マンションの査定で間違った選択をしないために
マンション売却の最初の一歩として、査定から始める人は多いです。マンションの査定は、その後の不動産会社の契約、そして実際の売却金額にまで影響が及ぶことがあります。
納得してマンションの売却をするために、査定を受ける際に知っておきたい注意点がいくつかあります。
本記事では、マンションの査定に関する注意点や、査定価格のポイント、そして査定から売却までにかかる目安の期間など、査定に関して知っておきたいことを幅広くご紹介します。
マンションの査定は複数社に依頼をした方が良い

マンションに限らず不動産査定を受ける際の基本として「複数の不動産会社から査定を受ける」ようにしましょう。
複数の査定結果を受け取ることで物件の価値を正確に知ることができたり、より信頼できる不動産会社を探すことにも繋がります。
複数の企業を比較し信頼できる業者探しができる
査定を複数の会社から受けるメリットは2点あります。
- マンションの相場感を知ることができる
- 最高額や適正価格を把握できる
不動産会社によって査定額に開きがあります。1社でのみ査定を受けた場合、その査定額が適正価格なら良いですが、相場よりも低い価格の場合は、安く売却をして損をしてしまうことがあります。また、不自然に高い場合には、そのまま売却活動をし始めてもなかなか買い手がつかないこともあります。
その他にも、査定を受けることは仲介を依頼する不動産会社選びにも役立ちます。不動産業社と査定でやりとりをする際、担当者の雰囲気や連絡頻度、誠実に対応してくれそうかを確認してみましょう。複数の不動産会社とやりとりをすれば、印象の良い担当者・不動産会社がわかると思います。
また、信頼できる不動産会社を探すには、印章面以外では以下のポイントも参考にして下さい。
<不動産会社選びのポイント>
- 売主の意向を理解し詳細まで確認できる担当者か
- 質問に丁寧かつ迅速に対応してくれる
- 不動産売却だけではなく、相続登記などあらゆる疑問をサポートしてくれる
不動産会社には得意分野と不得意分野がある
それぞれの不動産会社は、得意分野・不得意分野を持っていることが多いです。
得意エリアや分野(マンション、一戸建て、賃貸など)が異なるため、自分のマンションがあるエリアでマンションに強い不動産会社を選べたらベストです。
不動産会社の得意分野の見分け方は、取り扱い物件の実績の多さで判断することができます。これはHPなどで公表をしている場合が多いです。また、分からない場合は査定時に対応してくれた担当者に直接聞いてみると良いです。
査定で見られるポイント
マンションの査定価格は、築年数、広さ、グレード、環境などの様々な要因で割り出されます。ここでは、査定時に見られるポイントをご紹介します。
<築年数やグレード等の基本情報>
- 築年数:築浅であればあるほどに価値が高くつく傾向があります。また、ヴィンテージマンションであれば、新耐震基準の適用か否か(1981年6/1以降の建設)も査定額に大きく影響します。
- 専有面積:面積は当然広い方が価格が高くつきます。
- グレード:床や壁の防音設備や外壁の素材、共用部分の構造などのグレードによって価格に差がつきます。
- 階数:3階以上〜高層階になるほど良く、角部屋は特に人気があります。
- その他:日当たり、部屋の向き(南、東南が人気)、バルコニーの有無や面積なども査定の評価に影響があります。
<立地条件と周辺の環境>
- 交通の利便性:駅から〇分、バス停など交通の利便性は、マンションを売却する際に売れやすいかどうかに大きな影響がある大切なポイントです。利便性が高いと査定額も高くなります。
- 周辺環境:近隣の学校やスーパー、コンビニ、公共施設などがあるかどうか。
- ポイントが高い施設:病院(救急外来有)、郵便局、コンビニ、銀行、役場などがあるとさらに評価が高くなることも。
納得のいく査定を受けるための注意点

大切な資産であるマンションを売却するのであれば、納得のいく査定を受けたいと考える事がほとんどだと思います。
査定を納得して受けるために、気をつけておいた方が良いポイントがあります。
事前に用意しておいた方が良い書類
マンションの査定時には、そのマンションの間取りや面積、立地など様々な情報が必要になります。この情報が曖昧だと、ネット査定でも、不動産会社に実際に見てもらう訪問査定でも、正確な査定額を受け取りにくくなるでしょう。
正確な査定結果を受けとるために、事前に以下の書類を用意しておきましょう。
<査定の参考に用意しておきたい書類>
- 登記簿謄本コピー
- マンション住宅の間取り図などのカタログ
- マンション購入当時の契約書などの物件ファイル
上記の他にも、修繕履歴や改修工事の情報などは、メモで事前に用意しておくと良いでしょう。書類があると、より精度の高い査定結果を得ることができます。
査定の前のリフォームはしない方が良い
査定額をより高くつけてもらうため、査定前にリフォームをした方が良いか悩む人もいるかもしれません。ですが、基本的には査定前のリフォームは不要と考えておきましょう。
・リフォーム代は売却価格にプラスされない
リフォームをした場合、その金額がそのまま査定額に反映されるかといえば、難しい場合が多いと言われています。例えば、300万をかけてリフォームを行った場合、300万高く売却されることはほとんどありません。
下手に素人判断でリフォームをしてしまうことで、結果として損をしてしまう場合があるため、リフォームはしない方が無難でしょう。
・セルフリノベーション希望者の需要が増えている
近年はセルフリノベーションが流行しています。買い主がマンション購入後にセルフリノベーションを考えている事例も多く、売り主側のセンスでリフォームしてしまうと、リフォームをしてしまったことが原因で売れにくくなる可能性も。
買い主側には、購入後に自分好みにマンションをリノベーションしたいという需要があることも頭に入れておくと良いでしょう。
・それでも修繕箇所がある場合、不動産会社に相談をする
基本的にリフォームは不要とご紹介しましたが、マンションの築年数が古く老朽化が進んでいる物件の場合は、リフォームをした方が売れやすくなることもあります。
老朽化が進んでいて明らかな修繕箇所がある場合、不動産業者の意見を参考にしてリフォームを判断をすると良いでしょう。
リフォームをした方が売れやすいか、しない方が良いかは、自分で判断せず、訪問査定の際などに経験豊富な不動産会社に聞くのがおすすめです。
査定価格の注意点

査定価格は、実査にその価格でマンションが売却できると保障されたものではありません。あくまで、売却額を決める際の最初の目安となるものと覚えておきましょう。また、査定には簡易的な机上査定(ネット査定)と、実際にマンションを見て査定額が判断される訪問査定があります。
売り出す価格を決めるために参考にする査定価格
仲介を依頼して不動産を売却する場合、査定価格は不動産会社が買い取ってくれる額でも、保障をしてくれる額でもありません。不動産会社に仲介を依頼して売却する場合、「この価格で買い主を見つけますよ」というものが査定額です。また、査定を受け取ってから、実際に査定価格を参考に売り出し価格を決めるのは売り主(自分)です。
また、最初に価格をつけた後なかなか買い手が見つからなければ、売り出し価格は不動産会社と相談をして段階的に下げていくのが一般的です。
不動産会社の中には、最初に高価な査定額をだして売り主と専属の媒介契約を結び、買い手が見つからなかったら売り出し価格を下落させる方法をとる業者もいます。査定額がよかったからといって、安易に不動産業者を決めるのはあまりおすすめできません。信頼できる不動産業者かよく確認をしてから依頼をしましょう。
正確な査定額が知りたい場合には訪問査定
先ほども紹介しましたが、査定には机上査定(ネット査定・簡易査定)と訪問査定の大きく2種類の方法があります。
机上査定とは、実際にその不動産を見ずに、情報から判断をする査定方法です。マンションの立地や間取り、築年数などの必要情報を出すことで、似た物件の過去の取引額などから査定額がはじき出されます。近年では、インターネットのサイト上に情報を入力するだけで査定が受けられるようになっています。(無料のネット査定)これにより、不動産査定へのハードルが下がり、売却を決めていない段階でも受ける人が増えています。
一方で、不動産会社の担当者が、実際にマンションを見て査定をするのが訪問査定です。訪問査定は、机上査定と同じように物件情報からの判断に加え、室内の状態や騒音、日当たりなどを加えた、より正確な査定額を算出してもらうことができます。査定は訪問査定を受けなければ意味がないと言う専門家もいます。
もしもまだマンションの売却を悩んでいる状況であれば、机上査定から始めて大方の価値を知っておくと良いでしょう。実際に売却をすると決めていて、精度の高い正確な査定額を知りたい場合には、訪問査定を受けることがおすすめです。
査定は売却までにかかる期間を踏まえて依頼する
売却を決めている場合、査定を依頼するタイミングをいつにするのか悩む人も多いです。
査定のタイミングは、売却までにかかる期間を踏まえて決めると良いでしょう。特に、「いつまでに売却をしたい」という期限がある場合には、査定から物件引渡しまでの必要期間を知っておくことが大切です。
査定から物件引渡しまでに必要な期間
マンションの売却には
- 査定〜不動産会社を決める期間
- 売却活動
- 売買契約〜物件引渡しまで
大きく3つの期間に分けることができます。それぞれの平均的な所要期間を確認しておきましょう。
・査定を依頼して不動産会社を決める期間
マンション売却は、査定から始まります。複数の不動産会社に査定を依頼し、その中から売却の仲介を依頼する不動産会社を決めなければなりません。この期間はスムーズに行けば1週間、長くとも1カ月くらいを見込んでおけば良いでしょう。
・売却活動が始まり購入希望者が見つかるまでの期間
不動産会社と媒介契約を結んだら、マンションの売却活動が始まります。購入希望者の内覧などにも対応しなければなりませんし、買い手が見つかってからも条件交渉などにも時間がかかるため、いちばん手間と時間をかける時期です。売却活動を始めてから買い手が見つかるまでは、おおよそ1〜3カ月間が目安と言われています。
もし、なかなか買い手が見つからない場合には、半年ほどかかることもあります。あまり長期間売り出すのは売れ残り感が出てしまうのでよくありませんが、念のため余裕を持ったスケジュールを組んでおくことがおすすめです。
・売買契約を交わし物件引渡しまでの期間
買い手との売買条件のすり合わせが済んだら、売買契約を交わします。この後、買い手の住宅ローンの審査を待つ期間がありますので、実際に引渡しまで進むのは、おおよそ1~2カ月間が目安です。
不動産会社との媒介契約は3カ月更新
不動産会社に、売却の仲介を依頼する契約を媒介契約と言いますが、媒介契約は一般的に3カ月更新となっています。
もし、最初につけた価格で、3カ月間売出しても買い手が見つからない場合には、契約更新のタイミングで販売価格の見直しをする必要があるかもしれません。また、更新のタイミングで、不動産会社の変更を検討してみるという手もあります。
こういった媒介契約の期間も踏まえて、売却の期限から査定時期を決めていくのも良いでしょう。
おすすめの一括査定サイト3選
サイト名 | 利用者数 | 対象エリア | 提携会社数 | 同時依頼数 |
イエウール | 1,000万人 | 全国 | 1,700社 | 6件 |
イエイ | 400万人以上 | 全国 | 1,700社以上 | 6件 |
リビンマッチ | 440万人 | 全国 | 1,400社 | 6件 |
イエウール:全国1,700社以上に対応
地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。
利用者数 | 1,000万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6社 |
取引件数 | 非公開 |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | 株式会社Speee (Speee, Inc.) |
サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。
イエイ:お断り代行サービスを提供
大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。
利用者数 | 400万人以上 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 1,000件以上 |
顧客満足度 | 97% |
運営会社 | セカイエ株式会社 |
都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。
なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。
リビンマッチ:利用したいサイト第1位
都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。
利用者数 | 440万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,400社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 14万件(年間) |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。
マンションの売却は査定の注意点を理解して準備しよう

ここまで、マンションの査定に関して押さえておきたいポイントや、そして査定から売却までにかかる目安の期間などをご紹介しました。
マンション売却の最初の一歩は、査定からです。最初の査定が売却の成功に響いてくるといっても過言ではありません。納得した査定結果を受け取るためには、査定に関する注意点やポイントを理解して進めていくことが大切です。
また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。
参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!