不動産売却の基礎知識

【解決版】登記事項証明書が必要になったら!取得方法や費用を徹底解説!

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このページでは、登記事項証明書とはそもそも何なのか?から始まり、閲覧方法や利用できるシーン、また取得方法を手数料や費用面を含めて、細かいやり方を徹底解説しています!

不動産に欠かせない登記事項証明書とは、不動産の所有者や住所など、さまざまな内容が記載されている書類です。そんな登記事項証明書には、具体的にはどのようなことが書かれており、どんな種類があるのでしょうか?

また、登記記録には土地や建物の不動産と株式会社などの商業・法人登記がありますが、本記事では不動産登記を中心にまとめていきますので、不動産登記に関して知りたい人は、このページを読んで知識を深めていきましょう!

不動産登記の登記事項証明書ってそもそも何?

不動産登記の登記事項証明書はどのようなものなのか、詳細を見ていきましょう。

  1. 不動産の内容を公的に認証された書面
  2. 登記事項証明書の書面から分かること
  3. ホチキス留めを外してもいいのかどうか

①不動産の内容を公的に認証された書面

登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)は、不動産の築年月日や所有者などが書かれている公的な書類です。登記官印が押されているので、強い証明力を持ちます。さまざまな手続きができるものでもあり、不動産において非常に重要な存在です。

登記簿の電子化により登記簿謄本から変更

昔は紙で管理していたため、「登記簿謄本(とうきぼとうほん)」という名称で通っていましたが、今ではデジタル化が進行し「登記事項証明書」といわれています。しかし、登記簿謄本も登記事項証明書も、基本的には同一の書類です。登記事項証明書を見ればすぐに不動産の内容を理解でき、どんな人でも法務局で取得することができます。

証明力があるから様々な手続きで提出できる

登記事項証明書は、認証文、作成した日付、登記所名、登記官氏名が書かれており、登記官印も押されています 。似たような書類に「登記事項要約書(とうきじこうようやくしょ)」がありますが、これは単に登記簿のコピーであり、公的な力を持つ書面として活用することは難しいです。登記事項証明書であれば、不動産のさまざまな手続きで利用できるほど、高い証明力を持ちます。

②登記事項証明書の書面から分かること

不動産登記の登記事項証明書であれば、対象不動産の所有者、住所、面積、抵当権などの権利関係とその履歴、新築年月日などを確認することができます。誰が所有している不動産なのか明確にするために不動産登記は行われ、取引などがスムーズに進むメリットがあります。

登記事項証明書に書いてある内容を細かく解説すれば、最大で表題部、権利部(甲区)、権利部(乙区)、共同担保目録の4つに分かれています。表題部には、所在、地番、地目、地積、登記の原因が項目になっています。

権利部(甲区)は、過去も含めた所有者、複数人での所有であれば持ち分がわかる部分です。日付も記載されています。権利部(乙区)は、住宅ローンに必要な抵当権や根抵当権についての項目で、金額や利息などが細かく記されています。共同担保目録は、どの不動産を担保にしているのか明確化されている場所です。

③ホチキス留めを外してもいいのかどうか

登記事項証明書はホチキス留めの状態で発行されますが、結論から先に言うと、証明力が落ちてしまうデメリットがあり、外国へ提出する際も要注意です。

法的には有効かどうかの明文はない

登記事項証明書のコピーを取りたいとき、発行時についているホチキスは外したくなる人もいるでしょう。しかし、外してしまうと不動産内容が記載されている単なる書類になってしまい、証明力がなくなってしまう可能性があります

法的には有効かどうかは明確になっていませんが、一度ホチキスを外した後、再度ホチキス留めすることが一般的です。また、登記事項証明書を再取得する必要はありませんが、コピーを取る際はできる限りホチキスを外さないように しましょう。

登記官押印証明を外国へ提出する場合はNG

外国へ提出する際、外務省から認証を受け、登記官押印証明(とうきかんおういんしょうめい)も法務局でもらうことになります。この登記官押印証明はホチキスを外している場合、受付不可となります。再取得しなければ受付することができませんので、注意しましょう。

どんな時に登記事項証明書の提出が必要になる?

登記事項証明書は、借入がどれくらいになっているのか判断できるため、新しい銀行融資を受ける際に提出を求められる書面です。

また、不動産の売買や相続時に登記が必要になりますが、この時に登録免許税の支払いがあり、減税するために提出することがあります。登録免許税に軽減税率を適用させるためには、住宅用家屋証明書という書類が必要です。発行するためには、住民票や売買契約書などだけではなく、登記事項証明書も必要書類に含まれています。

余談ですが、住宅用家屋証明書の申請など、登記に関することはプロである司法書士に依頼することが可能です。素人では困難な不動産登記の各種手続きにおいて大変頼れる存在ですが、それなりにお金がかかることを覚えておきましょう。

不動産の登記事項証明書の種類

不動産の登記事項証明書には、いくつか種類があり、それぞれどのような内容になっているのか紹介していきましょう。併せて利用シーンについても触れていきます。

  1. 「全部事項証明書」証明される事項が多い
  2. 「現在事項証明書」効力のない事項の記載がない
  3. 「何区何番事項証明書」記載量が膨大な場合に使う
  4. 「閉鎖事項証明書」閉鎖された登記事項の証明

①「全部事項証明書」証明される事項が多い

全部事項証明書」とは、登記の記録がすべて記載されている書類です。基本的には、この書面を取得することになり、50枚を超えなければ発行手数料も同一となります。あまりにも枚数が多くなってしまう場合は、別の書面取得がおすすめです。

全部事項証明書の項目 詳しい内容
不動産番号 不動産特定のための13桁のナンバー。
所在 基本的には住所のこと。普段使って住所とは異なることもある。
地番 法務局がつけている土地のナンバー。
地目 宅地、畑など土地の用途。全部で23種類ある。
地積 平方メートル表記の面積。
原因及びその日付 内容変更の原因と月日。
登記の目的 抵当権設定などの目的を記す。
権利者 権利を設定した人や不動産所有者。

情報としては非常に多くなってしまうことが全部事項証明書のデメリットです。すべての項目が不必要なときは、全部事項証明書ではなくても構いません。

②「現在事項証明書」効力のない事項の記載がない

現在事項証明書」は全部事項証明書のようにすべての記録が記されているわけではなく『今効力を持つ内容のみで構成』されています。

そのため、以前の所有者や抹消された権利などは書いていません。金融機関や公的機関への提出は、「現在事項証明書」で問題ない可能性が高いでしょう。

③「何区何番事項証明書」記載量が膨大な場合に使う

「複雑な権利関係になっている」「共有者がたくさんいる」といった不動産の場合、全部事項証明書を取得してしまうと、100ページ以上になってしまうこともあります。この場合、発行手数料も高くなるデメリットがあります。

そういうときは「何区何番事項証明書」を発行すれば、必要部分の記載内容をすぐに探せるメリットがあり便利です。

④「閉鎖事項証明書」閉鎖された登記事項の証明

閉鎖事項証明書」は昔の記録が必要な際に役立つ書面です。「他の不動産に登記が移ってしまっている」「不動産そのものが存在していない」などのケースにおいて、取得する証明書の種類です。

現在の不動産登記の内容を閲覧する方法

次に、現在の不動産登記の内容を閲覧する方法をご紹介していきます!大きく2つの方法があります。

  1. 「登記事項要約書」を取得する
  2. インターネットから閲覧する

①「登記事項要約書」を取得する

不動産の内容を閲覧するのみであれば、先ほどチラっと紹介した「登記事項要約書」を取得しましょう。証明力はないものの、現在の不動産の登記内容を見ることができます。

現状で効力のない事項は記載されず、一部しか閲覧できないデメリットはありますが、安い費用で取得できることはメリットです。自身が所有している建物や土地以外などの所有者を調べる際にも、便利な書類となります。

「登記事項要約書」の取得方法

登記事項要約書は誰でも取得できる書類であり、印鑑なども不要ですが、郵送あるいはオンラインでの請求は不可としていますので、管轄の法務局に行くようにしましょう。金額は1通450円です。50枚を超える場合、50枚毎に50円プラスされます。事前に地番や家屋番号をチェックしてから請求しましょう。

②インターネットから閲覧する

インターネットを利用して、登記情報を閲覧可能な「登記情報提供サービス」というものがあります。

登記情報提供サービスは有料になりますが、不動産登記情報の全部事項・所有者事項を見ることが可能です。全部事項は335円、所有者事項は145円です。ほかにも、地図や図面情報をチェックできます。

登記事項証明書の取得方法と費用について

それでは、登記事項証明書の詳しい取得方法や、費用に関して解説していきます。いくつか方法がありますが、事前に調べておくべき内容もあるので、チェックしていきましょう!

  1. 取得するために事前に準備するもの
  2. 法務局の窓口で直接申請する
  3. 「証明書発行請求機」を利用して申請する方法
  4. 請求書を郵送する方法
  5. オンライン請求による方法

①取得するために事前に準備するもの

登記事項証明書を取得するには、事前に地番や家屋番号の確認と、管轄登記所の場所をチェックする必要があります。併せて、注意点についても解説していきましょう。

A:正確な土地の地番や建物の家屋番号の確認

登記事項証明書を取得するためには、不動産の正確な土地の地番や建物の家屋番号をチェックが必要です。登記済証を閲覧することで確認できます。地番や家屋番号は、住所とは異なる可能性が高いので、間違えないようにしましょう。電話で問い合わせれば、教えてくれることもあります。

また、地図と公図がセットになったようなブルーマップでも、地番を確認できます。ブルーマップは、法務局、市役所、図書館などに置いてありますので活用しましょう。

B:管轄登記所の確認

登記事項証明書は、基本的に管轄の法務局に請求することになりますが、まずは管轄登記所を知る必要があります。

ちなみに、今までは、管轄外の不動産の登記事項証明書を入手することはできませんでしたが、今では近くの法務局で取得できるようになっています。ただし、すべての登記関連の書類が管轄外の法務局で入手できるとは限りませんので注意しましょう。

法務局の本局と支局は日本中にありますので、場所を特定する際は、法務局のホームページを利用します。東京であれば、東京法務局を本局として、ここ以外の不動産登記管轄区域になっている出張所が多数あります。

また、登記事項証明書だけではなく、それ以外の登記関連の書類が必要な際は、必ず管轄登記所を調べておきましょう。電話で問い合わせれば、管轄登記所の確認も簡単です。住所などを伝れば教えてくれます。

②法務局の窓口で直接申請する

登記事項証明書を入手するもっともシンプルな方法は、法務局の窓口で手続きすることです。登記事項証明書交付申請書に記入して、申請するだけです。記入内容は、申請者の住所氏名、対象不動産の種別、住所、地番、家屋番号、請求数、申請書類の種類です。

金額は1通600円、50枚を超える場合は、50枚ごとにプラス100円。身分証明書などの書類は必要なく、登記事項証明書交付申請書の必要事項を埋めていくだけです。受付時間は8:30~17:15で、土日祝日は受け付けていません。管轄登記所以外でも申請方法は同一です。

③「証明書発行請求機」を利用して申請する方法

登記事項証明書の交付申請は、登記所に設置されている「証明書発行請求機」を利用して申請できます。この「証明書発行請求機」を利用すると、登記事項証明書交付申請書を手書きする手間が省けて、申請から窓口での受取までの時間も短縮できます。

証明書発行請求機を利用して申請する場合でも、事前に地番や家屋番号を知っておく必要があるので準備しておきましょう。

「証明書発行請求機」の利用方法

  1. 事前に地番や家屋番号を調べておく
  2. タッチパネルで請求情報を入力する(ここで地番や家屋番号が必要です。)
  3. 必要事項を入力すると、整理番号票が出てくるので受け取ります。
  4. 整理番号票の手数料に記載された手数料相当額の収入印紙を用意します。
  5. 整理番号を呼ばれたら、整理番号と引き換えに申請用紙を受け取り、収入印紙を貼って提出します。
  6. 登記情報証明書を受け取ります。
  7. 終了

参考:証明書発行請求機設置場所一覧

④請求書を郵送する方法

郵送で登記事項証明書を申請する方法もあります。その際、「登記事項証明書交付請求書」という書類が必要になりますが、法務局から無料で持ってくるか、法務局のホームページからプリントアウトをして入手しましょう。交付請求書に必要事項を記入し、郵送することになりますが、返信用の封筒と切手を同封が必要です。

また、1通600円の手数料は、郵便局で収入印紙を購入して貼りつけましょう。収入印紙はコンビニでも購入できますが、郵便局のほうが確実に入手できます。

⑤オンライン請求による方法

オンラインで請求する際は、「登記・供託オンライン申請システム」というサービスを利用することになります。オンラインのメリットは、手数料が安くなり、インターネットやパソコン環境が整っているのであれば、いつでもどこからでも申請できる ことです。

オンラインサービスの利用には、初めに無料で行える申請者の登録を行います。また、通信セキュリティの確保のため、政府共用認証局の自己署名証明書のインストールが必要です。

金額は郵送してもらう場合は500円で、登記所窓口へ受け取りにいった場合は480円です。平日8:30~21:00までが登記・供託オンライン申請システムの利用時間ですので、窓口での受付よりも長い時間となります。

支払いは、インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATM利用が利用できます。電子納付した際は、確認までに時間がかかることもありますので、二度納付しないように注意しましょう。また、窓口で登記事項証明書の交付を受ける時には、電子納付した際に表示される「照会内容確認(電子納付情報表示)」が必要です。プリントアウトして受け取りの際に持参できるように準備しておきましょう。

ただし、オンラインでは「一部事項証明書」の交付申請は行えません。「一部事項証明書」が必要な場合には、登記事項証明書交付申請書を用意することになります。また、登記情報や公図、地積測量図の中にはデータ化されていないものもあり、その場合には管轄の法務局での交付となるので事前に確認が必要です。

★登記事項証明書交付申請書の記入方法

記入方法は以下の通りです。

  1. 一番上の欄に住所と氏名を記入します。
  2. 次に種別の欄で土地か建物を選びます。取得したい不動産の方にチェックを入れましょう。
  3. 群・市・区、町・村、町目・大字・字の記入をし、調べた地番や家屋番号を記入します。
  4. 必要部数を請求通数の欄に数字で記入します。
  5. 最後の欄にどの登記事項証明書の欄にチェックを入れます。(一部事項証明書や閉鎖事項証明書を希望する場合にはそちらにチェック)

申請書を作成後、収入印紙を用紙右端の収入印紙欄に貼付して提出しましょう。

★申請方法詳細まとめ

申請方法 受取方法 費用 申請できる時間 注意点 所要時間
窓口での直接申請 窓口で受取 600円 8:30~17:15 窓口は平日のみの営業です。 15分~30分
申請書を郵送して申請 郵送で受取 600円 返信用の封筒と切手を同封する。
申請書は法務局のホームページでダウンロード可
2日~3日
オンラインで交付申請 窓口で受取 480円 8:30~21:00 受取ができるのは、登記所の窓口が開いている時間内です。 3時間~4時間
オンラインで交付申請 郵送で受取 500円 8:30~21:00 普通郵便での郵送は無料。 1日~2日
法務局にある証明書発行請求機で申請 窓口で受取 600円 8:30~17:15 事前に地番や家屋番号を調べておく。 5分~10分

[まとめ]登記事項証明書の知識を深めてから取得しよう

登記事項証明書の取得が必要になった際、それがどういった書面・書類なのか理解しなければなりません。公的に認証された書類として証明力を持つものですが、扱う際の注意点についても知識を深めておきましょう。

不動産の登記事項証明書の種類や、今の登記記録の内容を見ることができる「登記事項要約書」についての理解も必要です。銀行融資や節税などにおいて活躍する書類ですので、不動産のお金に関するポイントで非常に重要な存在となります

取得する方法は、直接申請するか、郵送のやり方があります。できるだけ手数料を安く抑えたい人や、忙しくて局へ行けない人などは、オンラインでの申請も可能です。地番や家屋番号は取得するために必要なので、事前に確認してください。登記に関する証明書の知識を深め、失敗しないように取得しましょう。