中古マンションの減価償却を解説|経費計算をパターン別に紹介

中古マンションの減価償却は、確定申告につきものです。

最近マンションの不動産投資を始めたという人は、そもそも確定申告の経験が無い、減価償却について良く分かっていないということも多いのではないでしょうか。

不動産投資や売却において、確定申告は大切な手続きの1つです。

この記事では減価償却の基礎知識から具体的な事例を交えた計算方法を、段階を踏んで解説していきます。

また確定申告について迷っている人向けに、分かりやすくQ&Aで気になる疑問についてもまとめましたので、不安なく確定申告が迎えられるようになります。

減価償却について

減価償却とは計算方法の1つであり、会計上の処理を指す言葉です。取得した不動産の購入金額を一定年数ごと分けて、どのくらい価値が下がったかを計算し、実際の会計に反映させるために使います。

個人で投資マンションを所有している場合など、個人で不動産を取得した場合は必ず行うよう法律で定められていることもポイントです。

減価償却をする理由

マンションの売却や投資用マンションを所有している人が、その所有している年数に応じてかかった費用を毎年計上するために使います。

投資用マンションを購入すると、その購入費はあなたの資産になります。しかし何年も所有すると経年劣化が起こるため、価値が下がっていきます。この「下がっていく価値」を「投資用マンションとして使用した費用」として経費に計上するのが減価償却の仕組みです。

投資用マンションなどで確定申告をする場合、税金は収入から経費を差し引いた部分にかかります。つまり減価償却を行って適切に経費計上をすれば、税金がかかる範囲が小さくなるというわけです。

資産価値の下がり具合は耐用年数で判断する

減価償却は資産の種類や構造ごとに決定された法定耐用年数を利用し、これを元に物件の耐用年数を計算します。主なものでは、次のように決まっています。

  • 鉄筋コンクリート造の住宅用:47年
  • 鉄筋コンクリート造の事務所用:50年
  • ブロック造の住宅用のもの:38年
  • 木造の住宅用のもの:22年
  • 建物の電気設備:6年

注意したいのは、法定耐用年数から計算式を用いて判断するため、持ち主が勝手に何年で価値がゼロになると決めることはできません。構造を元に法定耐用年数を調べたら、下記の計算式を使って耐用年数を求めます。

築年数が法定耐用年数以内の場合 耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2(小数点は切り捨て)
築年数が法定耐用年数を超えていた場合 耐用年数=法定耐用年数×0.2(小数点は切り捨て)

土地は減価償却されない

減価償却を行う際に注意したいのが、あくまで経年劣化する減価償却資産と呼ばれるものに対して行うということです。年月が経っても価値が下がらないものは、減価償却できません。

  • 対象となるもの:不動産や設備、機械、車両など
  • 対象にならないもの:土地など

つまりマンションの場合は、建物部分と内部の設備部分のみ、減価償却資産として扱えます。

減価償却を行うメリット・デメリット

面倒と思われがちな減価償却ですが、本当にした方が良いかどうか、メリット・デメリットからみていきましょう。

【メリット1】節税できる

一番のメリットは、節税です。

投資用マンションでかかった費用を減価償却によって毎年計上できれば、その分だけ税金がかかる範囲を小さくできます。特に投資用マンションを今後も続けたいと考える人にとって、節税は投資費用を捻出し利益を得るためにも重要です。

【メリット2】税金が減るからキャッシュフローが大きくなる

税金の支払い額が減るということは、経費などを差し引いて最終的に手元に残るお金、キャッシュフローが大きくなるということです。減価償却についてきちんと知識を身に着けておくと、税金の支払いを自分の意志でコントロールしつつ、今後の計画も立てやすくなります。

ただしこうしたメリットをしっかり受けるには、デメリットも知っておく必要があります。

【デメリット1】建物を売った時の税金が高くなる

減価償却費は使用費用として計上される、と説明しました。この使用費用に後々で影響を受けるのが、不動産を売却した時の譲渡所得税です。減価償却費は使用費用のため、売却時にはそれまでの経費として売却額から差し引く必要があります。

たとえば2,000万円で購入したマンションの減価償却費は1年あたり52万円です。10年後に1,900万円で売れたとすると、利益は次のように計算されます。

  • 10年間の減価償却費:52万円×10年=520万円
  • 10年後に売却した時の価値:2,000万円-520万円=1480万円
  • 1,900万円で売却した時の利益:1,900万円-1480万円=420万円

計算を見るとこの利益の額は減価償却費が大きくなるほど増えるため、税金がかかる範囲増えていきます。

【デメリット2】ずっと使える節税方法ではない

減価償却は法定耐用年数に応じて計算されるものであり、所有し続ける期間ずっと使えるわけではありません。毎年少しずつ減価償却費を購入費用から差し引いて経費計上するため、いつかはゼロになるからです。

期間が終了すると、その分だけ経費が少なくなるため税金がかかる範囲が増えます。継続して利用するには、投資用マンションも次の物件を買い替えたりと、長期的な計画が必要となるでしょう。

中古マンションの減価償却方法は2通り

減価償却の計算は年々経年劣化することをより踏まえた「定率法」と毎年同じ金額を計上できる「定額法」の2つに分かれます。

ただし最終的な減価償却費の計算式は同様で、次の通りです。

減価償却費=取得費×償却率

計算方法によって変わるのが償却率で、法律によってそれぞれ決められています。耐用年数を計算したうえでどちらの計算で計上するかによって異なるため、注意しましょう。

減価償却費が年々減っていく【定率法】

定率法は、前年の減価償却費を差し引いた残高に対し、一定の率をかけた額を翌年償却するという方法です。毎年違う金額が減価償却費となること、初年度の減価償却費が最も高額になるという特徴があります。

ただし平成28年4月1日以後に取得したマンションは次に解説する定額法で計算するよう法律で決められており、かつ定率法が使えるのは設備のみです。

毎年同じ金額が減価償却される【定額法】

建築物と設備両方に使うことができ、投資用マンションの減価償却費を計算する際に使う方法です。減価償却費の総額は、定率法と変わりませんが、毎年同じ減価償却費を計上する方法です。

特に平成28年4月1日以降に取得したものは、定額法で計算するよう義務付けられています。

定額法 定率法
建物 使える 使えない
内部や外部の付帯する設備 使える 使える

中古マンションで減価償却費をシミュレーション

減価償却費のシミュレーションを新築と中古それぞれのマンションで行いました。

新築マンションを購入した場合の減価償却

<事例>
鉄筋コンクリート造:4,000万円で購入
土地:2,000万円
建物本体:1,600万円
設備:400万円
設備の耐用年数:15年

では、段階をおって減価償却費を計算していきましょう。

1.利用可能年数から定額法における償却率を調べる 建物本体:新築のため残り47年、償却率0.022
設備:事例の通り残り15年、償却率0.067
2.減価償却費を計算する 建物本体:1,600万円×0.022=35万円
設備:400万円×0.067=26万円

これで初年度に計上できる償却限度額が、それぞれ35万円と26万円、合計で61万円であることが分かりました。今後は原則として残存年数の期間中は、同じ額を毎年減価償却費として計上していきます。

中古マンションを購入した場合の減価償却

<事例>
鉄筋コンクリート造、築10年の時に3,000万円で購入
土地:1,800万円
建物部分:1,000万円
設備:200万円
設備耐用年数:15年
所有から5年が経過

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年のため、まず残存耐用年数を計算するところから始めましょう。

1.残存耐用年数を計算 建物部分:47年-(築10年×0.8)=39年
設備:15年-(築10年×0.8)=7年
2.耐用年数から定額法における償却率を調べる 建物部分:39年のため0.026
設備:7年のため0.143
3.減価償却費を計算する 建物部分:1,000万円×0.026=26万円
設備:200万円×0.143=28.6万円
4.今後の見通し 建物部分:残り39年、毎年経費として26万円が計上できる
設備:残り7年、経費として28.6万円が計上できる
5.所有から5年目 建物部分:残高870万円
設備:残高57万円

鍵となるのが残存耐用年数の計算です。より簡単に計算できるツールもあるため、自分の取得年月に応じて活用してみましょう。

H24年度以降に取得:https://keisan.casio.jp/exec/system/1339479951
平成18年度までに取得:https://keisan.casio.jp/exec/system/1255847072

取得した価格の内訳不明の場合の対処法

中古マンションの場合、書類に土地や建物の価格の内訳が明記されていないケースがあります。取得費を計算しないと減価償却費を算出できないため、次の2つの方法から計算可能です。

  • 消費税から計算:建物部部のみに消費税がかかるため
  • 固定資産税評価額から建物の割合を計算:土地と建物に個別でかかるため

たとえば、消費税が30万円だったとしたら「建物の取得費 = 消費税 ÷ 0.08 = 375万円」と分かります。

また固定資産税評価額の場合、計算式は「マンションの購入価格×(建物の固定資産税評価額÷(固定資産税評価額の合計金額)」です。判断に迷う場合は、税金を正しく払うためにも不動産に詳しい税理士への相談をおすすめします。

リノベーションをした中古マンションの減価償却

所有期間中、修理を行った場合、その度合いによってかかった費用をどう経費として計上するかが異なります。修繕にかかった費用に対する経費上の見方は、次の2つです。

  • 修繕費:簡単な修理のみの場合、減価償却の必要なし
  • 資本的支出:マンションの価値を高めるリノベーションやリフォーム、減価償却の必要あり

減価償却を行う必要のあるケースもあれば、費用としてその年計上してしまった方がメリットがあるケースもあります。また耐用年数はどう変わるか、見ていきましょう。

修繕費と減価償却の判断基準

基本的に、リノベーション工事は建物の価値を高め、耐震性を強化し、より多くの人に購入・賃貸してもらえるようにする工事であり、減価償却の必要があるとみなされることが多いです。

しかし厳密な定義が決まっていないため、次の判断基準を参考にしつつ、リノベーション工事の前にあらかじめ税理士に相談することをおすすめします。

修繕費に当てはまる場合 ・費用は20万円未満
・原状回復のために行っている
・3年ごと定期的に実施している
・災害被害の修繕のために行っている
資本的支出に当てはまる場合 ・費用が20万円を超えている
・より多くの人に買ってもらえるように増築や設備追加、改装を実施している
・災害に備えるために設備を強化している
・元の状態より価値が高まっていると認められる

耐用年数はかけた費用で変わる

基本的に、かけた費用を耐用年数で割って毎年減価償却をします。ところがリノベーション費用に対する法定耐用年数の決まりがないため、建物と設備の法定耐用年数を利用して計算するのが一般的です。ただし中古マンションのリノベーションの場合は、設備である内装が建物部分に含まれることもあります。

また中古物件の場合、物件の計算に購入した時の費用ではなく「再取得額」という「同じ建物を、現時点で新たに建設した場合かかる費用」を用います。この時、リノベーション費用が物件の再取得額の5割を下回るなら、簡便法という定額法とは異なる計算式が当てはまります。

簡便法は法定耐用年数より耐用年数を短縮できるため、減価償却費がより短期間で終了します。つまり、1度に計上できる減価償却費も高くなり、その分だけ税金がかかる額も少なくなるということです。

中古マンションの減価償却でよくある疑問

分かりにくい中古マンションの減価償却の中で、気になる人も多い疑問を4つ、Q&A方式で解説します。

【Q1】計算間違いして確定申告をしたらどうする?

書類を提出してから5年以内であれば、申請することで修正が可能です。

申告額が少なかった場合は修正申告、多すぎた場合は更生申告という手続きを管轄の税務署に対して行います。申告額が少なかった場合は、その分の税金を延滞したということで延滞税が発生するため、計算間違いをせずに申告した方が断然お得です。

もし計算に自信がない、不安だ、という人は、早めに税務署に相談に行っておくと安心です。時間がなく確定申告の修正が難しいと感じたら、信頼できる税理士にあらかじめ依頼しておくと良いでしょう。

【Q2】確定申告で減価償却は必須?

基本的に必須と考えましょう。特に個人の場合は強制償却と言って、全て計上するように義務付けられています。

一方、法人は任意計上といって会社の方針に任されています。しかし減価償却をして申請した方が、利益をごまかしていないと証明できるため、金融機関や税務署からの印象も良くなります。今後のことを考えると、適切に計上した方がメリットが大きいでしょう。

【Q3】中古マンションで減価償却をするメリットは?

一番のメリットは節税です。中古マンションの家賃収入と減価償却費に応じて計算し、利益がマイナスになった場合、特にサラリーマンなど給与所得がある人だと損益通算の対象となるため、納税額がさらに小さくなります。

確定申告をすると、計算上支払い過ぎたことになる税金がその年の4月ごろまでには還付され、なおかつ前年の所得に対して支払う住民税が翌年より安くなります。

【Q4】減価償却をしてデメリットはあるのか?

減価償却によるデメリットは、価値が下がっていることがはっきりしてしまうため、売却するときの価格を高く設定できないことです。

ただし毎年の修繕やリフォームが、修繕費ではなく建物自体の価値を高める資本的支出として認められると、減価償却の対象となります。

すると簿記上は修繕費として一括経費計上されるのではなく、これまでと同様に減価償却費として計上されるため、利益の範囲が大きくなるというメリットもあるのです。

中古マンションの売却を検討している場合

中古マンションを投資用として運営、活用していくのなら、先ほども解説したように減価償却など確定申告に関わる経費計算はもちろん、古くなった時に効率よく手放す必要も出てきます。

そんな時、頼ることができる不動産会社があると安心です。

頼れる不動産会社を見つけるには、一括査定サイトを利用してみましょう。

一括査定サイトは不動産の所在地や基本情報を入力するだけで、対応できる複数の不動産会社を自動的にピックアップし、一括で査定依頼ができます。

査定を受けると自然と不動産会社とやり取りをするため、会社同士を比較するのにも便利です。

もちろん、すでに頼れる不動産会社が見つかっている人もいるでしょう。

しかし世の中にさまざまな不動産会社があるため、複数社から算出された査定額や内容を確認した方が売却成功の近道になります。

無料の一括査定サイトで不動産会社を探して、中古マンションをより活用してみましょう。

中古マンションの年数や構造で減価償却

減価償却は個人で投資用中古マンションや家賃収入を得ているのなら、確定申告では必須の計算です。今回解説したポイントは、簡単にまとめると次の3点です。

  • 毎年決まった額を経費として計上
  • 耐用年数で計上額が変わる
  • リノベーション費用も対象になることがある

自分で計算を行えば、今どんな状況で経営をしているのか、現状把握に役立ちます。長期的な視点で運営が必要な投資用マンションは、自分で今後どうするか見通しを持っておくことが重要です。

もし所有している中古マンションを売却するのであれば、先々の見通しを含めて相談できる不動産会社を見つけておくことをおすすめします。一括査定サイトで所有するマンションの価値を知りつつ、まずは不動産会社同士を比較することから始めてみましょう。