土地の名義変更をするメリットと手続きの仕方

両親から土地を相続した場合や、新しく不動産を購入した場合、土地の名義変更を行うことが一般的です。

しかし、日本では所有者が不明の土地が増え続けていると言われています。

土地の名義変更は、義務ではなく期限や罰則などがないことが、所有者不明の土地が増えている原因と言われています。

名義変更は義務ではなく、必ず行わないといけないものではありません。

しかし、名義変更を行わないでそのままにしておくと、デメリットが発生してしまいます。

この記事では、土地の名義変更を行うことのメリット・デメリットを紹介します。

また、具体的な名義変更の手順や費用、必要書類などについても詳しく解説します。

土地の名義変更は義務ではない

土地を相続、贈与、財産分与、売買したとき、多くの人は土地の名義変更を行います。

しかし、不動産名義変更は「権利」であって「義務」ではないことを知っていますか?

不動産の名義は、第三者に自分が所有している土地だと主張するためのものです。そのため、売買などを行わず、第三者に主張する必要がない状況の場合、手間とお金をかけてまで名義変更をしたくないと、そのままにしている人も存在します。

一方、土地を自身で売却をする場合には、名義変更をしないと不動産の売却はできません。名義変更は義務ではありませんが、売買をする場合などは、実質名義変更を行わなくてはならないということになります。

土地の名義変更をするメリットとは

 

義務ではない土地の名義変更ですが、行うことでどのようなメリットがあるでしょうか。名義変更をすることで所有者にとってメリットとなるポイントを2点ご紹介します。

【メリット1】土地の権利に関するトラブルを回避できる

名義変更をきちんと行うことの大きなメリットは、トラブルを回避できる点です。

例えば、親から相続した土地を名義変更をしないでそのままにしておく場合、その間に土地の相続人も増えていくことになります。時間とともに子孫が増えていくからです。

相続の権利がある親戚全てと関係があり、仲が良いとは限りません。相続では、関わる人の数が多ければ多いほど、トラブルのリスクも高くなってしまう傾向があります。

そのため、万が一に備えて早めに土地の名義変更をし、土地の権利者を明確にしておくことが大切です。トラブルを回避するという意味では、土地の名義人を明確にしておくに越したことはありません。

【メリット2】早く行えば費用を安く済ませられる

土地の実質的な所有者が変わってから何十年も名義変更しないで放置していた場合、名義変更の手続きはどんどん複雑になります。

相続の権利がある人が増えており調査が必要、元の所有者の戸籍謄本などの資料を取り寄せなくてはならないなど、手間と時間がかかります。必要書類を揃えるのに手間と時間がかかるだけではなく、費用がかさんでしまうことも避けられません。

所有者が明確な時期に、早めに名義変更をしてしまうことで、手続きも簡単で費用も安く済ますことができます。

土地の名義変更をしないでおくデメリット

土地の名義変更を行わないでそのままにしておく場合、売却時や土地活用時に困ることになります。また、長い間名義を変えずにしておくことで、公共事業などの妨げになってしまうことがあります。

土地の名義変更をしないデメリットの詳細を解説します。

【デメリット1】土地を売却することができない

名義変更を行っていない土地は、売却することはできません。これが一つ目のデメリットです。

不動産の売買契約は、売主と買主の名義で取り交わされます。そのため、売却したい土地の名義が亡くなった親だった場合、売買契約を結ぶことができません。

土地を含め不動産の名義変更には、義務も期限もありません。しかし、売却を考えているのであれば売却活動を行う前に名義変更を完了させる必要があります。

今のところ売却する予定がなくても、子供の代などで将来的に売却する可能性は0ではありません。いざ売却しようと考えたとき、手続きを複雑にしないために、早い段階で名義変更を行うことをおすすめします。

【デメリット2】土地活用ができない

土地を所有している場合、固定資産税を支払い続けなくてはなりません。税金対策として、土地活用をしようと考えている場合にも、名義変更を行わなくてはなりません。

売却時だけでなく、貸し出す際や駐車場経営などの土地活用を行いたいときも、土地活用を行う本人の名義であることが必要です。

このように名義変更を行わない土地は、土地活用もできない点もデメリットです。

【デメリット3】公共事業の妨げになる場合もある

名義変更を行わないまま世代を重ね、相続関係者が増え複雑になってしまっている土地が日本中にあります。相続人の中には、自分が相続の権利があるということを知らない人もいるでしょう。

こういった土地は、相続の権利がある人の人数が膨れ上がっており、権利が明確ではないために土地の処遇を簡単に決めることができません。国や自治体が公共事業で土地を使いたいと思っていても、このような状態の土地が妨げになって進まないといるケースも数多くあるのです。

土地の名義変更をする方法

さて、ここまで土地の名義変更を行うメリット・そのままにしておくことのデメリットを確認してきました。ご紹介したように、土地の名義変更は早い段階で行う方がのちのトラブルを避けることができます。

ここからは、土地の名義変更を行う方法について確認していきます。

自分で行う場合

土地の名義変更は自分で行うことが可能です。個別のケースによっては手続きが複雑な場合もありますが、不動産の名義変更手続きは、必ず専門家に依頼しなければならないというものではなく、自分で行うこともできます。

名義変更の手続きは、土地を管轄している法務局で行います。

この手続きを登記申請と言います。

自分で登記申請を行う場合、複数の必要書類を集める・平日、法務局の空いている時間に手続きに行かなくてはいけないなど、時間や労力が必要です。

時間や労力をかけることをいとわなければ、自分で名義変更を行うことで、専門家への報酬分の費用を節約することができます。

専門家に依頼する

土地の名義変更を行う場合、依頼する専門家は司法書士か行政書士となります。それぞれの専門家が代行してくれる工程は下記のようになっています。

<司法書士>
1 名義変更に必要な書類の取得
2 遺産分割協議書の作成
3 不動産の名義変更手続き
4 登録免許税の納税
5 権利書の受け取り

<行政書士>
1 名義変更に必要な書類の取得
2 遺産分割協議書の作成

行政書士は、不動産の名義変更手続きを登録免許税の納税や、権利書の受け取りが代行できません。

そのため、手間を省くために最初から司法書士に依頼した方がスムーズでしょう。

相続した土地は売却がおすすめ

名義変更を行う理由として、土地を相続したというケースも多いでしょう。

相続した土地は、毎年固定資産税がかかるだけでなく維持費も必要になり、思った以上に費用がかかると感じる人も多いでしょう。

相続した土地の維持や管理が難しい場合や、相続人で均等に資産を分ける場合は売却をしてしまうことをおすすめします。

土地を売却して資金化してしまうことで、相続後のトラブルを防ぐことにつながる上、税金対策にもつながります。

売却を考える場合、実勢に売却活動を始める前の準備として、土地を売却した際どれくらいで売却できるのか、「相場」を把握しておきましょう。

相場を把握するために、複数の不動産会社に土地の査定を依頼できる、「一括査定サイト」の利用が便利です。

一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社から受け取った査定結果を見比べることで、所有している土地がおおよそどのくらいの価格で売却できるかを把握することができます。

また、売却を成功させるためには良い不動産会社と二人三脚で進めることが必要ですが、複数の会社とコンタクトが取れる一括査定サイトは売却を任せる優良な不動産会社を探すことにも便利です。

利用料金は無料ですので、売却を悩んでいる段階でも気軽に利用することができる点もメリットです。

土地の名義変更に必要な書類

土地の名義変更には、複数の書類が必要です。

売買、贈与、相続、離婚のそれぞれのケースで必要な書類をまとめています。

同じ名義変更でも名義変更が必要な理由によって必要書類が異なるため、間違えないようにしましょう。

売買による名義変更の場合

不動産売買によってその土地の所有者が売主から買主に移る際にも、名義変更が必要になります。必要書類は以下のようになります。

売主 買主 売主・買主共同で用意するもの
・登記済証(権利書)
・印鑑証明書
・実印を押した委任状
・売却する不動産の固定資産税の評価証明書(法務局によっては不要)
・認印(実印も可)を押した委任状
・住民票
・売買契約書など、登記原因証明情報になるもの

必要書類のうち、委任状という項目がありますが、登記申請を司法書士に依頼する場合に必要な書類です。

また、登記原因証明情報とは、その名義変更が必要になったことを明らかにするために必要な書類です。

売買契約書を準備すれば問題ありません。

贈与による名義変更の場合

土地を贈与する場合の名義変更の場合は、以下の書類が必要になります。

贈与者 受贈者 その他
・登記識別情報通知「登記済権利証」
・印鑑証明書(3カ月以内のもの)
・住民票 ・名義変更する年度の固定資産評価証明書

・贈与契約書、贈与証書

登記識別情報通知「登記済権利証」は、土地を所有した際に所有者として登記が完了した際に発行された書類です。

贈与契約書や贈与証書は、贈与によって土地の権利が移行したことがわかる書類として必要となります。

相続による名義変更の場合

相続にによる名義変更の場合、主に被相続人(亡くなった人)に関する書類と、新しい権利者である相続人に関する書類、そしてどちらともに関わるその他の書類が必要です。

被相続人(前の所有者) 相続人(新しい所有者) その他
・戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍
・住民票の除票(または戸籍の附票)
・戸籍謄本
・住民票
・名義変更する年度の固定資産評価証明書
・相続関係説明図(戸籍謄本などの原本を還付するため)

被相続人の戸籍謄本は生まれてから死亡までがわかる書類である必要があります。

また、住民票の除票は登記簿と同一の住所と本籍地が記載されているものを準備してください。

相続人が準備する書類のうち、戸籍謄本は法定相続人全員分が必要です。

これらの書類以外にも、相続時の状況によっては、遺言状や遺産分割協議書などが必要になります。

離婚による名義変更の場合

離婚に伴い不動産の名義変更が必要なケースもあります。離婚の場合には以下の書類が必要です。

元の名義人 新名義人 その他
・登記識別情報(登記済権利証)
・印鑑証明書(3か月以内のもの)
・固定資産評価証明書
・住所証明書または住民票 ・離婚協議書
・財産分与契約書
・戸籍謄本

離婚によって名義変更が必要になったことを確認するため、離婚協議書などが必要となります。新名義人が用意する住民票はマイナンバー記載がないもので問題ありません。

土地の名義変更にかかる費用

土地の名義変更にはお金がかかります。

具体的にどれくらいの費用がかかるのかを、あらかじめ把握しておきましょう。

自分で名義変更をする場合

自分で名義変更する場合には専門家への報酬などは節約できますが、それでも費用はかかります。

まず、税金を支払う必要があります。不動産の名義変更には、法務局への申請の際に、登録免許税がかかります

登録免許税は、固定資産評価額に一定の税率を掛け算出します。税率は、名義変更の理由によって異なります。

<登録免許税の税率一覧>

相続の場合:1000分の4
贈与の場合:1000分の20
離婚の場合:1000分の20
売買の場合:1000分の20(土地は1000分の15)

その他にも、戸籍謄本(1通 450円)や住民票(1通 300円)など、必要書類の取得の際に手数料がかかりますので、覚えておきましょう。

司法書士に依頼する場合

司法書士に名義変更を依頼する場合は、自分で行う際にも必要だった登録免許税や書類取得の手数料以外にも代行料がかかります。

費用の相場は4~7万くらいでしょう。

代行料は依頼する内容によって異なります。

例えば、登記申請書の作成だけの場合、手続き全ての代行を依頼するよりも安く済みます。

できるだけ節約したい場合には、書類の準備をはじめとしたできる範囲を自分で行うことで安くすることができます。

土地の名義変更のトラブル事例

スムーズに名義変更を進めることができれば良いですが、中には名義変更時にトラブルが発生することがあります。ここでは、名義変更時によくあるトラブルの事例を2つご紹介します。

【事例1】名義変更が複数必要となるケースも

不動産の名義変更を行わず、次の相続が発生してしまうと名義変更が複数回必要になる場合があります

父が亡くなり、名義変更をしようと思って調べたところ、その土地の名義が前の代の祖父になっているケースがあります。

このような場合、一般的には、相続の回数分だけ登記(名義変更)が必要になります。

①祖父から父、②父から自分の2回分です。通常の名義変更より費用も高くなるため、できるだけ避けたい事例です。

なお、中間の相続(この場合父)が単独の相続人である場合、依頼する司法書士によっては相続登記を1回で済ませることができる場合があります。

まずは、専門家に相談をして進めましょう。

事例2】相続人が増えて、財産分与時にトラブルも

名義変更を放置している間に、相続人が増えてしまうと財産分与がスムーズに進まなくなってしまいます。

名義変更の手続きをしないまま月日が流れると、相続人は親子や兄弟だけでは済まなくなります。

甥や姪、その妻や子なども相続人として権利がある状態まで進んでしまうと、どのように遺産を分割していいか分からなくなるケースも多く見られます。

親族間での揉め事を防ぐという意味でも、適切な時期に名義変更を行うことが大切です。

土地の名義変更は義務ではないがしておいたほうがよい

土地の名義変更について、メリットやデメリットに加え、実際の名義変更の方法や必要書類やトラブル事例などを幅広く紹介しました。

土地の名義変更は義務ではありませんが、そのままにしておく場合デメリットはあっても、メリットはほぼありません

所有者が移った場合には、速やかに名義変更を行った方がのちの自分や親族のためでしょう。

土地を相続しても、維持や管理が難しい場合には売却して現金化してしまいましょう。

トラブルを避けるという点でも有効な方法です。

売却を検討し始めた段階で、どれくらいの金額で売却できそうか、一度一括査定サイトで調べて見ると良いでしょう。

価格を把握した上で、今後の土地の処遇を決めるようにするとスムーズに活動を進めることにつながります。