農地活用して資産を増やす
2017年に都市農業基本法が成立し、農地の活用が推進されています。高齢化や後継者不足により耕作放棄地が増える中で、農地を活用し資産運用が広がっています。
農地をうまく活用することで安定した収入を得ることもできます。また、用途を転用して資産運用することもできます。ただし農地を転用するにはさまざまな手続きや認可が必要です。
一方で、国は農地集積バンクを設立し、大規模農地化の推進に市区町村を窓口に農地の買取も行っています。ここでは農地のさまざまな活用法や転用法、売却方法について項目別にみていきましょう。
農地のほったらかしはデメリットばかり
農家の高齢化や後継者不足から耕作放棄地が増えています。また、相続で農地を受け継いでもどうしていいかわからないままほったらかしている例もあります。全国の農地の10%程度が耕作放棄地として余っている状態です。
農地はほったらかしている程に土地は悪くなり、価値が下がっていきます。その上に固定資産税は支払わなければならないので農地活用をしてビジネスメリットを出していくことが求められます。
耕作放棄をしていても固定資産税は発生
このまま農地をほったらかしていると、耕作放棄地として認定されてしまい、税率が上がる可能性が高まっています。現状では農地はその広い面積から一般的な住宅などの固定資産税よりも安く設定されています。しかし、近年の耕作放棄地の増加に対して国は2017年に耕作放棄地の固定資産税を2倍に上げる方針を打ち出しました。
確かに固定資産税は市区町村の管轄で勧告にすぎないという側面がありました。しかし、これに対して12県が耕作放棄地の固定資産税を1.8倍程度に上げる方向で条例改正を進めています。
土地の環境悪化で農地としても使えなくなる
近年イノシシやタヌキなど害獣による農作物への被害が増えています。耕作放棄地の増加により、虫や雑草が増加し、それら害獣のねぐらにもなってしまいます。また、鳥が住み着くことで米などの作物への被害も出ています。
加えてゴミの不法投棄をされると農地として再利用するにはかなりの投資が必用となります。また、雑草を処理しようと除草剤をまくことで周辺の農地や農業用水への影響なども無視できないレベルになっていて、耕作放棄地が解消は喫緊の課題でもあります。
農地のまま活用する3つの方法
では、農地を「農地」として使うための方法をみていきましょう。農地の転用には複雑な手続きが必要で、農地のまま活用できるのが一番簡単です。
近所の農家に農地を貸す
耕作機械の能力向上などで、個人で耕作できる範囲は広がっています。制度上、各自治体の農業委員会や都道府県の知事からの許可を得て、農地を貸し出しをすることが可能です。農地の賃貸料の相場は1万5,000円/10a程度です。
10aあたりの一般の農地の固定資産税は一般農地と生産緑地で1,000円未満が全国平均です。これなら自分では手を加えずにそのまま貸すことができ、賃料で固定資産税も払えます。しかし、都市部の農地となると6万円(一般市街化区域農地)?20万円(特定市街化区域農地)程度となかなか賃借料だけでは苦しい現状です。
市民農園として農地を運用する
農地を貸し出す方法として、いま流行りのシェア畑など市民農園を運営する事例も増えています。自作自消で市民農園が増える中、農地として維持したいが、自身では手が回らない場合は、専門の管理会社に運営のお願いもできます。
さまざまな市民農園運営会社が参入してきており、契約段階で固定収入を得られ、天候や災害にも左右されず収入が得られます。市民農園の利用者は専門家の指導のもと野菜の栽培ができるウィンウィンのビジネスモデルです。
収穫を楽しむ体験農園
農作物をつくることはできますが、もっと安定して収入を増やしたい場合はツアー旅行会社などと提携し、野菜や果物の摘み取りを体験できる観光向けの事業を行うところも出始めました。
また、年間を通じて1日農業体験のような農家からすれば比較的簡単な農作業の一端を体験できるツアーも商品化されています。このような体験ツアーは利用者の声が直接聞けるのでやりがいがでます。
農地を転用し新しいビジネスを始める
ここでは農地を農業ではなく、別の用途に転用してビジネスをはじめる方法についてみていきましょう。太陽光発電や駐車場、アパート経営などさまざまなビジネスを展開するには農地の用途転用が必要です。
太陽光発電で売電をする
転用で多いのは太陽光発電システムを設置し、売電によって収入を得る方法です。国からのバックアップも受けられ、3~10年は転用許可がおりて発電をできます。日射量が安定している農地だと発電効率がよいですが、山間などで影がよくできると不利なので、よく業者と検討した上で考えましょう。
発電規模や土地の面積にもよりますが、初期費用は整地や設置で数千万規模になります。メンテナンスなどは業者に任せられるので、日射量が十分確保できる土地なら安定して収入が得られます。
ただし、メンテナンスがきちんとしていないと、雑草が伸びて発電量が下がるだけでなく、周辺への迷惑もかけます。特に害獣のねぐらになりやすい太陽光発電システムはメンテナンスが重要となります。
管理の手間がかからない駐車場
道路交通法が厳しくなる中で、車社会である地方でも駐車場の需要は高まっています。駐車場にしたあとは業者に運営を任せることも可能です。とりあえず様子をみるために整地をして線を引く程度なら、数十万円もあれば可能です。需要があれば月極にすることで安定的な収入が得られます。仮に失敗しても線を引いているだけなら転用もしやすいので、試して見る価値はあります。
駐車場にする場合は路線価に注意していきましょう。固定資産税は自治体の土地の評価によって大きく異なります。また、舗装の有無や料金回収設備の有無でも固定資産税が変わってきます。節税のつもりで駐車場に転用したら数十万円の固定資産税を取られたという事例も。きちんとした不動産業者と相談しながら判断しましょう。
アパートを建てて家賃収入
初期投資が必要になりますが、アパートを建てて家賃収入を得る方法もあります。立地が良ければ多少狭い土地でも、高い収益を得ることができます。初期投資は数千万円?数億円になりますが、家賃収入でローンを相殺することも可能です。ローンを完済すればそのあとの家賃収入はそのまま収益になります。
固定資産税の面でも更地よりも建物を建てたほうが安く抑えられるので、アパート経営を考えられるなら安定収入の選択肢として数えてもよいでしょう。アパート経営をサポートしてくれる不動産業者もあり、入退去や管理などを任せることもできます。
ただし、住宅の供給過剰状態が続いているという現状はしっかり理解しておいて。自身の土地の立地にメリットがあるか、複数の業者と比較しながら判断しましょう。ただし、借り手が借り上げる範囲に入っている必要があり、借上げ期間は10年以上となります。賃料は地域によってさまざまです。
資材置き場として貸し出す
そのまま手をかけずに転用したいなら、建設などの資材置き場としての利用も良いでしょう。不動産業者などに借りたい会社の募集を依頼し、マッチングをしてもらいます。自身での管理は基本的には不要。契約の内容次第では安定した収入が見込めます。
ただし、近隣に迷惑がかからないよう配慮が必要です。火災が起きそうなものや、毒物劇物などが入り込まないよう日頃注意する必要はあります。また仕切りなどを作って、土砂が近隣に飛ばないなどの整備が必要な場合もあります。農地の用途転用をする場合は、各自治体の農政担当課に相談しましょう。
農地を売却してまとまったお金を入手
農地を国の制度に則って売却し、お金にすることも可能です。また、農地を転用して売却する場合についても簡単にみていきましょう。
農地のまま売却したいなら農地集積バンク
地域に根付く大切な農地を「農地」のまま売却・貸出したいなら、国が運営している「農地中間管理機構」があります。通称「農地集積バンク」です。国の方針で、細分化された農地を集積し、大規模農地化を推進しています。農地集積バンクは農地をまとめて大規模農家に売却や貸し出しをする制度で、市町村が窓口となって対応してくれ、売却先探しも市町村が請け負ってくれます。
ただし700億円程度の予算がこれまで投入されながらも、集積化はなかなか進んでいません。自分の農地が返ってくるとは言え、誰に貸すかわからないことや、周知が進んでいないことから制度は、なかなかうまく回っていないようです。
農家以外に売却するなら転用手続き
日本の農地は、「農地法」によって守られています。その為、一般的には農地は農業関係者以外には売れず、購入者も50a以上農地を持っている人に限られています。
しかし農業用地としての農地の維持が難しく、駐車場やアパートなど用途を転用したい場合は、各自治体の農業委員会を通じて都道府県知事の承認を受ける必要があります。また、所有している農地の用途区分に応じて転用の認可が降りにくくなっています。
農地は、農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地、第2種農地、第3種農地の5つの区分に分けられていて、上に行くほど転用は認可されません。まずは、自身が所有する農地のある自治体の農業委員会へ問い合わせて、どの区分に入っているか確かめてから転用を考えましょう。転用手続きをしておけば、不動産業者も扱いやすく、土地の利用用途が増えるので、農地のままより高値で売却できます。
売却の業者選びは見積もりを取ってから
農地とはいえど売却をすれば業者によって100万円以上の差が出ることもあります。しかし、農地はなかなか売却しにくく、取り扱う不動産業者を見つけるのも大変です。アパート活用や売却を望むなら、転用できる土地か調べた上で、取り扱ってくれる業者を探していきましょう。
ネットを使えば優良な不動産業者を見つけることができます。一括見積もりサイトなら一度の情報入力で複数社に見積り依頼をかけることができ、あまり手間がかかりません。見積りは複数社から取って比較することで、よりよい不動産業者の選択ができます。
おすすめの一括査定サイト3選
サイト名 | 利用者数 | 対象エリア | 提携会社数 | 同時依頼数 |
イエウール | 1,000万人 | 全国 | 1,700社 | 6件 |
イエイ | 400万人以上 | 全国 | 1,700社以上 | 6件 |
リビンマッチ | 440万人 | 全国 | 1,400社 | 6件 |
イエウール:全国1,700社以上に対応
地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。
利用者数 | 1,000万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6社 |
取引件数 | 非公開 |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | 株式会社Speee (Speee, Inc.) |
サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明<>も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。
イエイ:お断り代行サービスを提供
大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。
利用者数 | 400万人以上 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 1,000件以上 |
顧客満足度 | 97% |
運営会社 | セカイエ株式会社 |
都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。
なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。
リビンマッチ:利用したいサイト第1位
都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。
利用者数 | 440万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,400社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 14万件(年間) |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多い<>ので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。
目的にあった方法で農地を活用
2017年に都市農業基本法が成立し、耕作放棄地を活用した取り組みの推進が予算をつけて行われています。高齢化や後継者不足により農地は減っていますが、受け継いだ農地をどう維持するのか自身の目的にあった方法で農地を活用し、安定した収益を得ていきましょう。
また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。
参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!