不動産の売却で委任状が必要な場合と作成方法を詳しく解説します 

委任状は代理人の権限を示すもの

不動産売買においては代理人を立てることがあります。そして、この代理人は委任状によってその権限を有することになります。

なお、この委任状は代理人に権限を付与するだけでなく、代理人による不動産売買契約における委任をおこなう範囲を明確に規定する役割もあります。これは、代理人になれば当事者と同じように権限を持つために、委任状で委任する範囲を縛っておかなければ何でもできるからです。

特に、この委任状が白紙の場合にはその後に問題となることも多いです。今回はこの委任状の例、書式や必要なもの、ポイントを解説します。後悔しないように、しっかりと委任状を作成できるようにしましょう。

不動産の売却で委任状が必要な例

人によって委任状を作ったことがある人やそうでない人もいると思います。特に作ったことのない人からすれば、どんなときに作ればよいのかよくわからないでしょう。そこで、ここでは委任状の知識がない人のために、こんな不動産売却の例で委任状が必要なことをまずは解説します。

具体的には、以下の3つの場合で委任状は必要になります。

  • 不動産の所有者が手続きに立ち会えない場合
  • 不動産が共同名義で全員の都合を合わせられない場合
  • 取引上の必要書類の取得や取引が不安な場合

さらに、詳しい内容に関しては下でみていきましょう。もしも、あなたが委任状を作ろうか悩んでいるのなら、こちらに当てはまるかを確認してください。

不動産の所有者が手続きに立ち会えない場合

この場合に考えられるのは、例えば所有者が病気や事故で入院もしくは療養中のときです。このようなケースでは手続きを自身で行うのは困難でしょうから、代理人を立てるのは当然でしょう。

また、物件と所有者の居住場所が遠方であったり、海外のときもこちらに当てはまります。日本に住んでいても地方から都会に出て、就職を行えばあり得ることです。これらのようなことが、不動産の所有者が手続きに立ち会えない場合の例として考えられます。

不動産が共同名義で全員の都合を合わせられない場合

この場合では、2つの例が考えられます。まず、離婚を行う際に夫婦の名義になっている不動産を売却するときです。このようなときには、代理人を立てればスムーズにことが進むので、行われることがあります。

次に、不動産を遺産として相続して、複数の人が所有者になっているときです。基本的に契約手続きや残金決済・引渡し時は全員の立会いが原則のため、必ず相続人がその場にいる必要があります。しかし、実際問題として相続人が同じ日に立ち会えるかといえば、それは難しいことも当然あります。

そのため、代理人を立てることもあります。以上が不動産が共同名義で全員の都合を合わせられない場合には考えられます。

取引上の必要書類の取得や取引が不安な場合

基本的に所有者の代理人は身近な人が行うことが多いです。しかし、お願いができない事情があるときには稀な例ではありますが、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して手続きを進めてもらうこともあります。なお、多くは司法書士にお願いします。

これは、登録免許税や不動産取得税の算出のために必要な「固定資産評価証明書」の取得のために、司法書士に依頼することがあるからです。また、代理人を司法書士に依頼する場合には当然費用が発生しますが、法律の知識が豊富な分、取引を優位に進めてもらえるメリットがあります。

したがって、この場合で代理人を立てるのであれば司法書士にお願いしてください。

委任状の書式と準備するもの

あなたが代理人を立てる必要があるのかについては良く分かったでしょう。それでは、実際に委任状を作る際にどんなことに注意すればよいのかを解説していきます。

なお、委任状に決まったフォーマットはありません。不動産の所有者本人の意向を示す内容が記載されれば委任状としては機能します。ただし、作成者が不動産会社や司法書士の場合には、独自のフォーマットがある可能性はあります。

また、多くの機関で「作成から3ヶ月以内」のものを提出するよう求められます。つまり、まとめると作成から3ヶ月以内であり、所有者本人の意向を示す内容が記載されれば大丈夫だということです。

ここでは、実際に記載すべき内容や株主総会で利用する場合、作成時に必要なものについて詳しくみていきましょう。

記載すべき内容

委任状で記載すべき内容は次の6つです。

  1. 不動産そのものの情報・土地の表示項目、建物の表示項目
  2. 委任の範囲
  3. 代理人の住所氏名
  4. 委任者(所有者本人)の住所氏名の署名・押印(実印)
  5. 書類に欠かせない事項(書面日付や以上・委任状の有効期間)など
  6. 自筆による署名

さらに、補足していくと「1.不動産そのものの情報・土地の表示項目」は所在や地番、地目、地積などのことで、建物の表示項目は所在、家屋番号、種類、構造、床面積などのことです。

また、「2.委任の範囲」は、媒介委託に関する権限や不動産売買契約の締結に関する権限、手付金や売買代金の受領等に関する権限、引渡しに関する権限などです。

この他注意として、白紙の委任状は代理人が何でもできてしまうためやめましょう。後で問題となることがあります。しっかりと代理人の権限を定めて納得した売買が行えるようにしましょう。

株主総会で使用する場合

委任状を株主総会で使用するときには、以下の5つ記載や必要なものなどがあります。

  1. 株主総会の日時や開催場所
  2. 回数
  3. 定時/臨時の区別
  4. 押印(会社に届け出た印鑑)
  5. 委任者の免許証のコピーなど

こちらも補足していくと、5に関しては免許証のコピー以外にはパスポートでも大丈夫です。なお、注意として4は必ず会社に届け出た印鑑で押印してください。

作成時に必要なもの

作成時に必要なものは以下の2つです。

  1. 委任者(所有者本人)の印鑑証明書(3か月以内のもの)、実印、住民票
  2. 代理人の印鑑証明書(3か月以内のもの)・実印・代理人の本人確認書類

補足していくと、2は代理人の本人確認書類は身分をしっかりと証明できる必要があるので、運転免許証などの写真付き身分証明書が必要です。また、注意として委任状は所有者1人につき1枚です。そのため、所有者が複数いる場合、全員分の委任状が必要になることを忘れないようにしてください。

これらをしっかりと用意して委任状を作成しましょう。

不動産会社担当者とは事前に顔合わせをしておく必要がある

委任状を解説したとおりに記入して、作成したら後は代理人にすべてを任せればよいわけではありません。しっかりと不動産会社の担当者と事前に顔合わせしておく必要があります。これは、いきなり良く知らない代理人が面会しに来ても、正式に認可されないことがあるからです。

そのため、いきなり委任状を携えた代理人に面会することのないように、しっかりと面会を行って不動産会社担当者との信頼関係を築くようにしてください。これが、委任状を作成して、代理人にお願いするために最後に行うことです。

委任状を正しく書いて不動産売却の手続きを円滑に

委任状は不動産の所有者が手続きに立ち会えない場合などで作成され、代理人に手続きをお願いするものです。また、基本的に委任状にはフォーマットはありませんが、作成から3ヶ月以内であり、所有者本人の意向を示す内容が記載されている必要があります。

なお、委任状を株主総会で使用するときや作成時には記載すべきこと、必要なものがあります。最後に、事前に不動産会社に代理人の顔合わせをしておきましょう。

ぜひ、解説した知識で委任状を正しく書いてください。そうすればきっと不動産の手続きが円滑になるでしょう。