使用しない土地をいつまでも持っていても意味がありません。そんな時に土地の売却を考えているとは思いますが、実際にかかる費用がどのくらいか理解しているでしょうか。
それなりにかかってしまう費用ですが、少しでも安く抑えるためのコツをこの記事で紹介していきます。
また、土地を売却した時に得られるお金。つまり売却益によっては確定申告にて納税しないといけません。
今回は、土地の売却に伴う費用の目安や節約方法、そして利益を得た場合の税金のしくみについて徹底解説していきます。
土地を売却する際にかかる費用

土地の売却をする際、ある程度まとまった費用が必要です。しかし紹介していく費用のすべてが必要ということではなく、売却したい土地の状況によって必要か否か異なりますので注意が必要です。
実際に売却したい土地がどのような状況なのか考えながら見ていきましょう。
土地の境界を確定するために測量
土地の売却の際、隣地や道路との境界線がどのくらいなのかをはっきりしておかないといけません。曖昧なままだと売却金額に影響すると言われています。
土地の境界線を確定するためには、「確定測量」という測量を行ってから売却をすることが望ましいと考えられます。売却金額への影響だけではなく、隣地とのトラブルを避けるためでもあります。
確定測量は、土地の所有者以外に隣地の所有者と測量士、土地家屋調査士という資格を持つ人物と行政の図面を基準に行います。測量には確定測量以外に現況測量があり、確定測量との大きな違いは、隣地所有者への合意が不要だということです。
そして費用面に関しても異なり、現況測量は100坪以下の土地の場合、35万円~45万円なのに対し、確定測量は60万円~80万円となっています。
更地にするための解体費用
もし売却したい土地に、修繕が難しいほど老朽化が激しい建物がある場合は解体をします。しかし建物の構造によって解体費用が異なります。詳しくは以下の通りです。
建物の構造 | 解体費用の目安 |
木造 | 1坪あたり4万円~6万円 |
鉄骨造 | 1坪あたり6万円~8万円 |
鉄筋コンクリート造 | 1坪あたり8万円~10万円 |
そして解体費用の総額を算出するには、上記の目安表の坪単価を延べ床面積に乗じることで分かります。たとえばですが、40坪の木造家屋の場合は、解体するのに160万円~240万円程度かかるということです。
また解体費用も、施行する条件、土地の条件、人件費によってかなり左右されますので、あくまで表は目安となります。実際の解体業者と納得いくまで相談しましょう。
相続でトラブルを避けるための有料査定
不動産を査定してもらうことは基本無料なのですが、一部では有料で行われている不動産会社もあります。有料で行う理由は、不動産鑑定士というプロが査定をするからです。国家資格であり専門家なので有料は当然のことだと思われます。
そして不動産鑑定士が鑑定してくれた結果は、裁判の資料にも利用できます。つまり、土地を相続してその後売却した時に、何かしらのトラブルが起きても避けられるようになっています。
そして査定してもらう時の費用は、土地の評価額によって異なります。一般的には以下の通りです。参考までにご覧ください。
鑑定評価額 | 土地の鑑定料 |
1,000万円以下 | 181,000円 |
1,500万円以下 | 196,000円 |
2,000万円以下 | 226,000円 |
2,500万円以下 | 249,000円 |
3,000万円以下 | 264,000円 |
4,000万円以下 | 286,000円 |
5,000万円以下 | 316,000円 |
土地の評価額が1,000万円以下~5,000万円以下の場合を表にしています。あくまで目安なので、依頼するところによっても異なります。鑑定料は予め確認しておきましょう。
土地のローンが残っている場合の返済手数料
土地のローンがまだ残っている場合には、返済手数料がかかります。手数料自体は、金融機関によっても異なり、無料のところから5万円程度の手数料を取るところもあります。
返済していくのに手数料まで上乗せとなると、返済する者からしたらかなりの負担です。そのため、返済手数料が0円の金融機関を選ぶことが重要なのです。
不動産会社と契約して引き渡しまでにかかる費用

土地の売却で不動産会社と契約後、実際に引き渡すまでの費用について説明していきます。この段階でもそれなりの費用が発生します。あくまで目安としてですが、どのくらいの費用となるのか参考にしましょう。
不動産会社に支払う仲介手数料
土地に限らず、不動産会社に売却を依頼する時はその報酬として仲介手数料を支払うことになっています。上限が設けてあり、法律で定められていることです。詳しくは以下の通りです。
売買価格 | 支払う仲介手数料 |
200万円以下の部分 | 取引価格額の5%以内 |
200万円超え400万円以下の部分 | 取引価格額の4%以内 |
400万円超えの部分 | 取引価格額の3%以内 |
上記とは別に、4000万円を超えるほどの売買価格だった場合には【(売買価格×3%+6万円)+消費税=仲介手数料】という計算式で求められます。
登記書類作成で司法書士に支払う費用
登記することは、不動産売買の際の取引が安全で確実に行われるようにするために必要なことです。売り主側が負担する登記費用は、「登録免許税」と「司法書士への報酬」となります。
登録免許税は、抵当権抹消登記を行う際のもので、【不動産の数 × 1,000円】で計算されます。たとえば土地が3つあれば【3×1,000円=3,000円」ということです。
そして司法書士への報酬の相場は、2万円~3万円となっています。司法書士によっても異なるので、依頼する際は事前に調べておきましょう。
売買契約書の作成時に印紙代
印紙代とは、収入印紙代のことで、売買契約書に貼るものです。契約書の記載金額によって印紙代は異なり、貼らないと印紙税の3倍の税金が課せられてしまうので注意しましょう。そして印紙代に関しては以下の通りです。
契約書の記載金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円超え50万円以下 | 200円 |
50万円超え100万円以下 | 500円 |
100万円超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円超え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超え5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超え1億円以下 | 30,000円 |
表にあるように、記載金額が大きければ大きいほどに印紙税額も上がっていきます。
役所で発行する書類の費用
土地の売却で必要な書類を役所で発行してもらうための費用が必要です。1通300円程度で発行でき、特に必要なのは住民票と印鑑証明です。
本人確認書類として必要になります。ただし、有効期限に注意しましょう。3カ月以内に取得したものを用意してください。
土地の売却で利益が出たら税金の支払い

土地を売却すると、利益を得ることがあります。そんな時は、税金の支払いをしなくてはいけません。果たしてどの税金なのか、そして確定申告する際のことも解説していきます。
土地の所有期間で決まる住民税と所得税
不動産を売却したことで生じる所得は譲渡所得といい、これに対して所得税と住民税が課せられます。2つの税金は、土地の所有期間によって決められます。
譲渡所得の求め方は、【譲渡金額-(取得費+譲渡費用)】で計算します。譲渡金額は土地を売却した時の金額のこと、取得費は土地取得時にかかった費用のことです。
たとえば仲介手数料や不動産取得税などが挙げられます。
譲渡費用は土地を売却すまでにかかった費用のことで、仲介手数料や印紙税などが挙げられます。そして税額の計算は、【課税譲渡所得×税率(所得税・住民税)】です。税率は土地の所有期間によって変わります。詳しくは以下の通りです。
所有期間 | 課税方法 | 住民税の税率 | 所得税の税率 |
5年を超える土地・建物等 | 長期譲渡所得 | 5% | 15.315% |
5年以下の土地・建物等 | 短期譲渡所得 | 9% | 30.63% |
2037年まで負担がある復興特別所得税
平成23年12月2日に、東日本大震災の復興のための特別措置法が公布されました。2037年まで負担がある復興特別所得税です。
個人で所得税の納める義務のある人対象で、税率は所有期間関係なく2.1%とされています。支払う所得税に対して税率がかかるというしくみです。
復興特別所得税の計算の仕方は、【基準所得税額×2.1%】です。基準所得税額は、以下となっています。
区分 | 基準所得税額 | |
居住者 | 非永住者以外の居住者 | すべての所得に対する所得税額 |
非永住者 | 国内源泉所得及び国外源泉所得のうち国内払のもの又は国内に送金されたもの | |
非居住者 | 国内源泉所得に対する所得税額 |
確定申告を忘れると追加で税金がかかる
確定申告には法定期限が設けられていますが、守らないと追加で課税されますので注意しましょう。追加されてしまうのは「無申告加算税」、「重加算税」、「延滞税」の3つです。
無申告加算税は、期限までに申告書を提出しなかったことに加えて納税するべき税金があった場合に課税されます。
しかし起源から1カ月以内に自ら申告し、納税を法定納期限まで完納し、過去5年間に無申告加算税・重加算税が課せられたこともなく、期限内申告する意思があったと認められたら課税されません。
税率は、50万円までは15%、50万円超えは20%です。自主的納付は5%となります。
重加算税は、無申告加算税は課せられる場合で申告漏れや隠ぺいなどした場合に課税されます。
過少申告税の代わりに追加本税の35%が課税、無申告加算税の代わりに納税額の40%が課税、不納付加算税の代わりに納税額の35%が課税となります。円体勢は、期限までに支払わなかったら課税されます。
期限の翌日から完納されるまでの日数で計算しますが、本税1万円未満の場合は延滞税不要となります。
そして延滞税の計算は、たとえば納付期限の翌日から2か月の間の場合、年率7.3%もしくは特例基準割合に1%を加えた割合のどちらか低い方を納税額に乗じて計算します。
費用節約のため土地の売却は一括査定から始めよう

費用節約のために利用するべきなのが一括査定サイトです。ここでは、一括査定サイトを利用するメリットなどを解説していきます。
一括査定で土地の売却を始めるメリット
一括査定サイトを利用することのメリットは、良い不動産会社と出会えるというところです。不動産会社によっては悪徳なところもあるため、その中から信頼できるところを探すのは大変なことです。
しかし一括査定サイトでは、土地の売却におすすめのところを紹介してもらえます。目的に合わせた不動産会社に依頼すれば、売却もスムーズにいきますし高額売却も期待できるでしょう。
仲介手数料は不動産会社と交渉
仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬です。上限は決められていますが、下限は交渉次第で多少節約できる場合もあります。しかし値下げ交渉のしすぎなどは売却が失敗に終わることもあるので注意してください。
仲介手数料の値下げ交渉をするタイミングは、媒介契約を結ぶ前となります。契約前ならば、不動産会社側も契約してしまいたいからある程度融通が利くことがあります。
契約後の交渉だと契約変更をすることになってしまうため、トラブルの元になります。また、交渉しても必ず値下げしてくれるかどうかは依頼する不動産会社次第です。
比較的値下げされやすいのは、人気の高いエリアなどが挙げられます。仲介手数料を値下げしたり省いたりしても不動産会社側に利益がしっかり出るようなところだと交渉しやすいでしょう。
節税につながる特別控除の確認
節税対策として特別控除を利用すると良いでしょう。土地の売却で適用できる控除の種類は以下の通りです。
- 平成21年(22年)に取得した土地を平成27年(28年)以降に売却する場合
- 公共事業等のために土地を売った場合
- 特定土地区画整理事業等のために土地を売った場合
- 特定住宅地造成事業等のために土地を売った場合
- 農地保有の合理化等のために土地を売った場合
平成20年に起きたリーマンショックで不動産価格が暴落したため、1,000万円の特別控除を受けられます。「公共事業等」の場合は、5,000万円の特別控除、「特定土地区画整理事業等」の場合は2,000万円の特別控除、「特定住宅地造成事業等」の場合は1,500万円の特別控除、「農地保有の合理化等」の場合は800万円の特別控除となります。
各特別控除には、条件があります。各条件に関しては以下のサイトを参考にすると良いでしょう。
土地の売却費用をシミュレーション

土地の売却額がある程度シミュレーションしておくことができます。シミュレーション方法としては、売却する予定の土地と似た事例を参考にすることです。
おおよその条件が合っていれば、大体の売却額を知ることができます。信頼性のある売却額を知りたい場合は、「土地総合情報システム」や「レインズ」という不動産取引情報提供サイトを利用しましょう。
そして土地の売却にかかる費用の計算では、費用の大半が仲介手数料が占めています。つまり、仲介手数料をシミュレーションすれば費用がどのくらいかを知ることができます。
この記事内で紹介した仲介手数料の計算式【売却価格 × 3% + 60,000円】を例を挙げて実際にシミュレーションしてみましょう。また、手元に残るお金までシミュレーションしてみます。
※土地を5,000万円で売却した場合(消費税8%)
5,000万円×3%+60,000円=1,560,000円 1,560,000円に消費税8%課す=1,684,800円 |
※土地を5,000万円で売却した時にかかる税金のシミュレーション
|
※利益が出た場合にかかる税金
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=課税譲渡所得金額で計算されます。取得費は土地取得にかかった費用ですが、不明の場合は譲渡価額の5%で計算。譲渡費用は売却にかかった費用。次に取得費250万円、譲渡費用170万円で計算します。 譲渡価額5,000万円-(取得費250万円+譲渡費用170万円)= 49,200,000円となる。利益が出るので住民税、所得税、復興特別所得税がかかる計算です。 長期譲渡所得の場合は5%、短期譲渡所得の場合は9%で、長期譲渡所得の場合で計算すると【49,200,000×5%=2,460,000円】です。 所得税・復興特別所得税は長期譲渡所得の場合15.315%なので【49,200,000×15.315%=7,534,980円】となります。 |
※最終的に手元に残るお金をシミュレーション
計算式は、【譲渡価額-費用-税金】となります。つまり、【譲渡価額5,000万円-譲渡費用170万円-税金7,534,980円=40,765,020円となります。この金額が、最終的に残るお金です。 |
このように、土地を5,000万円で売却した場合でシミュレーションしてみました。
あくまで例なので、実際にかかる費用は前後すると考えておきましょう。
土地の売却前にシミュレーションしておくと大体の費用が把握できますので、売却を検討の際はぜひシミュレーションしてみてください。
おすすめの一括査定サイト3選
サイト名 | 利用者数 | 対象エリア | 提携会社数 | 同時依頼数 |
イエウール | 1,000万人 | 全国 | 1,700社 | 6件 |
イエイ | 400万人以上 | 全国 | 1,700社以上 | 6件 |
リビンマッチ | 440万人 | 全国 | 1,400社 | 6件 |
イエウール:全国1,700社以上に対応
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利用者数 | 1,000万人 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6社 |
取引件数 | 非公開 |
顧客満足度 | 98% |
運営会社 | 株式会社Speee (Speee, Inc.) |
サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。
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利用者数 | 400万人以上 |
対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6件 |
取引件数 | 1,000件以上 |
顧客満足度 | 97% |
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対象エリア | 全国 |
提携会社数 | 1,400社 |
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顧客満足度 | 98% |
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全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。
土地の売却費用は準備段階から節約しよう

土地の売却にはある程度の費用が必要です。いきなり売却を依頼してから費用のことを考えるよりも、売却を依頼する前にシミュレーションなどしてどのくらい費用がかかるのかを把握しておきましょう。
土地の状況によっても、費用はさまざま。
売りたい土地がどんな状況かを把握して、売却準備段階から節約できるところは節約し、少しでも費用を安く抑えられるよう対策を取りましょう。
また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。
参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!