解説します。
住み替えは2種類のルートから選択

住み替えでは、持ち家の売却と新居の購入の2つの大仕事をこなす必要があります。進め方として、売却から行う「売り先行」か、購入から行う「買い先行」の2つのルートがあります。
買い手をじっくり探す「売り先行」
自宅の売却活動から始める売り先行の場合、一般的には以下のフローで進めていきます。
<売り先行の進め方>
- 自宅の売却査定、不動産会社と媒介契約
- 売却活動を行う。おおよその売却価格を把握
- 新居購入のための資金計画を立てる
- 自宅売却のための売買契約締結、手付金の受領
- 新居の本契約
- 売却した物件の引き渡し、新居の住宅ローンの契約
- 必要に応じて仮住まいに引っ越し
- 新居の引き渡し、新居への引っ越し
売却する自宅の査定を行ったのち、不動産会社と媒介契約を結んで売買活動を進めます。その後、買い主候補が現れ、おおよそどれくらいの価格で売却ができるか検討がついたタイミングで、今後は新居購入のための資金計画を立て始めます。売却の売買契約を結んで手付金を受け取った後に、新居を本格的に契約していく流れとなります。
売り先行のメリットは、おおよその売却価格が想定できてから新居の購入を考え始めるため、堅実な資金計画が立てられる<>点です。また、物件の売却を軸に進めていくために、いつまでに売らなければいけないという期限がない点もメリットの一つでしょう。売り急ぐ必要がないため、相場よりも安く売ってしまって損をする可能性を減らすことができます。
新居探しを妥協しない「買い先行」
持ち家の売却から始める売り先行に対し、新居購入の資金計画や見学からスタートしてしまうのが買い先行型の進め方です。
【買い先行の進め方】
- 新居購入のための資金計画・見学(内覧)
- 新居の目処をつける
- 自宅の売却活動を始める(査定・媒介契約・売却活動)
- 新居の売買契約を結ぶ
- 新居の住宅ローンの契約
- 自宅売却の売買契約を結ぶ、手付金の受領
- 新居の残金の支払い、新居の引き渡しと引っ越し
- 自宅売却価格の残金を受領し、買い主へ引き渡し
買い先行の場合には、じっくりと新居を選び、新居の目処がついてから売却活動を始めます。持ち家の売却活動と並行して、新居購入の方では、売買契約を結び、住宅ローンの契約まで進めてしまいます。
買い先行の場合には、一時的に2つの住宅を所有し、住宅ローンを利用する場合には2つの住宅ローンを抱えている状態になります<>。新居への引っ越しを済ませてから、持ち家の引き渡しを行う手順となります。
メリットは、妥協せずに新居を選ぶことができる<>点です。さらに、売却する家の引き渡しの前に新居への引っ越しを済ませるので、仮住まいが不要な点も大きなメリットでしょう。
住み替えによる4つのローンの注意点

売却、購入どちらにおいても住宅ローンを利用する場合には、気をつけなくてはならないポイントがあります。住み替えにおいて、あらかじめ把握しておきたい住宅ローンの注意点をご紹介します。
二重ローンは審査に通っても苦しい生活
特に買い先行で住み替えを進めた場合、これまで住んでいた持ち家と新居、2つの家の住宅ローンを同時に返済しなければならない場合があります。この状態を二重ローンと言います。
二重ローンの場合、高い返済能力が必要であることが前提となり、2本目の住宅ローンの審査基準が厳しくなります。仮に二重ローンが組めたとしても、これまで住んでいた家のローンの支払いが終わるまで、金銭的な負担が大きい状態になることへの覚悟が必要<>です。
住み替えローンで借金だけが残るリスク
住み替えを行う場合、これまで住んでいた家の住宅ローンは、一般的に売却して得た利益で完済します。しかし売却益が少ない場合、住宅ローンが完済できないことがあります。このような場合、住宅ローンの残債を新しく組む新居の住宅ローンに上乗せして支払っていく、住み替えローンを利用する手があります。住み替えローンは、通常の住宅ローンよりも審査が厳しいものの、多くの金融期間が提供しています。
住み替えローンは便利な一面、ローンの担保となる新居の価値よりも高い額のお金を借りることから、リスクが高くなります<>。万が一返済が滞ってしまうと、新居を売却しなければなりませんが、売却しても住み替えローンが全額返済しきれないことが多く、借金だけが残ってしまうという怖さがあります。
そのため、住み替えローンの場合には特に、無理のない返済計画を立てて、十分に検討して申し込む必要があります。
新居購入の交渉のためローンの仮審査
新居購入に際し住宅ローンを利用する場合には、ローンの仮審査を行っておきましょう<>。仮審査とは、住宅ローン本審査の申し込み前に受けることができる審査です。
本来、住宅ローンは物件が自分の所有物になったときに申し込みを行います。そのため、いざ新居を決めて住宅ローンを申し込んだにも関わらず、ローンが組めないということになると契約破棄となってしまい困ってしまいます。すでにこれまで住んていた家の売買契約が済んでいる場合、住む家がなくなってしまうこともあります。
ローンの仮審査を受けて審査が通っていれば、新居購入の交渉がスムーズに進められることもあります。また、特に住み替えの場合、審査が厳しい二重ローンや住み替えローンとなる場合もあるため、できるだけローンの仮審査をしておきたいものです。
住宅ローンの本審査の審査結果が出るまでは、1カ月程度の期間を要しますが、仮審査は2日〜1週間程度で結果が出ます。なお仮審査に通っていても、本審査で落とされることもあるため、注意が必要です。
新しいローンは返済期間を短くする
住み替えの場合、新居の住宅ローンの返済期間に気をつけなければなりません。新居の住宅ローンの返済期間は延ばさないようにしましょう。
2軒目の家を買う人は40〜60代の人が多いというデータがあります。仮に40歳で35年の住宅ローンを組んだ場合、返済は75歳までかかることになります。
70代以降も、現在と同じ収入がある保証はありません。住宅ローンが長引くと老後資金が貯められなくなってしまいます。
返済期間が短い程ローンで支払う利子も少なくなります。リスク回避のためにも、遅くとも定年を迎える前には返済を完了させる計画を組む<>ことをお勧めします。
住み替えで家を売る際の6つの注意点

住み替えでの自宅の売却の場合、特に気をつけておきたいポイントがあります。
ここでは、売却に際して気をつけておきたい6つの注意点を解説します。
一括査定を必ず利用して適正価格をつける
自宅を売却する際、適正価格で売却を行うために相場を把握しておきましょう<>。相場を知らないと、安く価格を設定してしまい損をしたり、逆に高い価格をつけてしまうことでいつまでも売れないことがあります。
売却したい家の相場を知るために、一括査定サイト利用することをおすすめします。一括査定サイトを利用することで、無料で複数の不動産会社から査定をつけてもらうことができます。提示された査定額を比較することで、大方の相場を把握することが可能です。
さらに、査定をつけてくれた不動産会社自体を比較することで、その不動産会社の強みや得意分野(マンション・戸建て・土地)などを把握することもできます。それにより、自分の売却したい物件に合った不動産会社を選べるようになり、売却の成功確率が上がるというメリットもあります。
売り先行で仮住まいの出費
売り先行で住み替えを進める場合、これまで住んでいた自宅の引き渡しと新居への入居の間が空いてしまい、仮住まいが必要になる場合があります。自宅の売却や新居の購入に気を取られて、仮住まいの準備を忘れてないように注意をしましょう。
仮住まいが必要な場合、物件の売却と新居の購入と同時並行で、仮住まいを探す手間がかかります。また、仮住まいの家賃や、2回分の引っ越し費用などの大きな出費が必要<>なケースもあり、事前に資金を準備しておくと安心です。
買い先行で家の売値が高くできない
先に新居を購入してしまう買い先行で進める場合には、自宅を売り急いでしまわないように注意が必要です。
先に新居を購入してしまうと、新居の入居までになんとか売却を終わらせてしまいたいという気持ちになることがあるでしょう。急いで売ってしまわないと二重ローンが発生し、金銭的な負担も大きくなりますので心理的に焦りがちです。
焦ってしまうと売り急ぐことにつながり、相場よりも安く売ってしまう<>傾向があります。早く売りたいがために、安く売ってしまうと結果として金銭的に大きな損をしてしまうことがあるため、買い先行の場合でもできるだけ余裕を持って早めに売却活動を始めることをおすすめします。
短期で売るなら買取保証をつける
家の売却を長期戦にしたくない場合、買取保障をつけるという選択肢もあります。買取保証とは、仲介期間が過ぎても家が売却できなかった場合、不動産会社が買取をしてくれる制度のことです。
買取保証があれば、これまで住んでいた家を早めに現金化でき安心です。しかし、仲介で買い主が見つかる場合よりも家の売却価格は安くなる傾向にあります。
連動契約に注意、買取保証の期間切れをチェック
不動産売買には、2つの取引を連動させる連動契約というものがあります。例えば、買い替えの場合、新居の購入とこれまで住んでいた自宅の売却を連動させることができます。自宅の売却を前提に新居の購入を行うことを意味し、万が一自宅が売却できない場合には、新居の購入も連動して行われない仕組みです。
この連動契約が自分の買い替えで適用される分には大きな損害はありません。しかし、自分の売却する物件の購入希望者が、買い替えによる連動契約をつけている場合ではどうでしょうか。
購入希望者の旧居の物件に買い手がつかないと、連動契約により自分が売却したい物件の売却が白紙になり住み替えができなくなる場合があります。
さらにこの場合、買取保証の期間切れにも気をつけましょう<>。先ほどご紹介した不動産仲介会社による買い取り保証には期限があります。買取保証の期間が切れてしまっていると、自分の物件売却の救済措置もなくなってしまいます。
少ないケースではありますが、このようなこともありますので相手方の連動契約の有無や、不動産仲介会社の買取保証の期間をチェックしておきましょう。
加入している保険は自動解約されない
家の売却のあと、忘れがちなのが保険の解約です。火災保険や地震保険などは、売買契約を行ったからといって自動的に解約されない<>仕組みになっています。途中解約となった場合、支払った保険料の一部は戻ってきます。
また、解約のタイミングは引き渡しの後にしましょう。万が一、保険を解約から引き渡しの間に火災や地震などが起こってしまった場合、大変な損害になってしまいます。
住み替えで使える5つの税金制度を忘れない

住み替えに限らず、家の売買で忘れてはいけないのが税金です。家の売却や所有に関する税金は時に高額になりがちですが、様々な控除の仕組みがあります。
住み替え時に使える5つの節税方法を紹介します。
住み替えで売った家に3000万円の特別控除
不動産を売却した際、その不動産がマイホーム(居住用財産)だった場合に出た利益(譲渡所得)は、最大3,000万円まで控除を受けることができます。
この特別控除はその物件の所有期間に限らず適用されます。ただし、適用を受けることができる期間が決まっており、その物件に住まなくなってから3年が経過する日の属する年の12月31日までに売却をすると控除を使うことが可能です。
例えば、2019年3月31日まで住んでいた物件であれば、2022年の12月31日までに売却ができれば控除を受けることができます。
家を所有してきた期間で税金は変わる
経費などを差し引いて、さらに3,000万円の特別控除を利用しても、利益(譲渡所得)が出ている場合には、所得税と住民税、復興特別所得税からなる譲渡所得税を納めることになります。
この譲渡所得税は、家を所有した期間によって税率が変わります。所有が5年超の場合の利益は長期譲渡所得、5年以下の場合には短期譲渡所得となります。
所得税 | 住民税 | 合計 | |
長期譲渡所得(5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以下) | 30.63% | 9% | 39.63% |
※所得税の税率には、復興特別所得税「所得税×2.1%」が上乗せしてあります。
上記の表を見てもわかるように、長期譲渡所得の方が税率が優遇される<>仕組みです。売却によって大きな利益が出ると想定される場合には、所有期間が5年を超えてから売却をした方が良いでしょう。
税金の支払いを先送りできる買い替え特例
特定の条件に当てはまるマイホームを売却した場合、「特定の居住用財産の買換えの特例(買い替え特例)」を使うことができます。
買い替え特例に該当する条件としては、売却した年の1月1日時点で土地と家の所有期間が10年を超えていることや、住んでいる期間が10年以上であること、平成29年12月31日までに譲渡したもの、利益が1億円以下であること、居住用部分の床面積が50㎡以上、などです。
買い替え特例を使うと、譲渡益に対する税金の支払いをを先送りにすることが出来ます。しかし、トータルで支払う税金は減らない点や、すでにご紹介した3,000万円の特別控除と併用ができない点に注意が必要です。
税額に控除が適用される住宅ローン減税
新居を購入する際に使うことができるのが、「住宅ローン減税」です。住宅ローン減税は、家の購入時に住宅ローンを利用する場合、10年目まで所得税から最大40万円/年の控除が受けられるものです。
適用となるローンは、物件の購入(新築・中古どちらも可)によって借り入れるローン、またはリフォームによって借り入れる住宅ローンです。物件はマンションでも問題ありません。
2019年10月に消費税が10%に増税となると、適用期間が3年間伸び、13年目まで控除を受けることが可能です。
繰越控除で売却損でも節税
家を売却した場合、売却によって損失が出るケースも多いです。売却によって損失が出た場合に使える特例があります。この特例では最大3年間、不動産の売却損を給与所得から控除することが可能です。(通称繰越控除)
繰越控除を受けるためには、売却によって損失が出た場合にも確定申告を行う必要があります<>。売却を行った翌年の確定申告のシーズン(2月16日〜3月15日)に必ず申告を行いましょう。
給与に課税される税金からの控除のため、給与天引きで納めている税金が返ってくる形になります。
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全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多い<>ので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。
注意点を守って住み替えの手続き

住み替えにおけるローンや売却、税金の注意点を紹介しました。
家に関する手続きは、購入や売却どちらかだけでもとても手間がかかりエネルギーを使います。住み替えとなると、同時期に新居の購入とこれまで住んでいた売却を考え、進めていかなくてはなりません。また、平日仕事が忙しい人にとってはとても負担がかかることでしょう。
スムーズに住み替えを進めていくためには、実際に行動に移す前に、ポイントを抑えておくことが大切です。特にこの記事で紹介した住宅ローンや家の売却、税金についてはしっかり知識をつけて臨むと、納得のいく住み替えが叶う可能性が上がるでしょう。
また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。
参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!