不動産売却の基礎知識

家を相続した時の手続きの仕方|トラブルを回避するための注意点

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相続問題という言葉があるように、相続時にはさまざまなトラブルが起こる可能性があります。そして、相続する財産の主たるものが居住していた家だけということも多くあり、この場合、どのように分割するかでトラブルが発生します。

ここではどのようにすれば、相続の時にトラブルを回避する方法や手続きの進め方などを見てみましょう。相続の手続きではきちんと手続きを行わないと、後にトラブルが起こることもあります。スムーズに手続きを行うためにも、事前に相続についての知識をつけて相続に備えましょう。

家を相続した時にまず行うこと

相続が発生すると相続するための手続きを始めなければなりません。相続した不動産の名義変更には期限がありませんが、相続税の申告・納税には期限が決められています。そのため、相続を知ったらまずは相続税がかかるかどうかを確認する必要があります。

遺言書の確認

相続財産には何があるかや、相続する人が何人いるか、また、どのように相続するかを決めなければなりません。

遺言の有無は後に影響する

相続が発生した時に始めに確認すべきことは、遺言書の有無を確かめることです。遺言書がある場合とない場合では手続きの手順が異なりますので、余計な手間を増やさないためにも一番初めに確認しましょう。

遺言書があれば、遺産分割協議の必要はなく遺言書にそって相続ができます。しかし、遺言書がない場合には、相続人全員で遺産を分割するかを決めなければなりません。

また、この際の相続人とは法定相続人を指し、法定相続人を正確に確定して相続の手続きを行う必要があります。そのため、この法定相続人の特定がしっかりとできていないと、遺産分割協議も無効となりやり直しになる場合があります。

誰が何を相続するのかをはっきりさせる

相続する人が1人であれば、手続きはとても簡単でトラブルが起こる可能性は低いでしょう。しかし、相続人が複数いて遺言書がない場合には、誰が何を相続するかをはっきりと決めて、遺産分割協議書に記載しなければなりません。

そして、遺産分割所には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。

相続に必要な書類を集める

相続の手続きを行う際にはたくさんの書類をそろえなければなりません。中には書類を揃えるのに時間を要するものもあります。そのため、相続が発生したことを知ったら、まずは書類の準備にとりかかるとよいでしょう。以下の表を見ながら書類を揃えて下さい。

  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票(本籍地の記載のあるもの)
  • 不動産を相続する相続人の住民票
  • 不動産の登記事項証明書
  • 不動産の固定資産税評価証明書

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本に関しては、引越しを繰り返している場合などは集めるのに時間がかかる場合があるので、注意が必要です。

一括査定サイトを利用する

相続財産の中に不動産が含まれていると、その不動産の価値を調べないと相続税の計算ができません。そのため、事前にどれくらいの相続税になるのかを知りたい場合には、まず不動産の査定を行う必要があります。

不動産の価格は自分でも調べることができますが、建物と土地を分けて計算しなければならなかったり、日常では聞きなれない路線価などを調べて計算することになります。そのため、慣れている人でなければ正確に計算することは難しいでしょう。

そんな時には、不動産会社に査定を依頼すると、簡単に不動産の価値を知ることができます。不動産の一括査定サイトを利用すると自宅にいて無料で査定を依頼できます。

また、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるので、査定結果を比べて相場価格が確認しやすくなります。おおよその価格がわかれば、遺産分割協議の際にも相続税の額を計算したり、売却して分割する場合にはどれくらいになるかがわかりやすいため、取り決めしやすくなるでしょう。

おすすめの一括査定サイト3選

サイト名 利用者数 対象エリア 提携会社数 同時依頼数
イエウール 1,000万人 全国 1,700社 6件
イエイ 400万人以上 全国 1,700社以上 6件
リビンマッチ 440万人 全国 1,400社 6件

イエウール:全国1,700社以上に対応

地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。

利用者数 1,000万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6社
取引件数 非公開
顧客満足度 98%
運営会社 株式会社Speee (Speee, Inc.)

サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。

イエイ:お断り代行サービスを提供

大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。

利用者数 400万人以上
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6件
取引件数 1,000件以上
顧客満足度 97%
運営会社 セカイエ株式会社

都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。

なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。

リビンマッチ:利用したいサイト第1位

都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。

利用者数 440万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,400社
同時依頼数 6件
取引件数 14万件(年間)
顧客満足度 98%
運営会社 リビン・テクノロジーズ株式会社

全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。

不動産にかかる相続税の計算方法

相続税を計算するには初めに相続する全ての財産の総額と正確な法定相続人の数を調べる必要があります。その後、基礎控除額を上回る相続財産があれば課税されます。

相続した財産の総額を割り出す

相続税を計算する時には、最初に相続する財産がどれだけあるかを全て調べなければなりません。財産に含まれるものには、不動産や有価証券、骨とう品、ゴルフ会員権、預貯金などがあります。また、遺産には借金や税金の未払い分も含まれます。

預貯金などはその価値がすぐわかるのでそのまま計算できますが、不動産や骨とう品などはどれくらいの価値になるか調べて計算する必要があります。

そして、葬儀費用や墓石、仏具等は非課税財産としてみなされます。また、生命保険の死亡保険金や死亡退職金はみなし相続税として別途計算します。そして、相続開始前3年間に生前贈与された財産は、相続財産としてみなされるので注意しましょう。

このように、相続税は全ての相続する財産を漏れがないように調べて計算する必要があります。あとから、負債が見つかった場合、すでに相続の手続きをしていると、放棄することは難しいので注意しましょう。

基礎控除額を差し引く

相続する財産の洗い出しが終わると、次に相続税がかかるかどうかを計算してみましょう。相続税には基礎控除があります。そのため、遺産総額が基礎控除額以下だと相続税はかかりません。

基礎控除額の計算式は以下のようになります。

基礎控除額 = 3,000万円 + (法定相続人の人数 × 600万円)

遺産総額が基礎控除額を超えた場合には、相続の開始から10カ月以内に相続税の申告・納税を行う必要があります。

遺産分割をして各人の相続税が決まる

遺産の相続をする時には、相続人全員でどのように遺産を分けるかを話し合います。そして、遺産の総額から計算された相続税額を遺産の配分通りに分配して支払います。

例えば、課税遺産税額が4,000万円の時に法定相続で妻と子供2人で相続する場合の相続税額を計算してみましょう。

課税遺産総額 税率 控除額 相続税額
4,000万円の2分の1 = 2,000万円 15% 50万円 250万円
4,000万円の4分の1 = 1,000万円 10% なし 100万円
4,000万円の4分の1 = 1,000万円 10% なし 100万円

相続税の総額は、250万円+100万円+100万円で450万円となります。そして、法定相続以外での分配になる場合にはこの450万円を相続する遺産の割合に応じて分配します。

そして、配偶者である妻は、法定相続分までか1憶6,000万円までは、税額が控除されます。なお、相続税の税率は国税庁のホームページで確認できます。

参考:国税庁 相続税の税率

相続税を節税する方法

同居していた親の家を相続した場合、相続財産が家とわずかな預貯金しかないということもあります。そうような時には、家に住み続けたくても相続税が支払えるか心配になる人も多いでしょう。

このような時に役立つのが「小規模宅地等の特例」です。同居していた家を相続税が支払えないがために手放すようなことが起こらないように定められたものです。

この特例の利用には、土地の面積が330平方メートル以下であることや、対象者は配偶者であったり、生前から同居していて生計を共にしていた親族などの条件があります。そして、この特例を適用できると、相続税の計算で利用する土地の評価額が80%減額されます。

例えば、評価額が8,000万円の土地であれば、1,600万円として相続税額を計算することになり、大きく絶税できます。

相続税以外で必要になる税金

法定相続人が相続で取得した不動産に対しては、原則、不動産取得税はかかりません。ただし、法定相続人以外が不動産を相続した時には課税されるので注意しましょう。

また、相続した家を売却して利益がでると譲渡所得税がかかります。これは、譲渡した年の翌年に確定申告をして納税しなければなりません。ただし、相続した家が空き家となっている場合には、「被相続人の空き家を売った時の3,000万円の特別控除の特例」が利用できる場合があります。

この特例を利用できれば、税金の支払いを減らせる可能性があるので、売却の際には不動産会社に相談するとよいでしょう。

そして、不動産を取得すると固定資産税や場所によっては都市計画税の支払いがあるので覚えておきましょう。

不動産を遺産分割するには

不動産を相続する時の分割方法にはいくつかあり、それぞれにメリットやデメリットがあります。ここではそれぞれの特徴を理解して、一番適した分割方法を選びましょう。

一度現金化する換価分割がおすすめ

不動産を相続する時には、相続人が複数いるとその不動産を平等に分けるのは難しい場合があります。土地の場合は文筆して分割することもできますが、建物があると現実的に現物を分割して相続することは困難です。

そのため、その不動産を売却してその売却代金を分割するという方法があります。ここの方法だと遺産を公平に分けられます。また、現金が入手できるのでそのお金を相続税の支払いに充てられます。

そして、不動産の売却を行うのなら不動産の一括査定を利用して査定を依頼すると、より高値で売却ができる不動産会社を見つけることができます。また、相続した物件の売却の際には、さまざまな税金の優遇制度があります。

不動産会社に売却を依頼すると、節税の仕方なども相談しながら売却が行えるので、相続後の手続きについてもアドバイスを貰えるでしょう。相続した物件の売却なら、一括査定を利用して相続した家の売却に適した不動産会社を見つけましょう。

不動産を得る代わりに金額を支払う代償分割

相続する家を残したい場合には、代償分割という方法が選べます。この方法は、相続人の中から不動産を相続する人を選び、他の相続人に対して相続分を現金等で支払う方法です。この分割方法が選ぶには、不動産を相続する相続人に資力が必要です。

そして、代償分割では、遺産分割協議書を作成する時に詳細を記載する必要があることを覚えておきましょう。代償分割を行う旨を明記し、誰にどれだけ分割して支払うかなどをはっきりと記載する必要があります。

もし、代償分割の詳細を遺産分割協議書に記載し忘れると、遺産相続後に代償分の支払いを行った分に対して贈与税がかかるので注意しましょう。

不動産自体を分ける現物分割

相続する不動産が更地だと「現物分割」が選べます。現物分割は読んだそのまま、土地を分けて相続する方法です。

土地だと分筆という方法で分けることができます。しかし、土地はその大きさや方角、道路に面している幅などで価値が大きく左右されます。そのため、換価分割のようにきっちりと平等に分割するのは難しいでしょう。

しかし、家が不要で土地だけを相続して活用したい場合には、ある程度の土地の広さがあれば分割してそれぞれが相続することもできます。

共有名義にする共有分割

不動産を相続する時には、相続人全員で共有にする方法がありこの方法は共有分割と呼ばれています。ただし、1つの不動産を複数人で共有していると、売却する時にはすべての共有者の同意が必要です。

そして、共有名義になっていると、その不動産を担保に融資を受けられません。そのため、結局は将来売却なり、増改築なりを行う時には、共有者全員の同意をとる手間や時間がかかります。

そして、年数が経過すると二次相続が発生し、どんどん相続人の数が増える可能性があります。そうなってからでは、相続人全ての同意をとることが難しくなります。

そのため、将来、子供が相続する時には相続人がもっと増えていて、トラブルになる可能性が高いため共有分割はおすすめできません。

名義変更を行う手順

相続した家は相続登記を行わなくても住むことは可能です。しかし、相続登記をしていないと、将来、トラブルが起こる可能性があります。ここでは相続登記の必要性や相続登記の仕方を見てみましょう。

相続登記を行わないとどうなるのか

相続登記に義務はありません。そのため、いつまでに相続登記を行わなければならないという期日もありません。中には両親から家を相続しても、遠方にある場合だと相続登記を行わずにそのままにしてあるものもあります。

しかし、原則、不動産を売却できるのは名義人本人のみです。そのため、相続登記をしていないと売却できません。

また、名義が異なるとその不動産を担保に金融機関から融資を受けることもできません。そして、相続登記をせずに放置している間にも相続は発生し、相続人の数が増え手続きがややこしくなります。

そのため、相続が発生した時には速やかに相続登記を行いましょう。

管轄の法務局で手続きを行う

相続登記はその不動産を管轄する法務局で申請できます。事前に必要書類を用意して相続登記申請書を作成し、登記申請を行います。そして、相続登記には登録免許税がかかります。

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。そして、これらの手続きを司法書士に依頼するのなら司法書士への報酬も必要です。

なお、相続登記は自分でも行えるので、自分で行えば書類の取り寄せ費用がおよそ5,000円程度と登録免許税だけですみます。しかし、相続登記の書類を揃えたり、作成したりするのはとても煩雑な作業で時間もかかります。そのため、時間がない場合や手続きに不安がある場合には、司法書士に依頼するとよいでしょう。

専門家に依頼する

相続登記は戸籍謄本を揃えたり、遺産分割協議を行って書類を作成したりと初めてのことばかりで戸惑う人も多いでしょう。そして、仕事をしていると仕事の合間を縫って、話し合いを進めたり、書類を集めたりするのは難しいと思います。

そのため、司法書士に依頼すると、書類を揃えたり、申請書を作成したりすることを全て依頼できます。そして、自分で手続きをするよりもはるかにスムーズに正確に進められます。これらの手続きを司法書士に依頼すると、司法書士に支払う報酬は5万円から10万円程度になることが多いようです。

また、遺産分割などでトラブルが予測される場合には、弁護士に依頼するとよいでしょう。ただし、弁護士への報酬は20万円から30万円かかるようです。

きちんと手続きすることがトラブル回避に繋がる

家の相続の時には多くの手続きがあり、相続登記を後回しにしてしまいがちです。しかし、相続登記は放置していると、子供や孫にまで迷惑をかけることになりかねません。

また、家を相続して住んでいるのであればよいですが、空き家として放置するとさらに面倒な問題も起こります。そのため、家の相続の話し合いや手続きは手間も時間もかかりますが、先延ばしせずその時に適切な対処をしましょう。

そして、住む予定がないのであれば売却することで、その後の税金の支払いもなくせますし、売却代金を得ることができます。売却するにしても、活用するにしても相続登記を行う必要があります。相続登記を行うと、その後のトラブルを回避できるので、相続を知ったら早めの登記が得策です。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!