売却方法を決める前に目的を明確にしよう
「不動産を早く売却してお金に変えたい」とか「時間はかかってもなるべく高くで売却したい」など、人によって売却の目的は違います。目的に合わせて不動産売却は方法が4つあるのですが、それぞれメリットデメリットがあります。
そこでこの記事では、4つの不動産売却方法と、どんな人におすすめなのかを紹介します。後悔しない不動産売却のため、目的に合わせて方法を選択するための参考にしてください。
高く不動産売却をする方法は「仲介」

不動産をなるべく高く売却したい場合は、不動産会社を通しての仲介が適しています。不動産売却を考えた人が真っ先に思い浮かべる方法ですが、メリットやデメリットについて知り、売却目的に合っているのかを確認しましょう。
仲介での不動産売却の仕組み
仲介での不動産売却方法では、仲介を依頼した不動産会社が売却活動を行います。広告を出して購入希望者を探したり、すでに登録されている購入希望の人などに物件の紹介をしてくれるのです。売却が成立すると、売却活動の報酬として仲介手数料を支払うことになっています。
仲介を依頼するため不動産会社と契約を結ぶのですが、契約は3種類ありそれぞれの特徴は以下のようになります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
他の会社社とも契約 | 〇 | × | × |
購入希望者を自分で見つけて売却 | 〇 | 〇 | × |
契約の有効期限 | なし | 3カ月以内 | 3カ月以内 |
売却活動の報告 | 任意 | 1回以上/2週間 | 1回以上/1週間 |
指定流通機構に登録 | 任意 | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
指定流通機構というのは、「レインズ」と呼ばれ業界関係者のみが利用でき、売却予定の不動産があることを周知してくれます。
自分でも購入希望者を見つけられそうなのかどうかや、売却活動の報告がないと不安など、どれを重視するかで契約の種類を決めます。どんな売却活動をしてくれるかは不動産会社によって異なるので、契約を結ぶ前に確認しておきましょう。
仲介で不動産を引き渡すまでの流れ
仲介の場合の引き渡しまでの流れは、
- 不動産売却の準備
- 不動産会社探し
- 売却する不動産の査定依頼
- 不動産会社と契約を結ぶ
- 売却活動の開始
- 購入希望者と売買契約を結ぶ
- 不動産の引き渡し
不動産売却は事前の準備が必要です。査定に必要な書類を用意し、買取価格の相場を調べておきましょう。仲介での不動産売却の場合、引き渡しまでの全工程で3カ月~6カ月程度かかります。必要な手続きはその都度指示があるので、不動産会社と契約を結んでしまえば、引き渡しまで困ることはなくなります。
売却活動中は基本不動産会社に任せきりで、住んでいる家を売却するときは内覧の対応を担当と一緒に行うことになります。内覧の対応次第で売却の成否が決まったりするので、売却活動を開始するときにはいつでも対応できるようにしておきましょう。
仲介のメリットデメリット
・売買に関するさまざまな手間が省ける
・トラブルが起きた時に仲裁役になってくれる
・仲介手数料がかかる
・売却していることが周囲にばれる
仲介のメリットは買取より高い金額で販売することができることです。広告などを使って販売活動を行うので、およそ市場の相場価格で売却できます。さらに仲介だと売買に関するさまざまな手間が省けます。
書類の作成や取引条件の調整など、不動産に関する手続きを専門家である不動産会社に任せられます。次に仲裁役になってくれます。売却後に不具合があり、買い手と些細なことでこじれたとしても、不動産仲介業者が対処して売主と買い手の仲裁をしてくれます。
しかしデメリットもあります。買い手がなかなか見つからない場合、売却に時間がかかることがあります。さらに売却が決まれば、不動産会社に仲介手数料を支払わなくていけません。また、仲介では売ろうとしている物件をより多くの人に知ってもらおうと広告を出すため、売却することを近所の人に秘密にすることはできません。
仲介で不動産売却をする注意点
仲介で不動産売却を行うときに注意することが3つあります。知らないと売却中や売却後にトラブルが起きてしまいます。どんな注意点があるのかを1つずつ見ていきましょう。
契約内容の不明点をなくしてからサイン
1つ目は購入希望者と交わす売買契約の内容です。売買契約は書類を作成し、不動産会社が取引条件について重要事項を説明します。それを納得した上で不動産売買契約書にサインと捺印をし、契約が成立します。
契約書の内容は自由なので、内容をしっかり確認してサインをしないと契約後のトラブルになるかもしれません。一度契約を交わすと簡単に解除ができないので気をつけましょう。
仲介手数料の過剰な支払い
2つ目が仲介手数料です。仲介手数料は不動産会社が自由に決められますが、法律で上限が決まっています。売却価格によって仲介手数料は変わってきます。
<仲介手数料の料率>
売却価格(税込) | 料率(税抜) |
200万円以下の部分 | 5% |
200万円超~400万円以下の部分 | 4% |
400万円超の部分 | 3% |
売却価格が3,000万円なら、
仲介手数料=(200万円×5%)+(200万円×4%)+(2,600万円×3%)
=96万円(税抜)
仲介手数料の上限以上の支払いを求めてきたり、仲介手数料は広告代金なども含まれているので、広告代金などを別途求めてくる不動産会社は注意が必要です。不動産会社と契約を結ぶ前にあらかじめ確認しておきましょう。
売却後に欠陥が見つかり損害賠償
3つ目が瑕疵担保責任です。瑕疵担保責任とは、シロアリや水漏れなど表面には見えない、または見られない欠陥があった場合、売主は損害賠償や場合によっては、契約解除に応じなければいけないというものです。
瑕疵担保責任は民法の原則では1年ですが、個人が売主なら2~3カ月程度が一般的です。どのくらいの期間瑕疵担保責任が発生するのかは売買契約書に記載されているので、見落とさないようにしてください。
仲介はどういった人におすすめなのか
なるべく不動産を高く売却した場合や、売却したい時期までに余裕がある場合は仲介が適しています。さらに築年数が浅くてきれいな物件や、人気エリアに立地している場合も、不動産が高く売却できる可能性が高いので仲介がおすすめです。
仲介で売却を行うと仲介手数料などの諸費用がかかることを理解しておきましょう。
・不動産をなるべく高く売却したい
・売却期間に余裕がある
・物件の条件が良い
早く不動産を売却したいなら「買取」

仲介以外で不動産会社を使った売却方法として「買取」があります。これは不動産会社に不動産を直接買取してもらう方法です。買取の仕組みや、売却までの流れを見ていきましょう。
買取での不動産売却の仕組み
不動産の買取とは、買取を専門とした業者が売り手から不動産を直接買い取ってくれるものです。売り手は買取の不動産会社と直接価格交渉などを行い、条件が合えば契約して売却します。
買取には「即時買取」と「買取保障」があります。
買取方法 | 概要 |
即時買取 | 買取価格の交渉後はすぐに現金化 |
買取保証 | 仲介の売却活動をして、売却できなかったら買取 |
即時買取は現金化になるまで早いので、お金がすぐに必要な人は最適な方法です。買取保証は高く売却したいけれど、売却に失敗したくない人向けの方法です。
どちらの方法でも最終的に買い取られた不動産は、不動産会社が購入希望者を探して売却することになります。仲介との違いは売主と購入希望者が直接かかわることがないという点です。
買取で不動産を手放すまでの流れ
不動産の買取の流れは、
- 不動産売却の準備
- 不動産会社探し
- 売却する不動産の査定依頼
- 買取価格の提示
- 打ち合わせ
- 不動産会社と売買契約
- 決済
事前の準備で行うことは仲介と一緒ですが、買取価格の相場は仲介とは違います。買取した価格に上乗せして購入希望者に売却されるので、仲介より70~80%ほど低い価格になります。事前に仲介で不動産売却を行ったときの価格を知っておくと目安になります。
準備が終わると、パソコンなどのサイトを利用して不動産会社を探します。不動産会社に査定依頼をし、市場価格などを参考に買取価格を出してもらい、売買についてのスケジュールなどの打ち合わせを行います。打ち合わせの後、納得すれば提示された価格で契約を結び、契約完了後、代金を受け取り、不動産を引き渡しになります。売却までの期間は約1カ月程度なので、次の家への引越準備を進めておかなければいけません。
買取のメリットデメリット
- 短期間で売却することができる(目安は2週間~1カ月)
- 誰にも知られることなく売却することができる
- 引き渡し後のリスクが最小限でおさまる
- 仲介手数料がかからない
- 買い手探しや内覧がいらない
・物件の状態によっては難しい場合がある
買取のメリットは、仲介と違い売却活動がないので、買取価格がまとまり次第現金化できることです。さらに不動産会社と売主とのやり取りになるので、近所の人に売却のことを知られることなく売ることができます。
仲介の時にあった瑕疵担保責任は、買取の場合不動産会社に売るため免除され、引き渡しのときのリスクが少なくなります。さらに不動産会社に仲介してもらい売却をするわけではないので、不動産会社に仲介手数料を支払わなくて済むという点があります。
買取のデメリットは、売却価格が仲介に比べて安くなることです。不動産会社は買取った不動産をリフォームなどを行って再販売するため、そのリフォーム代などの費用を差し引いて、買取価格を算出します。
さらに不動産会社が得意とする活用法にあった物件でなければ、買取を断られてしまいます。また、古い物件で土地の価値がない場合や、倒壊寸前の建物なども買取ってくれないこともあります。
買取を利用するときの注意点
不動産を円滑に売却するために、買取をしてくれる不動産会社を選び出す必要があります。不動産会社が大手だからといってその土地の評価を適正に行えるとはかぎりません。会社の大小関係なく、地元の不動産会社だと今までの土地の変動なども詳しいので、価格を適正に算出してくれるでしょう。
買取のときに不動産がどのような状態で引き渡すかによって、価格が変わってきます。照明器具やエアコンなどをつけたまま売却をしようとする場合は、処分費用などを引かれる可能性がありますので、契約前に不動産会社に引き渡し条件を確認しておく必要があります。
買取の場合不動産会社への仲介手数料はかかりませんが、税金などはかかります。印紙代、抵当権抹消登記や引越し代などいくらかかるのか事前に調べておきましょう。
買取はどういった人におすすめなのか
買取は短期間で不動産を売却して現金が欲しい場合に向いています。仲介の場合は購入希望者を探さなくてはいけないので、売却するまでに時間がかかります。さらに仲介手数料もかかります。買取の場合だと買い手を探さなくていいので、短時間で売却することができ現金化できます。
物件の条件によっては建物が古い場合なかなか買い手は見つかりません。こういった不動産も買取がおすすめです。
不動産を売却するにはいろんな理由があります。周囲にばれたくない人も中にはいます。また、買取の場合は広告など出さないので、周囲に気づかれずに売却することができます。
- 短期間で売却をしたい
- 周囲に気づかれずに売却できる
- なかなか購入希望者が見つからない不動産を売却したい
初心者には向かない2つの不動産売却方法

ここまでは不動産会社を通した売却方法を紹介してきました。しかし残り2つの売却方法は、初心者ではリスクが高く、おすすめはできません。なぜおすすめできないのかを、売却方法の特徴とデメリットから紹介します。
専門知識と手間がいる「個人での売却」
不動産売却を個人で売却する方法があります。仲介で不動産会社がしてくれていた書類手続きや売却活動を、全て自分で行うのです。個人での売却では、
- 書類を全て作成しなければならない手間
- 専門知識不足で書類の不備によるトラブル
- トラブルが起きても助けてくれる人がいない
- 購入希望者を見つけられない
といったデメリットがあります。仲介手数料を節約できるというメリットはありますが、初めて不動産売却する人にとっては、デメリットの方が大きいです。
もし個人での不動産売却を検討するなら、親兄弟や親戚などの身内に購入希望者がいる場合にしておきましょう。初めて合う他人に売却をするより、トラブルを回避しやすくなります。
落札なしもある「不動産オークション」
不動産売却を専用のオークションサイトを使って行う方法もあります。インターネット上で物件を出品し、期間内に購入希望者の入札で物件を競い落とす形式です。
オークションでの不動産売却には、
- 日本国内だけではなく世界中に不動産の紹介
- 広告で宣伝する手間がない。
- 購入希望者が短期間で見つかる
- 購入希望者が多いと相場より高くで売却できる可能性
といったメリットがあります。しかしデメリットもあって
- 出品のための情報提示に専門知識が必要
- 入札がある保証はない
- 落札者とはネット上でのつながりなのでキャンセルのリスク
- トラブルが起きても自己解決
個人での売却と同様、オークションは専門知識が無い人にとっては、ハードルの高い不動産売却方法となって、おすすめはできません。
もし売却したい不動産が、交通の便が悪く買い手がつきそうもない物件なら、オークションの利用を検討する余地があります。海外にまで購入希望者の募集をかけられるので、買取さえ困難な不動産でも売却できる可能性があります。
不動産売却の利益を計算する方法
紹介してきたどの方法で不動産が売却できても、利益の計算方法は同じです。計算方法がわかっていれば、どこに注意をすると、利益を最大にできるのかが見えてきます。
不動産売却での利益は
不動産売却の利益=売却する価格-(取得費+売却にかかる費用)
この利益に対して税金がかかり、以下のようになります。
課税される税金=(不動産売却の利益-特別控除)×税率
手元に残る現金を増やすためには
- 売却する価格を高くする
- 売却にかかる費用を抑える
- 特別控除を受けられる条件で売却する
- 税率を下げる
の4つがポイントになります。紹介してきた売却方法では、特に「売却する価格」と「売却にかかる費用」が大きく変わります。売却方法を選択する基準として、利益の計算方法も覚えておきましょう。
売却方法に迷ったら不動産会社で相談を

不動産の売却方法に迷ったら、まずは不動産会社に相談してみましょう。仲介と買取、どちらも不動産会社が対応してくれますし、プロに相談できるから、専門知識がなくても問題ないです。
住宅ローンが残っている不動産の売却方法や、税金や手数料などの諸費用がいくらかかってくるかも対応してくれます。いろいろな質問に丁寧に答えてくれる担当者なら、どの売却方法でも信頼して任せることができます。
不動産会社探しには一括査定が便利

不動産売却は1社の不動産会社に査定してもらって、契約するのではなく複数の不動産会社に依頼して査定価格を比較します。しかし複数の不動産会社にまわるのは、時間と労力がかかり大変です。
そんな査定の負担を解決してくれるのが、不動産一括査定サービスです。パソコンやスマホから簡単入力することができ、24時間査定の依頼ができます。この方法だと一括で複数社に査定依頼を出せて、査定金額を比較し相談しにいく不動産会社を絞り込めます。
一括査定サービスはHOME4Uやイエウールなど無料で査定依頼できるサイトがあります。スマホから査定依頼を行えるので、仕事の休憩中などでも利用してみてください。
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リビンマッチ | 440万人 | 全国 | 1,400社 | 6件 |
イエウール:全国1,700社以上に対応
地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。
利用者数 | 1,000万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6社 |
取引件数 | 非公開 |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | 株式会社Speee (Speee, Inc.) |
サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。
イエイ:お断り代行サービスを提供
大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。
利用者数 | 400万人以上 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 1,000件以上 |
顧客満足度 | 97% |
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なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。
リビンマッチ:利用したいサイト第1位
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全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。
売却目的を決めて納得できる売却方法を

不動産の売却方法は目的によって変わってきます。価格が下がっても短期間で売却して、早くに現金が欲しい場合は買取、時間がかかっても高くで売却をしたい場合は仲介が適しています。売却を行う前に売却目的をしっかり決めて、不動産会社にどの方法が適しているのかを相談しましょう。
売却方法は4つありますが、それぞれメリットやデメリットはあります。それを把握し、自分の条件に合った売却方法を選びましょう。
また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。
参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!