不動産売却の基礎知識

不動産売却は16の注意点で後悔しない!準備から確定申告まで解説

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注意点を知らないと不動産売却で損をする

不動産売却は人生の中で何度もあることではなく、大金が動くので判断を間違うと、損失は100万円単位にのぼることもあります。知識なしで不動産売却に挑むと、不動産会社や買主に有利な取引をしてしまいます。

そこで今回は不動産売却の注意点を、取引の流れにそって解説していきます。注意点を守っていれば取引はスムーズに進み、手元の利益を残せるようになります。ぜひ不動産売却の参考にしてみてください。

不動産売却活動前の7つの注意点

まずは、不動産売却する前の注意点を挙げていきます。

  • 不動産の相場を把握
  • 査定は複数社に依頼
  • 仲介手数料には上限がある
  • 会社の規模で不動産会社を選ばない
  • ローンが残っていると不動産売却が不可能

なぜこれらに注意しなければならないのかを、1つ1つ見ていきましょう。

事前の不動産の相場を把握しておく

不動産売却を始める前に、不動産の相場を把握する必要があります。なぜ必要なのかと言えば、査定依頼して、その査定額が適正なのかどうか判断するためです。相場感をつかんでおかないと、損してしまう可能性があります。では、どのように相場を調べれば良いのでしょうか。

ポータルサイトに掲載されている価格は、売主の希望価格であって、最終的に値引きされるかもしれないので、参考になりません。調べるなら実際に売買された価格が掲載されている、不動産流通機構による「レインズマーケットインフォメーション」と、国交省の「土地総合情報システム」がおすすめです地域や間取りなどで条件を絞り検索してみてください。

売却する不動産の査定は複数社から

相場を調べた後は、不動産会社に査定依頼を出します。見積もりは1社だけではなく、複数の業者から取るようにしましょう。不動産は相場はあっても、会社によって価格が一定ではありません。比較するためにも、複数社に査定依頼してください。また、あまりにもたくさんの業者に依頼をしてしまうと対応に手間がかかってしまうため、3~5社程度にしてください。

査定価格を比較する際は、「査定価格=成約価格」ではないことも注意です。不動産会社が顧客確保のため、あえて高い査定価格を出して契約してから下げる可能性があるからです。

仲介手数料には上限があることを知っておこう

不動産売却は、売買が成立した価格がそのまま手元に入ってはきません。不動産会社に契約が成立した時の成功報酬として仲介手数料を支払います。契約時と引渡し時の2回に分けて支払うことが基本ですが、仲介手数料は法律によって上限額が定められています

税込みの売買価格 計算式
200万円以下 5%
200万円オーバー400万円以下 4%+2万円
400万円オーバー 3%+6万円

悪徳な不動産会社は、売主が不動産売却の知識がないことに付け込んで、高額な仲介手数料を請求してきます。いくら払うかは契約書に書かれているので、チェックするようにしましょう。ちなみに下限に決まりはありませんので、会社によってはキャンペーンなどで半額や無料にしているところもあります。

会社の規模だけで不動産会社を選ばない

不動産売却をする時、契約する不動産会社の選定は非常に重要です。多くの人が大手企業を選びがちですが、業者が意図的に不動産情報を制限して、売り手と買い手双方から仲介手数料を取る「囲い込み」を行うことがあります。

「囲い込み」は、売り手にとってメリットはありません。いずれにせよ中小企業を意識しつつ、会社規模や知名度だけで業者を選ばないようにしましょう。

住宅ローンが残っていると不動産売却はできない

住宅ローンが残っている不動産には、完済できなかった時に不動産を競売にかけられる「抵当権」という権利を、住宅ローンを借りた金融機関がもっています。不動産売却は、住宅ローンを完済し抵当権を抹消することが条件となっています。どれだけ住宅ローンが残っているのかを確認してください。

もし不動産の売却予定価格や自己資金を足して住宅ローンを完済できないなら、不動産売却は見送った方が良いです。完済のためにお金を借りるのは審査が厳しく、通ったとしても毎月の返済で苦労をします。

不動産の名義未確認で売却活動に問題

名義は相続した不動産を売却するときに問題が起きやすいです。よくあるのが名義が亡くなった人のままになっていることです。このままでは売却に出せませんし、住宅ローンの担保にもできません。

また相続した不動産を複数人で共有名義にしている場合も、手続きで問題が起きます。共有名義の全員から同意を得られないと、不動産売却ができないからです。誰か1人でも反対していたら、説得するか売却を諦めることになります。

不動産会社選びは一括査定を使うのがおすすめ

これまでで紹介してきた不動産売却前の注意点は、一括査定を利用するとローンや名義の問題以外をまとめて解決することができます。一括査定のどのような点が問題点を解決できるのかを見ていきましょう。

手軽な査定依頼で相場を把握できる

一括査定では、住所や間取りなどの情報を入力するだけで、近隣の不動産会社にまとめて査定依頼を出すことができます。査定価格にばらつきはありますが、平均をとれば相場がわかり最低価格や最高価格もイメージできるようになります。

レインズマーケットインフォメーションや土地情報総合システムの過去の情報と違い、これから売却に出す最新の価格なので、査定通りの価格で売却しやすいです。

優良な不動産会社が厳選されている

一括査定サイトでは、それぞれ独自の基準を決めて、掲載する不動産会社を厳選しています。利用者の評価もフィードバックされているから、仲介手数料の高額請求や囲い込みをする会社を避けられます。

不動産会社の最終決定には、担当者に直に会って信頼できるかの確認が必要です。一括査定を使えば、その前段階で不動産会社をふるいにかけられます。売却をする不動産会社探しには、一括査定を利用しましょう。

おすすめの一括査定サイト3選

サイト名 利用者数 対象エリア 提携会社数 同時依頼数
イエウール 1,000万人 全国 1,700社 6件
イエイ 400万人以上 全国 1,700社以上 6件
リビンマッチ 440万人 全国 1,400社 6件

イエウール:全国1,700社以上に対応

地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。

利用者数 1,000万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6社
取引件数 非公開
顧客満足度 98%
運営会社 株式会社Speee (Speee, Inc.)

サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。

イエイ:お断り代行サービスを提供

大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。

利用者数 400万人以上
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6件
取引件数 1,000件以上
顧客満足度 97%
運営会社 セカイエ株式会社

都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。

なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。

リビンマッチ:利用したいサイト第1位

都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。

利用者数 440万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,400社
同時依頼数 6件
取引件数 14万件(年間)
顧客満足度 98%
運営会社 リビン・テクノロジーズ株式会社

全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。

不動産売却の活動中における6つの注意点

不動産売却の活動中で注意したい点は、契約内容と価格交渉についてです。内容を吟味しないままの契約で損をしたり、価格交渉で不利な立場になることがあります。

  • 不動産会社と結ぶ媒介契約の種類
  • 内覧での不動産の綺麗さ
  • 焦った不動産売却
  • 売買契約内容の確認不足
  • 自己都合の契約解除
  • 引渡し前の手続き

について紹介していくので、注意点を守らないとどんな問題が起きるのかを知っておきましょう。

売却しやすい契約を不動産会社と結ぶ

不動産会社に売却活動をしてもらうためには、媒介契約というものを結ぶ必要があります。媒介契約は3種類あり、違いは以下のようになります。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社と契約 × ×
自分で見つけた買主と取引 ×
不動産会社専用のサイトに登録 任意 7日以内 5日以内
契約の有効期間 なし(3カ月推奨) 3カ月以内 3カ月以内
営業活動の報告 任意 1回以上/2週間 1回以上/1週間

不動産会社専用サイトとは、レインズマーケットインフォメーションの不動産会社版で、ここに登録しておけば、他の不動産会社も物件を見つけやすくなります。

どの媒介契約も買主の見つかりやすさで一長一短があります。3種類の中でおすすめなのが専任媒介契約です。一般媒介契約と違い1社だけと契約するから売却活動を頑張ってくれ、営業活動の報告もあるから、安心して任せられます。また専属専任媒介契約と違い自分でも買主を探せるから、売却先が見つかりやすくなっています。

内覧で好印象を与えるため綺麗な見た目

内覧は、購入検討者が物件の傷みや汚れなどの状態や、どのようなレイアウトだと使い勝手がいいのかなどを確認するために来ます。内覧の時に部屋が散らかっていると、使いやすさを判断できずに購入を見送られてしまいます。また傷みや汚れが目立つと減額を持ち掛けてきます。

できる範囲でよいので、整理整頓をして室内を広く見せ、取れそうな汚れなどならハウスクリーニングを頼んで綺麗にすると、減額なしでの購入に繋がります。ただし、いくら綺麗に見せるためでも、リフォームまですると、費用を回収しきれない可能性が高いので、避けるようにしてください。

急いで買主を見つけようとしない

不動産売却は準備から引き渡しまで約1年、売却活動だけでも6カ月程度が目安です。しかし買主探しを急いでいると、内覧希望者がいないからと何度も値下げをしたり、価格交渉で減額に応じやすくなってしまい、予定より安く不動産を売却することになります。

不動産売却は時間がかかるものと覚悟して、余裕のあるスケジュールで挑みましょう。値下げをする場合も闇雲にしないで計画的に下げていき、最低売却価格を決めて無理な価格交渉には応じないようにしましょう。

締結された売買契約は簡単に解除できない

売買契約する際、契約書が必要になります。内容に明確な決まりはありませんが、後でトラブルに発展しないように、事前に中見をチェックしておきましょう。基本的な内容は、物件について、金額、支払い方法、引き渡し時期、瑕疵担保責任、違約金、特約事項などです。締結後の解除は難しいので、契約内容の隅々まで確認してください。

特に確認しておくところは、瑕疵担保責任についてです。売主がシロアリや雨漏りなどの欠陥に対して責任を持つことになり、契約書に記載がなければ、瑕疵担保責任1年間が適用されます。しかしながら、期間は事前に決められますし、欠陥を知っているのであれば正直に伝えましょう。

売主の契約解除は手付金が倍返しとなる

契約時、買主から手付金の支払いがあります。証約手付、解約手付、違約手付と3つの種類があり、相場は成約価格の5~10%程度です。もし、売主の都合で契約解除した場合、手付金の倍を支払う可能性もありますので、注意が必要です。

引渡し前に引っ越しと保険の解約

引き渡し前に、引っ越しを終えることが基本です。引き渡しでは、売却代金をもらい、所有権を移転します。すぐに引っ越しできない人は、引き渡し猶予特約を契約の際にとりつけましょう。この猶予があれば、売却する物件に1週間程度住むことができ、新たな住居を探せます。

加入していた火災保険や地震保険は、不動産を売却しても自動で解約はされません。引き渡し日に解約を依頼しておけば、日割り計算で未経過の保険料が返ってきます。

不動産売却後の確定申告の注意点は3つ

不動産売却をした後の注意点は確定申告です。不動産売却の結果によって使える特例が違い、利用しないと多額の税金がかかってしまいます。また利益があるのに確定申告をしないと追加の税金もあるので、注意するようにしましょう。

不動産売却で利益があるなら確定申告で節税

不動産売却で利益がでたら確定申告は必須です。利益は譲渡所得として以下の式で計算されます。

譲渡所得=不動産売却価格-(不動産の取得費+不動産売却にかかった費用)

そのまま確定申告をすると、譲渡所得に対して所得税や住民税で20~40%の税金を取られ、手元に残るお金は僅かになってしまいます。しかし不動産売却には節税の特例が用意されていて、譲渡所得に控除を適用したら税金の支払いを0円になることもあります。不動産売却には以下の特例があるので、確定申告の時に適用できるものは使ってください。

特例の適用理由 控除の最大金額
公共事業での立ち退きなどで不動産売却 5,000万円
マイホームを売却 3,000万円
再開発が理由で土地の売却 2,000万円
建設や宅地の造成での土地売却 1,500万円
平成21~22年に取得し平成27~28年以降の土地の売却 1,000万円
地域の農業の担い手に農地の売却 800万円

損失が出ても確定申告で節税

不動産売却で損失が出た場合、確定申告は必須ではありません。しかし確定申告をしたら、給与所得にかかっている税金を節約することができます。使える節税対策はつぎのように2つあります。

対策 内容
損益通算 損失を給与所得と合算して税金の計算
繰越控除 損益通算でも損失がでるなら、最大3年間損失を繰越

また損失になった場合でも、税務署から連絡が来る可能性がありますので、契約書などは保管しておきましょう

確定申告の提出期間は1カ月しかない

確定申告する時期は、2月中旬~3月中旬と毎年決まっていて、曜日によっては期間は数日前後します。この間に申告しなければ無申告加算税と延滞税、申告ミスで過少申告加算税、重加算税の支払いを求められます。特に重加算税は負担が大きく、過少申告加算税に追加で35%、無申告課税に追加で40%の支払いがあります。

「確定申告のやり方がわからない」「確定申告している時間が取れない」という人は、税理士に相談しましょう。税理士は、税金のプロフェッショナルであり、書類準備や申告書作成など、確定申告を代行してくれます。ただし、10万円近くかかってしまうケースもあり、できる限り費用を節約したい人は自身で行うようにしましょう。

注意点を知らなかった不動産売却の失敗事例

不動産会社に任せておけば安心だという安易な考えで、注意点を知らないと不動産売却に失敗をし、予定していた価格にとどかず後悔してしまいます。このような失敗をしないため、ここでに紹介する注意点を守るようにしてください。

高額査定の不動産会社と契約して割安売却

複数の不動産産会社に査定依頼をだして、一番高額だった会社と契約を結んだけれど、契約を結んだらすぐに値下げをされてしまうことがあります。元から売却には無理のある査定価格で、顧客を誘い込むことを目的に高額査定をしていたのです。

買主が見つからないから売却期間は伸び、値下げは繰り返されて当初の査定の平均より安い価格での売却になってしまいます。極端に高い査定価格を出している不動産会社は、なにか裏があると疑いましょう。

不動産会社に薦められるままの契約で買主を逃す

媒介契約の違いをあまり理解しないで、専属専売契約を結んでしまい、友人や知人に購入希望者がいるのに売却ができないというケースがあります。媒介契約の種類によって買主の見つけ方に制限がかかるから、違いを知らないで媒介契約を結ぶと買主を逃すことがあるのです。

契約前に不動産会社の担当者から説明はあるのですが、初めて聞く内容で専門用語が多ければ、頭に残らず理解ができないうちに、担当者のいわれるままに契約をしてしまいます。少しでも違いについて知っていれば、自分の意思で媒介契約の種類を選ぶことができます。

注意点を把握してスムーズに不動産売却をしよう

不動産売却の注意点は売却活動をはじめる前からあります。売却価格の相場チェックし、不動産会社の選定、不動産会社との媒介契約や買主との不動産売買契約の内容の把握契約書の締結、特例を使って漏れがないように確定申告、と最後まで気を抜いてはいけません。

注意点を知らないと時間をかけても不動産売却が終わらず、不動産の価値も下がって損をしてしまいます。すべての注意点を覚えておくのは難しいので、不動産売却の段階ごとに確認をして、スムーズに確定申告までこなしていきましょう。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!