離婚したら退職金は財産分与としてもらえる?
離婚後の財産分与は、多くの人にとっては初めての事で「分からないことだらけ」と不安を感じる方も少なくありません。特に退職金は、離婚後の遠い将来に受け取るケースが多く扱いが複雑です。ここでは退職金が財産分与に含まれるのかといった素朴な疑問から、困ったときの相談窓口まで、知って得する基礎知識をまとめました。
離婚時の退職金の財産分与について知っておこう
離婚した時の財産分与の際、退職金の扱いについて知識を深めておくことで、正当な利益を得ることができます。また、後々起こりうるトラブルも未然に防ぐことができるので確認しておきましょう。
退職金は財産分与の対象になる
離婚時の財産分与は、婚姻中に夫婦が共に協力しあって築いた共有財産が対象となります。本来退職金は離婚後に支給されるものですが、これもふたりが積み立てた共有財産とみなされるため、財産分与の対象となります。
財産分与は共有財産の折半が原則
共有財産とは婚姻中に夫婦が協力して得た財産をいいますが、その共有財産を夫婦で分配するのが財産分与です。財産分与の対象となるのは不動産や家財、預貯金はもちろん、有価証券保険金解約返戻金や車、退職金等が含まれます。
一方、共有財産とならないものを特有財産と呼び、これらは財産分与の対象にはなりません。例えば独身時代から貯めていた定期預金や、親から相続した財産などがこれに当たります。財産分与は通常、夫婦ふたりで折半するのが原則です。それは共働きに限らず専業主婦であっても平等に分配するのが基本となっています。妻の収入が多い場合でも同様です。
ただ例外もあり、大企業の社長や病院の院長など、個人の能力によって収入を得ている場合には、分与の割合が変更されます。ちなみに家庭裁判所ではなく当人同士の話し合いで決着がつけば、必ずしも折半にこだわる必要はありません。
年金負担も折半できる
夫婦間の不公平をなくし老後の生活に備えるための制度、年金分割制度(国民年金法の一部を改正する法律)が平成16年に導入されました。公的年金のうち厚生年金と旧共済年金が年金分割の対象となります。
一方、国民年金基金や厚生年金基金の上乗せ給付部分(付加部分・加算部分)の他、確定給付企業年金、確定拠出年金、また民間の私的年金は年金分割の対象とはなりません。なお年金分割制度は自動的に行われることはなく、自身で手続きをして初めて分割される仕組みになっているので注意が必要です。
離婚後に退職金を財産分与するケース
退職金には給料の後払いという側面があります。婚姻中の日々の労働で支払われる賃金の一部が積み立てられ、退職時にまとめて受け取れるという考え方です。ただ条件により対象外になる場合もあるので注意が必要です。
将来的に支払われる可能性を判断される
退職金の財産分与をする場合、将来的に退職金を受け取れる可能性が高いがどうかが考慮されます。会社の規定で退職金の支払いが決まっているか否か、また会社の経営状態によっては倒産の可能性も想定できます。さらに転職が多くて、まとまった金額がない場合には退職金の財産分与が難しくなります。
期間が長いと対象外となる可能性も
退職するまでに10年以上の期間を有する場合、中途退職や倒産等の可能性も少なからずあります。そのため退職金をもらえないというケースも。退職金が支払われる期間が遠い程、財産分与の対象となる可能性は低くなることを頭に入れておく必要があります。
寄与期間割合により財産分与も変わる
実質的な婚姻期間(同居期間)がどれぐらい続いたかや、退職金の支給にかかる勤務年数によって財産分与の割合も比例します。また配偶者が退職金の形成に貢献した度合を表す「寄与期間割合」を基に、財産分与の金額が算出されます。
離婚前に退職金が支払われているケース
離婚前に退職金が支払われている場合、相当額の退職金が残っているかどうかが問題になりますが、退職金は退職金としてではなく預貯金等に形を変えた財産と受け取ることもできます。その財産を財産分与の対象に含めて算出することが可能です。
退職金の財産分与の対象額を求める計算式
退職金の財産分与の額を導き出すには婚姻期間や婚姻中の協力期間、または別居していた期間などが考慮されます。それぞれの条件に応じた計算式が存在するので参考にしましょう。
婚姻期間を対象として退職金の割合を求める
熟年離婚で婚姻期間中に退職金が支払われるなら財産分与に問題はありませんが、現実には離婚後に退職金を受け取る場合が多く、退職金の中から婚姻期間に似合った金額を算定する必要があります。
割合の求め方は「財産分与対象額=退職金総額×婚姻期間÷勤続期間通常退職金」となっており、勤続期間に応じて金額は上がります。
別居期間を対象期間から外して割合を求める
財産分与の対象額を求める時は別居期間も考慮されます。夫婦関係に問題がなく別居の理由が転勤などの場合は、夫婦の協力があると見なされるため別居期間が含まれます。一方、夫婦関係の悪化が別居理由の場合は別居期間を含まないのが一般的です。計算式は「財産分与対象額=退職金総額×(婚姻期間-別居期間)÷勤続期間」となります。
夫婦の協力期間を対象として割合を求める
例え別居していても育児や家事等を行っているなら、夫婦に協力があったと見なされ協力期間が考慮されます。逆に同居していても家事や育児を放棄したり、生活費を浪費するようなら協力期間はないとみなされるのが一般的です。このような場合は、「財産分与対象額=退職金総額×婚姻中の協力期間÷勤続期間」で財産分与の対象額を求めることができます。
離婚時の退職金の財産分与に関する注意点
退職金が財産分与の対象になるとは言え、注意するべき点や条件も存在します。知らないことで不利益を出さないためにも事前に確認しておきましょう。
財産分与の請求期限は2年以内
財産分与にも請求期限があるため注意が必要です。それは離婚が成立した日(役所に離婚届を提出した日)から2年以内と決まっています。調停離婚や裁判離婚を行った場合は調停で離婚が成立した日、もしくは裁判で離婚が成立した日から計算されることになっているため確認しておきましょう。
離婚後の話し合いは長期化することが少なくありません。知らないうちに期限が過ぎていたという事がないようにしたいものです。また離婚の話し合いが平行線で2年を経ても離婚届を出していない場合は、請求期限が進行していないので財産分与を請求することに問題はありません。
10年以内の退職が財産分与対象となる限界
財産分与の対象になる退職金ですが、基本的に退職の予定が10年以上も先である場合、退職金は財産分与に含まれない可能性が高くなります。支給時期があまりに遠いと本当に退職金が支払われるかどうかが不確実なためです。
退職金が財産分与の対象となる条件として、10年以内の退職が挙げられます。10年以内に退職金が受け取れるなら財産分与に問題はありませんが、退職が10年以上先である場合は対象にならない可能性が高いので注意が必要です。
離婚時に退職金が残っている状況であること
離婚時に元配偶者の退職金が残っていれば問題ありませんが、退職金を受給してから長い年月が経つと、すでに退職金が無くなって残っていないというケースも多く見られます。その場合、財産分与の対象にならない可能性が高くなるので確認が必要です。
離婚時の財産分与についての相談窓口
離婚時の財産分与に関しては、専門的で複雑なため戸惑う人も多いようです。そんな時は金銭的な財産分与や不動産の関する手続きなど、それぞれの専門分野に強い専門家に相談するのが良いでしょう。
離婚の際の金銭的財産分与の相談は弁護士へ
財産分与は専門知識を要することが多く複雑で分かりにくいため、自分たちで対処が難しい場合もあります。そのような場合、離婚を専門とする離婚弁護士に相談をするとよいでしょう。気になる訴訟までの費用ですが約70万円が相場となっています。市役所では無料の相談窓口(相談のみ)もあるので積極的に利用しましょう。
不動産に関わる財産分与の手続きは司法書士へ
離婚の協議で不動産の名義を相手方に移す事になった場合、名義変更は専門家である「司法書士」に依頼する必要があります。報酬額は各司法書士や地域によって前後するため一律ではありませんが、名義変更にかかる費用の相場は10万円前後〜20万円前後となっています。
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退職金の財産分与は離婚のタイミングがポイント
退職金が財産分与の対象になるか否かは、退職金の支払いが離婚前か離婚後なのかという、離婚のタイミングで決まります。また離婚後10年以内なら財産分与の対象になりますが、10年以上先に支払われる退職金については対象にならないのが一般的です。正当な利益を得るためにも、これらを事前に確認しておきましょう。
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