不動産の所有権移転登記にかかる費用を知ろう|諸費用を含めて詳しく解説

不動産を所有することを証明する仕組みである「登記」には所定の手続きが必要で、費用がかかります。

登記を行うことで「自分の所有」と認められ、家を建てたり賃貸にすることができるようになります。

通常の不動産取引には、不動産の代金とは別にさまざまな費用がかかりますが、ここでは「所有権移転登記」ににかかる費用を解説します。

所有権移転登記に掛かる費用の内訳

所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったときに、新たな所有者情報を登録する手続きです。

所有権の移転にはさまざまな原因があり、税率も異なります。

所有権移転登記にかかる費用は、大きく分けると「登録免許税」「登記を依頼する場合の司法書士への報酬」「その他の雑費」の3つがあります。

 登録免許税

所有権移転登記には、必ず「登録免許税」という税金が発生します。

法務局で申請する際、登記申請書に「収入印紙」を貼り付けて納付します。

税額は、所有権移転登記手続きを行う不動産の固定資産税評価額に税率をかけて算出されます。

【STEP1】まずは固定資産評価額を調べる

固定資産評価額は、毎年4月ごろ送付される「固定資産税の納税通知書」か、不動産所在地の市町村役場で取得できる「固定資産税評価証明書」に記載されています。

それぞれ書式が異なるため、記載されている場所も違います。間違いなく「固定資産税評価額」であるかどうかよく確かめましょう。

【STEP2】税率を調べる

登録免許税の税率は、移転登記の原因が「相続」なのか「相続以外」なのかによって税率が異なります。

土地の登録免許税

所有権移転の原因 税率
売買 1000分の20
相続 1000分の4
贈与 1000分の20

(注意)平成31年3月31日までの登記申請は1000分の15の軽減税率が適用されていましたが、令和元年5月現在ではすでに廃止されています。

建物の登録免許税

所有権移転の原因 税率 軽減税率
売買 1000分の20 個人が居住用として取得し、要件を満たせば1000分の3
相続 1000分の4 なし
贈与 1000分の20 なし

司法書士に依頼する場合は報酬費用が必要

不動産の所有権移転登記は「権利の登録」であり、誰にでもできることにはなっていますが非常に専門的で煩雑であることから、法的手続きの専門家である司法書士が代行するのが一般的です。

依頼する内容は、自分で書類を集めその後の登記手続きだけを、またそれらすべてを任せることも自由に決められます。

報酬は、2003年3月31日まで司法書士報酬額基準によって定められていましたが、現在は自由に設定できます。

ただ、現実としては以前の司法書士報酬額基準をもとに設定されることが多いようです。

2003年3月31日まで定められていた司法書士報酬額基準

課税標準価格 基本報酬
500万円まで 1万3,060円以上1万6,260円以下
1,000万円まで 1万5,480円以上1万9,170円以下
1,000万円を超えるもの 上記に1,000万円までごとに2,420円以上2,810円以下を加える
1億円を超えるもの 1,000万円までごとに1,740円以上2,130円以下を加える

これはあくまで目安と考えてください。

依頼する司法書士が決まったら、具体的な費用を事前に見積もってもらうと良いでしょう。

その他に掛かる雑費

不動産登記手続きの前提として、該当する不動産の現在の名義人や権利関係を確認するため、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して添付しなくてはなりません。

また登記申請書には印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書なども必要です。

登記簿謄本(登記事項証明書)取得費用 1通につき600円
印鑑証明書・住民票・固定資産評価証明書 1通につき300円

それ以外にも登記の内容によって別途必要となる書類もあります。

例えば相続による所有権移転登記なら、相続関係のわかる戸籍謄本一式が必要で、戸籍謄本は1通450円、除籍・原戸籍謄本は1通750円の取得手数料がかかります。

郵送で取り寄せる場合はさらに切手代と小為替の手数料もかかります。

所有権移転登記を自分で手続きする事は出来るのか

ほとんどの場合、所有権移転登記は司法書士に依頼しますが、本来は誰でも手続きできます。

司法書士報酬を節約するために自分で手続きすることも可能ですが、もともと法律にまつわる専門的な手続きなため、注意点がたくさんあります。

法律上問題はないが金融機関がNGを出す場合がある

自分で所有権移転登記することは法的には問題はありません。

ただ、手慣れた専門家ではないためかなり時間がかかることは覚悟しなくてはなりません。

当然、移転登記がもたついて着工が遅れることも十分あり得ます。

また住宅会社や金融機関にとっては、専門家に任せないということは、理由はどうあれ「所有権を移転しない可能性」があり、融資取引に関して大きなリスクになります。

専門家であれば手続きがスムーズなだけでなくその責任として所有権移転登記を間違いなく完了させますが、個人になると「融資だけ受けて所有権を移転しない」という可能性もあるからです。

そのためどの金融機関によっては、所有権移転登記手続きは「専門家に依頼する」ことを前提としている場合もあります。

自分で行うリスク

ネットで所有権移転登記と検索すると、「申請が遅れ他人に割り込みで登記され土地を取られる」「申請ミスで所有権が移転できていなかった」といった事例が見られますが、所有権移転登記にはもともと登記事項証明書が必要なため、基本的にはそんなことはあり得ません。

ただ、ただでさえ初めて手がける上に、高度に法律の知識が必要な手続きです。

必要書類が何かを調べることから始めて、それらを一つずつ申請して取得し、登記申請書を作成するなど時間や手間は思った以上にかかります。

また、登記申請する法務局の窓口は平日昼間しか開いていません。

そのために有給休暇を申請して仕事を休んだり、遠方なら交通費もかかります。

この「手間と時間」は、自分で所有権移転登記を行う上で大きなリスクと言えます。

自分で所有権移転登記する場合

自分で所有権移転登記するときは、司法書士が行うときの手順と同じで、まず「必要書類を揃え」、「法務局へ申請」します。

①必要書類を揃える

所有権移転登記に必要な書類は以下です。

  • 登記申請書:法務局のホームページからダウンロードして作成するか、オンラインでそのまま申請することもできます。記載例もありますからじっくり確認しながら作成できます。
  • 収入印紙:登録免許税分の額面の収入印紙が必要です。書き直しもあり得ますから、貼り付けは申請書を法務局で確認してもらった後にしましょう。
  • 登記原因証明情報:売買契約書など「元の所有者と新しい所有者の合意の上で所有権を移転する」ことがわかる書類のことです。いつ、誰から誰に、どのような目的で、どの不動産が移動するのかが記載されていなくてはなりません。
  • 代理権限証明情報:当事者以外の誰かが手続きする場合に必要な「委任状」のことを言います。ネットで「登記 代理権限証明情報」などと検索して無料の書式を利用したり、法務局のホームページにある記載例を参考に作成します。もちろん自分で申請するときは不要です。
  • 印鑑証明:売買契約での所有権移転では、売主の印鑑証明が必要です。
  • 住所証明情報:新しく所有者となる人の住民票の写しのことです。
  • 登記識別情報または登記済証:登記識別情報とは登記が完了したことを通知する書類をいい、登記済証とはいわゆる権利書です。どちらも正式な所有者である事の証明になります。

②書類が揃ったら法務局へ提出

書類を揃えたら、それらを持って法務局の窓口に提出します。

そのとき、書類の不足や印紙の貼る場所・貼り方などに不備がある可能性があるため、確認してもらいましょう。

問題なく受理されれば一週間ほどで登記事項証明書が発行されますから、それを受け取って手続きは終了です。

不動産の売却に掛かる諸費用は不動産会社に聞いてみよう

不動産の売却には、所有権移転登記以外にもさまざまな費用がかかります。状況によっても異なるなど複雑なため慣れていない自分だけで全ての手続きを行うのは簡単ではありません。

専門的な知識を持ったプロへ相談することが大切

不動産売買には、不動産の状態によって一定の条件が付されることもあります。

建物付き土地で、建物が非常に古く解体を前提としている場合、解体にかかる費用をどちらが負担するかは重要です。

解体費用は木造で坪あたり3万円から4万円、鉄筋コンクリート造りで坪あたり6万円から8万円が目安とされ、木造一戸建てを解体すると100万円以上かかることも珍しくありません。

また境界が曖昧な土地の売買では、確定測量を行い境界を確定して引き渡す場合もあります。

この場合、土地面積40坪、隣地所有者3名から4名で、国や自治体との境界(官民境界)が確定している場合で30万円から40万円程度の費用がかかるのが一般的です。

このように状況によってかかる費用の種類や金額はさまざまです。慣れない不動産の費用は、できるだけ不動産会社などの専門家に相談しましょう。

費用を残らず教えてもらえますし、全く想定していなかった費用や手間も指摘してもらえます。スムーズに手続きを進めるために、賢く利用したいものです。

一括査定サイトを利用して自分に合った不動産会社を見つける

最も重要なのは、不動産査定を「複数社に依頼すること」です。

なぜなら、不動産会社によってさまざまな査定ポイントがあり、査定額を比較して不動産会社を決めることが、売却成功の近道になるからです。

また、およその売却価格相場も理解でき、安く買い叩かれることも防げます。

その最初の一歩は、ネットで簡単に利用できる不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。

一括査定サイトでは、所有している不動産の簡単な情報を一度入力すれば、提携する複数の不動産会社から査定結果が送られてきます。

その査定結果を他の不動産会社に持ち込むこともできますし、その中から自分に合う一社を選ぶこともできます。

不動産売買は数カ月から一年以上かかる場合もあります。

最初の査定額はもちろんですが、わからないことや無理なことでも相談しやすい「自分に合った」不動産会社でなくては長期間、協力し合うことはできません。

できるだけ多くの不動産会社に接し、最適な不動産会社を見つけるために、一括査定サイトを必ず利用しましょう。

不動産の所有権移転登記に掛かる費用相場を計算してみよう

不動産の所有権移転登記は、申請そのものにかかる費用とは別に、添付する書類の取得にも費用はかかります。

登記は間違いなく完了しておかなければトラブルになることもあるため、費用や手間を考えてできるだけスムーズに行いたいものです。

所有権移転登記は司法書士に依頼するのが一般的ですが、所有者自身で行うこともできます。

ただ専門的で状況によって用意すべき書類が変わることもあるため、まず不動産会社や専門家に相談するのがおすすめです。