不動産売却の基礎知識

住み替えによる税金のしくみ。控除を利用して節税対策しよう

262 Views

住み替えをするなら税金の節税

家を新たな家に住み替える時にも税金はかかってきます。なるべくなら税金を払いたくないものですが、少しでも余計なお金をかけたくないという場合には住み替えによる控除や特例を最大限に利用することです。

今回は、住み替えによってかかる税金の種類の解説と適用できる控除や特例のしくみについて解説していきます。どんな時でも自分が損をすることがないよう、しっかり頭に入れて節税対策しましょう。

そして今回は、確定申告も必要になってきます。確定申告を忘れてしまった時なども含め、注意点についても解説していきますので、参考にしてください。

住み替えで発生する6つの税金

家を住み替えるとかかる税金は全部で6つあります。ここでは、なぜその税金がかかるのか、税率に関しても詳しく解説していきます。

まずは6つの税金を種類、税率、内容という形でまとめてみました。まずはご覧ください。詳しい内容はそれぞれ後述していきます。

税金の種類 税率 内容
不動産取得税 4% 土地・建物購入の際にかかり、地方税の1つにあたる税金のこと。
譲渡所得税 所有期間で変わる。

5年以下は30%

5年超え10年以下は20%

10年超えは14%

購入時より売却時が上回れば発生する。所得税・住民税が課税される。
復興特別所得税 一律2.1% 東日本大震災の復興のための税金で2035年までかかる税制。
贈与税 10%~55% 基礎控除額110万なので贈与受けた金額が110万円以下なら申告・納税不要。超えるなら贈与税かかる。
登録免許税 新築、0.4%

中古、2.0%

ローン借入、0.4%

所有権登記する際にかかる税金で、税額を土地・建物の固定資産税評価額に税率かけて計算する。
印紙税 200円~60万円 契約金額によって変わる。

住み替え先の家にかかる不動産取得税

土地や建物を購入の際にかかる税金が不動産取得税です。家に住み始めた後に自治体から納税通知書が届きます。地方税という扱いですので納税先は各都道府県です。

税額は「課税標準額×税率」で出され、課税標準額とは不動産の価格のことを指しています。売買価格ではなく、固定資産税評価額で決まります。評価額は売買価格よりは低く、土地は時価の7割、建物は5割~6割とされています。

そして税率は原則的に4%ですが、土地・住宅は2021年3月31日の取得までは3%とされています。

古い家を売った利益に譲渡所得税

住み替えの際、これまで住んでいた家を売却した時に得た利益に譲渡所得税がかかります。この場合、購入時よりも売却時の方が高かった時に発生し、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。

税率に関しては、売却した家の所有期間によって変わります。5年以下の所有期間だった場合は税率30%、5年超え10年以下で20%、10年超えになると14%です。

2035年まで課税される復興特別所得税

2011年に起きた東日本大震災により、2035年まで課税されるのが復興特別所得税です。復興のための税金であり、所得税を納める義務がある人すべてに課税対象です。

復興特別所得税の税率は一律2.1%で、譲渡所得税のように家の所有期間によって税率が変わるということはありません。復興特別所得税の計算は以下のようになります。ポイントとしては基準所得税額を求めてから2.1%を乗じるということです。

基準所得税額は、税額を計算してそこから税額控除を差し引いた額のこと。税額控除額は課税所得額によっても異なります。例をあげて説明しましょう。

たとえば課税所得額が170万円とすると、196万円以下の場合は税率5%で控除額が0円なので、「170万円×5%=85,000円」です。控除は0円なので算出された金額が基準所得税額となります。

その次に、基準所得税額に復興特別所得税の税率2.1%をかけると、「85,000円×2.1%=1,785円」となり、この金額が復興特別所得税の金額です。

住み替え先購入の資金援助で贈与税

住み替えの際に購入資金を援助してもらった場合、1月1日~12月31日に個人から個人へ財産の贈与を受けた場合に課税されるのが贈与税です。

ただし贈与税は、基礎控除額が110万円あります。もし贈与を受けた金額が110万円以下なら申告はおろか納税する必要もありません。110万円超える場合は、控除額110万を差し引いて計算します。贈与税の税率は、基礎控除後の課税価格によっても異なり、10%~55%です。

家を所有するときにかかる登録免許税

住宅を購入すると、購入者に所有権を登記します。登記手続きしますが、その時に国に納税するのが登録免許税です。税額は土地、建物の固定資産税評価額に税率をかけて計算します。

新築の場合は固定資産税評価額が付けられていないので、課税標準価格という法務局で定められるものに税率をかける形です。そして、登記の種類によって税率は異なります。詳しくは以下の通り。

登記の種類 税率
新築の場合、所有権保存登記 0.4%
中古の場合、所有権移転登記 2.0%
ローン借入の場合、抵当権設定登記 0.4%

売買契約書の作成に印紙税

売買契約の際に作る契約書に印紙税がかかります。金額は契約した金額によって変わり、1万円未満は非課税、契約金額記載ないものは200円、最低は1万円以上10万円以下で200円、最高でも50億円超えで60万円です。

住み替えに使える税金の控除や特例

住み替えの時には6つの税金がかかるので、何かとお金がかかってしまいます。しかし、住み替えの際に使える控除や特例を利用することで少しでも節約することができるでしょう。控除や特例について詳しく解説していきます。

譲渡益の税金支払いを先延ばす

2019年12月31日までの売却によって得た譲渡益の課税を、一定の要件を満たすことで支払いを先延ばすことができます。しかし、非課税になるわけではありませんので要注意です。

これは特定の居住用財産の買い替えの特例です。例をあげると、1,000万円で購入したいえを5,000万円で売却して7,000万円の家に住み替えた場合、普通なら4,000万円の譲渡益が課税となります。

しかし特例の適用を受けることで、住み替えた家を将来的に譲渡した時まで譲渡益に対する課税を先延ばしすることができるのです。特例を受けるための要件は以下を参考にしてください。

参考:特定のマイホームを買い換えたときの特例/国税庁

売却した家の利益は3000万円まで控除

家を売却すると得る利益は、3,000万円まで控除されます。この控除は、自分が現在住んでいるか、住まなくなって3年経過する日の年の12月31日までに売却すると適用されるものです。この控除は他の控除を受けている場合は利用できないので要注意です。

売却で損失がでたら繰越控除

ローン残債がある家を売却して損失が出た時に利用できる特例が繰越控除です。損失分を給与所得から控除することができ、申告をすることで税金が戻るしくみです。

さらに控除しきれなかった場合は、最大で3年以内に控除を受けられますので給与で課税される税金を下げることができます。この控除を受けるには、要件を満たす必要があります。

  • 譲渡した年の1月1日における所有期間が5年超えであること
  • 住み替えした家の床面積が50㎡以上であること
  • 住み替えた家について10年以上の住宅ローンを組むこと

10年間以上適用できる住宅ローン減税

新築や中古の家・マンションを購入するなどのように住宅取得した場合は、住宅ローン減税を利用するのが一般的とされます。10年以上のローンを組むことが要件となり、その他の要件も難しいものではありません。利用しやすい減税制度と言えるでしょう。控除される税率は1%、そして最大控除額は年で40万円となっています。

そして2019年10月1日から消費税が10%に上がりますが、それにより控除期間が3年間延長されました。つまり、消費税が上がることによる負担を住宅ローン減税によって還元されるということです。ちなみに住宅ローン減税の要件については以下を参考にしてください。

参考:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)/国税庁

節税できる住み替え方法のコツ

何かと税金がかかり、気づいたら結構な出費になってしまうことも考えられます。そういった時、節税対策としてのコツはあるのでしょうか。続いては、節税できる住み替えのコツを紹介していきます。

売買契約書のコピーで印紙税を半額

住み替えの際に、売買契約書にかかる印紙税を節約することができます。売買契約書はコピーでも良いため、原本を1通のみとして貼り付ける印紙税を半額にすることができるのです。

ただし、自己判断でそうするのではなく、買い主および不動産会社と相談してからにしましょう。

もれなく経費を計算して譲渡所得を減らす

不動産の売却には、仲介手数料や測量費、印紙代等がかかってきます。仲介手数料は宅建業法という法律で上限額が決められており、「売買金額×3%+6万円」で算出されます。

しかし、値引きできる場合もあるため、まずは不動産業者に相談してみるのも良いでしょう。これらの必要経費諸々をもれなく計算し、譲渡所得を減らすことで節税対策ができます。

資金援助は年単位で計画

住み替えの際、資金援助してもらうと贈与税が発生しますが、資金を分割して贈与することで節税対策となります。その年の1月1日~12月31日までの間に年に贈与を受けた財産の合計から、基礎控除額110万円を差し引いた金額に課税されます。つまり、110万円以下の場合は申告しなくてもよいのです。

ただし、同じ金額での分割贈与は一括贈与扱いとなります。少しでもよいので贈与金額にばらつきをもたせることをおすすめします。

住み替え時期の工夫で不動産所得税を節税

不動産取得をするとかかるのが不動産所得税ですが、不動産所得税の通知が届くのは約6カ月かかります。そうなると、住み替える家の購入は1年の後半以降にすることで、納税を翌年にすることができます

不動産や車などの高価なものは年々価値が下がっていきますが、減った分の価値を計上して償却することを「減価償却」といいます。そんな減価償却が無駄にならずに済むのがこの節税対策です。

住み替え時の売却は一括査定サイトを利用することがおすすめ

今の家から住み替える時、今の家を売却するという形ですが売却には不動産業者選びが重要になってきます。全国にさまざまな不動産業者があるわけですが、その中でも信頼できる業者を見つけないと納得のいく取引はできないでしょう。

そこでおすすめなのが無料一括査定サイトです。ただし、査定額はその金額で売却できるわけではありませんので、査定額だけで選ぶのはやめましょう。

一括査定サイトを利用する目的は、売りたい不動産の売却相場を知るためでもあります。相場を知れば、大体の売却益を計算できます。一括査定サイトを利用することで、複数の不動産会社を一括で比較できる上、目的に合わせた不動産会社を見つけることができるため、ぜひ利用してみましょう。

おすすめの一括査定サイト3選

サイト名 利用者数 対象エリア 提携会社数 同時依頼数
イエウール 1,000万人 全国 1,700社 6件
イエイ 400万人以上 全国 1,700社以上 6件
リビンマッチ 440万人 全国 1,400社 6件

イエウール:全国1,700社以上に対応

地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。

利用者数 1,000万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6社
取引件数 非公開
顧客満足度 98%
運営会社 株式会社Speee (Speee, Inc.)

サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。

イエイ:お断り代行サービスを提供

大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。

利用者数 400万人以上
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6件
取引件数 1,000件以上
顧客満足度 97%
運営会社 セカイエ株式会社

都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。

なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。

リビンマッチ:利用したいサイト第1位

都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。

利用者数 440万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,400社
同時依頼数 6件
取引件数 14万件(年間)
顧客満足度 98%
運営会社 リビン・テクノロジーズ株式会社

全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。

住み替え時の確定申告の注意点

毎年対象者が必ず行うものといえば、確定申告です。住み替えに関しても確定申告をする必要があります。ここでは、確定申告での注意点を解説していきます。

住み替えでの利益に関係なく申告をする

住み替えで以前の家を売却して利益を得た場合はもちろんのこと、仮に利益が出なかったとしても確定申告はしておきましょう。利益が無ければ申告は必須というわけではないのですが、控除や節税をするためなら申告しておくのがベストです。

確定申告書作りで迷ったら無料相談

確定申告は自分で書類作成する方法と税理士に依頼する方法がありますが、基本的には自分で行うことが一般的とされています。確定申告のする際、控除などで申告適用漏れがあったら損となります。

確定申告の時期になると、各市町村の税務署等で無料相談が行われているため、利用してみると申告漏れなどを起こさなくて済むでしょう。

申告忘れは対処が遅いと重税

確定申告を忘れたりなどして遅くなってしまうと、無申告加算税と延滞税が発生します。しかし、期限が過ぎた後の申告を1カ月以内で自主的に行った場合等に限っては無申告加算税は払わなくてもよいことになっています。

そして延滞税は、法定納期限までに完納しなかった場合と期限後申告書または修正申告書を提出した場合に納付しないといけない税がある場合等にかかります。延滞税の計算の仕方については以下のサイトを参考にしましょう。

参考:延滞税の計算方法/国税庁

住み替えたら税金を確定申告で節約

家を住み替えるという時には6つの税金がかかります。「不動産所得税」「譲渡所得税」「復興特別所得税の」「贈与税」「登録免許税」「印紙税」です。税金はあまり払いたくないものですが、節約もできる場合もあるので節税対策のためにも確定申告を忘れないようにしましょう。

また、住み替えの際に売却した家の利益は3,000万円までの控除、もし売却で損失が出た場合は繰越控除があります。これらの控除や特例は、他の控除等と併用することはできませんが、利用できるものは利用して、少しでも余計なお金がかからないよう節税対策をしていきましょう。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!