急な出費に困らないように事前に把握しておこう

一生住むつもりで熟考して購入したマイホーム。しかし、家族状況の変化や転勤などで、住み替えが必要になることもあります。
住み替えは、今住んでいる家の売却活動と新居の購入を同時に行わなくてはなりません。実際に住み替えに向けて準備を進めると、住んでいた家の売却活動でも新しい家の購入でも、様々な費用がかかることに気づきます。
それにより、当初は想定していなかった大きな出費がかかることがあります。必要な出費が発生したときに困らないよう、事前に住み替えに必要な費用を把握しておきましょう。
住み替えにはさまざまな費用が発生

不動産売却を行う場合、売却によって入ってくる利益の方に目が行きがちですが、売却を行うためには不動産仲介料や税金、抵当権抹消のための費用など、様々な費用がかかります。
さらに、住み替えの場合には住んでいた家の売却と新居の購入を両方行うために、費用はさらに増えてしまいます。これらの費用の中には、不動産売却による利益の入金がある前に支払うものもあります。
そのため、住み替えを考え始めた段階で、余裕を持って資金の準備をしておくことが必要です。
不動産の購入時と売却時にかかる費用について

まずは、新居の購入時と今住んでいる家の売却、それぞれにかかる費用の全体像を把握しましょう。
不動産の購入時にかかる費用
住宅を購入する場合、購入する不動産の費用だけでは済まず、それ以外にもお金がかかります。
例えば、購入する場合は頭金として物件価格の約2割ほどを準備しなければなりません。その他にも、不動産会社への仲介手数料や住宅ローンの借入費用、不動産登記費用などのさまざまな初期費用が発生します。
購入段階で必要な費用 | 頭金:物件価格の約2割ほど
その他の費用:仲介費用、登記費用、各種税金など |
購入後にかかる費用 | 住宅ローン:住宅そのものの購入費用。毎月返済していく
住宅を維持するための費用:固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金など |
また、新築マンションや一戸建てを購入する場合、「建物」部分に消費税がかかります。販売価格は「税込み」で表示されています。一方で土地や中古住宅(個人が売主の場合)には消費税はかかりません。
不動産の売却時にかかる費用
不動産を売却する場合、売主が支払わなければならない費用がいくつかあります。
例えば、売買の仲介を依頼した不動産会社への仲介手数料、売買契約書にかかる印紙税、抵当権抹消登記費用、売却益がでれば譲渡所得税の支払いも必要です。場合によっては引越し費用なども準備しておく必要があります。
売却時に必要な費用 | 仲介手数料:仲介を依頼した不動産会社へ支払う
その他の費用:印紙税、抵当権の抹消費用、引っ越し費用など |
売却後にかかる費用 | 税金:譲渡所得税(譲渡によって得た利益にかかる費用)の確定申告を行う |
不動産売買で支払う仲介手数料について

不動産売買を行う際には、不動産会社に仲介を依頼して売却先(買主)を探すのが一般的です。ここでは、不動産会社に支払う仲介手数料について解説します。
売買契約が成立して発生するもの
不動産会社に支払う仲介手数料は、成功報酬型で売買契約が成立した場合のみに支払います。
いくら相談に乗ってもらっても、売却のために家の広告を出そうとも、最終的に売買契約が成立しなかった場合には不動産会社の仲介手数料の請求権が発生しないため、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
また、仲介手数料を支払うタイミングは、一般的には売買契約の締結時に50%、物件の引渡しが完了した時に50%を支払うことが多くなっています。
ただし不動産会社によって異なる場合があるため、不動産会社と媒介契約を結ぶ際に確認しておきましょう。
上限が法律で決められている
不動産仲介手数料は、法律によって上限が定められています。上限については下記の通りです。
売買価格税込が200万円以下の場合 | 物件価格の5% |
売買価格税込が201万円以上400万円以下の場合 | 物件価格の4%+2万円 |
売買価格税込が401万円以上の場合 | 物件価格の3%+6万円 |
※上記の金額に消費税がプラスされます
なお、これらはあくまでも上限のため、この基準よりも安くなっても問題ありません。不動産会社によって価格設定が様々なので、媒介契約の前にしっかり確認しておきましょう。
また、事前に仲介手数料がどれくらいになるか把握しておきたい場合には、売却したい物件がどれくらいで売れそうか、相場を確認しておくことで概算を出すことができます。
売却想定価格は、中古不動産検索サイトで似た条件の物件の価格を調べて参考にする、一括査定サイトなどで調べるなどの方法で把握することが可能です。
住宅ローンに関する費用

家の住み替え時には、住宅ローンに関する費用についても考えておかなければなりません。
売却する物件を住宅ローンで購入した場合、新居を住宅ローンで購入する場合、どちらにも費用がかかります。ここでは、住宅ローンに関する費用について紹介します。
住宅ローンを組む時の手数料
新居の購入のため、住宅ローンを新たに組む場合には、大きな額の諸費用がかかることを認識しておきましょう。必要とされる費用の一覧は以下です。
【住宅ローンを新たに組む場合に必要な費用】
- 融資手数料
- 印紙税
- ローン保証料
- 登記費用
例えば都市銀行で3,000万円を35年返済として借りた場合、融資手数料3万2400円、ローン契約の際の印紙税2万円とローン保証料61万円強、登記費用10万円で、合計で約77万円かかることになります。数十万円〜費用をあらかじめ準備しておかなくてはなりません。
全額繰上返済の手数料
また、売却する物件の住宅ローンが残っている場合には、抵当権を外すために全額繰上返済をすることになります。
抵当権を外さなくても売却することは可能ですが、買い手がつかないことが多いため、繰上げ返済を行って抵当権を外しましょう。
住宅ローンは、全額繰上返済を行うと手数料がかかります。手数料は金融機関や手続きの仕方、返済金額によって異なります。以下は、手続きの仕方別のおおよその手数料一覧です。
インターネット手続き | 0円〜10800円 |
電話での手続き | 10800〜54000円 |
窓口での手続き | 16200円〜 |
手数料は、都市銀行よりもネット銀行の方が手数料が安い傾向にあります。
また、金融機関によって全額返済希望日の1カ月前や2週間前に申し出ないといけないなどの期限があります。期限については、住宅ローンを借りている金融機関に確認しておきましょう。
抵当権を解除するための抵当権抹消登記費用
不動産を売却する際には、抵当権を解除する必要があることをご紹介しましたが、抵当権抹消登記の手続きは、司法書士に依頼することが一般的です。抵当権抹消における司法書士への報酬の相場は、8,000円~12,000円です。
また、抵当権の抹消は自分で行こともできます。自分で行う場合は、必要書類を揃えたり、法務局にいき手続きをする手間がかかりますが、費用は登録免許税の1筆1,000円(土地と建物であれば2,000円)ほどで済むため大幅な節約になります。
住まいを買い替える場合は引越し費用

住み替えによって必要な費用の中で、見落としがちなのが引っ越し費用です。
引っ越し費用は数万円〜数十万円の出費となります。また、仮住まいを借りなければならない場合には引っ越し費用は2回分必要になります。
いざ引っ越しというタイミングで慌てないよう、しっかり準備しておきましょう。
家族で引っ越しする場合の一回の引越し費用の相場は94,000円ほどです。金額は時期によって異なり、引っ越しする人が多い年末や年度末だと高くなりがちなため、注意が必要です。
さらに、引っ越し業者への支払いだけではなく、新居用に新しい家具を購入する場合にはさらにお金が必要になります。
不動産売却で支払う税金について

これまで住んでいた物件を売却する場合、いくつかの税金を支払わなくてはなりません。不動産売買の際に支払う印紙税と登録免許税、そして売却益が出た時に支払う必要がある所得税や住民税です。
ここからは、不動産売却時に支払う必要がある税金について解説します。
印紙税と登録免許税は必ず支払う税金
不動産を売却した場合、印紙税と登録免許税は必ず支払う必要があります。印紙税は、法律で定められた課税文書に対して課される税金です。
不動産売買の際に作成する売買契約書もこの課税文書に該当するため、印紙税がかかります。納める税金は不動産の売買価格(売買契約書に記載の価格)によって異なります。
【印紙税の金額】
契約金額 | 税金 | 契約金額 | 税金 |
10万円超50万円以下 | 200円 | 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
50万円超100万円以下 | 500円 | 5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 | 1億円超5億円以下 | 6万円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 | 5億円超10億円以下 | 16万円 |
不動産売買によって、対象の不動産の所有権が移る場合には、登記が必要になります。この登記時にかかる税金が登録免許税です。登録免許税は、以下の計算式で算出することが可能です。
・不動産の固定資産税評価額 × 登録免許税の税率 = 登録免許税
【登記の種類ごとの登録免許税の税率】
登記の種類 | 登録免許税の税率 |
所有権移転登記(土地) | 2.0% |
所有権移転登記(中古建物)※住宅用 | 2.0% |
所有権保存登記(新築建物)※住宅用 | 0.4% |
住宅ローン借入時の抵当権設定登記 | 0.4% |
売却益が出た場合に課税される税金
不動産を売却したとき、その不動産を取得する時にかかった費用や仲介手数料などの諸経費を差し引いても売却益が出る場合には、その売却益に対して税金を支払わなくてはなりません。
この際に支払う税金は、所得税と住民税、そして復興特別所得税です。
【売却益にかかる税金】
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税(平成23年12月2日より開始。所得税×2.1%を支払う)
税金が課税される不動産売却益の算出の仕方
課税の対象となる利益部分、不動産売却益(譲渡所得)は以下の計算式で求めることができます。
・不動産売却益 = 売却価格 - 特別控除 -(取得費+諸経費)
売却によって手元に入ってきたお金から、取得時にかかったお金や諸経費などの売買にかかった費用を差し引いて求めます。
さらに控除が使える場合には、控除を差し引きます。売却価格がそのまま売却益(課税される譲渡所得)となるわけではないということですね。
また、売却益(譲渡所得)にかかる税率は、売却した不動産を所有していた期間で異なります。所有が5年超の場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、それぞれの税率は下記の通りです。
長短区分 | 長期 | 短期 |
期間 | 5年超 | 5年以下 |
所得税 | 15.315% | 30.63% |
住民税 | 5% | 9% |
合計 | 20.315% | 39.63% |
※所得税の税率には、復興特別所得税「所得税×2.1%」が上乗せしてあります。
表を見てわかるように、長期譲渡所得の方が税率が優遇されていることがわかります。節税のためには、5年を超えてから売却することがおすすめです。
おすすめの一括査定サイト3選
サイト名 | 利用者数 | 対象エリア | 提携会社数 | 同時依頼数 |
イエウール | 1,000万人 | 全国 | 1,700社 | 6件 |
イエイ | 400万人以上 | 全国 | 1,700社以上 | 6件 |
リビンマッチ | 440万人 | 全国 | 1,400社 | 6件 |
イエウール:全国1,700社以上に対応
地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。
利用者数 | 1,000万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6社 |
取引件数 | 非公開 |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | 株式会社Speee (Speee, Inc.) |
サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。
イエイ:お断り代行サービスを提供
大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。
利用者数 | 400万人以上 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 1,000件以上 |
顧客満足度 | 97% |
運営会社 | セカイエ株式会社 |
都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。
なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。
リビンマッチ:利用したいサイト第1位
都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。
利用者数 | 440万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,400社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 14万件(年間) |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。
住み替えにはさまざまな費用がかかる

住み替えにかかる費用について紹介しました。
住んでいた家の売却時にも、新居の購入でも不動産の売買では様々な費用がかかります。紹介したように、売却によってお金が入ってくる前に支払わなくてはならない費用もあります。
いざ費用が必要になったときに、支払いに困らないようにしておきたいですね。そのためには、住み替えを考え始めた段階で、事前に必要な費用を把握して準備しておきましょう。
大きなお金が動く住み替えだからこそ、費用の面でも計画的に進めていくことをおすすめします。
また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。
参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!