不動産売却の基礎知識

住宅ローンの残高を減らす方法と残債がある家の売却方法を解説

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住宅ローンは借入を行う時には、慎重に検討し幾度となくシミュレーションを行う人も多いでしょう。しかし、長期の返済になるため、その後は惰性で返済を続けている人も少なくないはず。

しかし、住宅ローンは金利の見直しを行ったり、借り換えを行うことで総返済額を減らしたり、月々の返済を楽にすることができます。そして、家を売却する時には、この住宅ローンのことが気になる人も多いでしょう。

ここでは、住宅ローンが残ったまま家を売却する方法や、住宅ローンの支払いを少しでも減らせる方法を解説しています。少しでも支払い額を減らして、支払いの負担を減らし上手に住宅ローンを利用できるように備えましょう。

年代別住宅ローンの残高

家の購入は一生に一度という人も多いでしょう。そして、ほとんどの人は家を購入する時には住宅ローンを組みます。その後、契約した内容に基づいて返済を続けます。

いつ家を購入するかや、どれくらいの金額を借り入れするかは人によって千差万別です。そして、日本ではお金のことについて尋ねることをタブーとする風習があるため、お隣さんがどれくらいの借入れを行っているかは知らない人がほとんどでしょう。

総務省統計局の「世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」を見ると、住宅や土地を購入するために借り入れている金額が年代別に表にされています。40歳未満では1,057万円、40から49歳では988万円、50から59歳では540万円、60歳以上になると162万円となっています。

これはあくまで平均額ですが、年代が上がるとごに少なくなっていることがわかります。ちょうど、定年を迎える世代では負債額が一番少なくなっています。これは、多くの人が定年前に住宅ローンを完済したり、繰り上げ返済をしたりして借入残高を減らしたり、借入れ自体をなくしているということです。

住宅ローンの残高の調べ方

住宅ローンの残高は簡単に調べられます。いくつかの方法を解説しているので、自分に合った方法を選んで確認してみましょう。

金融機関に直接問い合わせる

住宅ローンの借入れ残高を確認したい時には、直接金融機関に電話で問い合わせして確認することができます。お客様コールセンター等の専用ダイヤルが用意されているので、その番号を利用して問い合わせするとよいでしょう。

ただし、電話での問い合わせは、個人情報の保護のため住宅ローンの借入れを行っている本人からの問い合わせのみとなっています。

金融機関のウェブサイトで確認する

借入れを行っている金融機関のインターネットバンキングに登録していると、インターネットで住宅ローンの情報を確認できます。

借入金額、借入日、借入期限、借入残高、金利の種類、返済状況などすべて自宅にいて確認できます。インターネットバンキングに登録していると、金融機関によっては住宅ローンの繰り上げ返済の手続きもネット上でできるのでとても便利です。

残高証明書で確認する

住宅ローンの借入れをしていると、毎年10月頃になると残高証明書が送られてきます。この書類を見ると、住宅ローンの借入残高を確認できます。この証明書には、当初借入れした金額や借入日、借入期限、借入残高が記載されています。

もし、残高証明書をなくしてしまった場合には、金融機関に依頼して再発行してもらうとよいでしょう。なお、再発行の依頼の際には、店舗での手続きとなります。そして、手続きの際には名前住所が確認できる公的な証明書と返済に利用している口座の通帳が必要です。金融機関にもよりますが手数料は無料のところが多いようです。

金融機関から郵送される返済予定表で確認する

住宅ローンの借入れの契約を行うと金融機関から返済予定表が郵送されてきます。この表には借入れの条件や返済の予定が記載されています。

一般的に、初めに住宅ローンの申し込みを行った時に発行される書類です。また、繰り上げ返済や契約変更を行って、返済予定が変わった時にも発行されます。この書類を見ることでも、借入残高が確認できます。

多くの金融機関では返済予定表はインターネットで確認できます。繰り上げ返済を行う時や借り換えを行う時にはこのふぇんさい予定表を見て検討するとよいでしょう。

住宅ローンの残高を減らす方法

住宅ローンは長期に渡って返済を行うものです。そのため、その間に金利が変動したり、家庭内の経済状況が変わることもあります。定期的に住宅ローンの残高を確認し、借り換えや繰上返済を検討するとよいでしょう。

繰り上げ返済をする

住宅ローンは決められた期間中、決められた金額を毎月返済するものです。そのため、完済までのスケジュールが借入時に決められています。

しかし、借入時から数年も経つと経済状況が変わったり、子供が成長して独立すると金銭的に余裕がでる場合があります。その時には、まとまったお金を毎月の返済とは別に返済することで元金金額が減り、支払い総額を減らせたり、月々の返済額が減らせる場合があります。

この手続きを一部繰上返済と言います。一部繰上返済には返済期間を短縮するものと、返済期間はそのままで月々の返済額を減らすものがあります。

これは、おのおののライフプランに合わせて選ぶとよいでしょう。

住宅ローンの借り換えをする

定期的に金利をチェックして住宅ローンの見直しを行うことはとても大切です。金利は常に変動し、高い金利のまま借り続けているよりも、低い金利の時に借り換えを行えば、トータル的にも支払い額が減り返済が楽になる可能性があります。

金融機関では借り換えのためのシミュレーターが用意されています。それを利用すると、現在借入れしているローンから借り換えた場合の総返済額や月々の返済額の差額が計算できます。

シミュレーターを利用する時には、借入残高や残りの借入期間、金利などを入力すると自動で計算できます。また、返済方法によっても返済額は左右されるため、その時の金利の推移を見ながら、変動金利型にするのか固定金利特約型にするのかを検討するとよいでしょう。

住宅ローン控除を受ける

住宅の価格は何千万にもなり、大きな金額の借入になります。そのため、長期間に渡って返済することになります。そして、長く借入しているとその分利息の割合も増えます。そのため、住宅を購入した人の金利負担を少しでも減らすために設けられたのが住宅ローン控除の制度です。

この制度では、年末のローン残高の1%か住宅の取得対価のうちの少ない金額が控除されます。控除期間は10年間で、一年にできる控除額は最大40万円です。所得税から直接控除される税額控除で、所得税額で控除しきれない場合には、一部の金額を住民税でも控除できます。

住宅ローンが残っていても売却は可能

住宅ローンの借入期間はほとんどの場合35年などの長期に渡ることがほとんどです。住宅金融支援機構の「住宅ローンの貸出期間」を見ると、貸出期間の平均は25.6年、半数以上の人が30年以上を設定しています。そのため、住宅の買い替えを行う時にはほとんどの人が、住宅ローンの残債がある状態で売却を行っています。

このように残債がある状態での売却は珍しいことではありません。しかし、残債を抱えたまま売却するには、その残債を完済する必要があります。完済して抵当権を抹消しないと家を売却できません。

ただし、住宅ローンの完済は売却した際の代金で支払うことができます。そのため、事前に査定を行ってどれくらいの金額で売却できるかを把握し、もし、残債額に売却額が満たない場合にはどのようにして不足分を用意するかを考える必要があります。

また、売却の際には諸費用もかかるので、この費用も入れて試算する必要があります。

参考:住宅ローンの貸出期間

住宅ローンが残っている不動産を売却する方法

適切な販売戦略を持ち実績のある不動産会社なら、残債がある家も最善の方法での売却をサポートしてもらえます。また、住み替えローンや任意売却を利用する際も、その道のプロである不動産会社に相談するとよいでしょう。

一括査定サイトを利用して売却するのがおすすめ

家を売却する時には、不動産会社に買手を探してもらう仲介と直接不動産会社に買い取ってもらう方法があります。どちらにしても、売却代金で住宅ローンの残債を完済できるかどうかを調べなければなりません。どれくらいの価格になるかを調べる時には、不動産の一括査定を利用すると簡単に調べられます。

一括査定では、不動産の情報を入力するだけで査定額がわかります。この提示される査定額は不動産会社によってばらつきがあるため、何社かに査定を依頼して査定額を比較してみましょう。複数の査定額を比べることで、おおよその価格が予測できます。

一括査定ならこのように不動産の価格を調べるだけでなく、査定をしている不動産会社についても知ることができます。不動産会社には得意不得意があり、適切な不動産会社を選ばないと同じ物件でも高値での売却はできません。

そのため、査定が提示された時にどのような理由でその査定額になっているかや、担当者に販売戦略や売却実績をたずね、より売却する不動産に適した不動産会社や担当者を選ぶ必要があります。

一括査定なら、不動産会社は厳しい審査を通った不動産会社が登録されています。そして、入力した不動産のデータからその不動産の売却に適した不動産会社が自動的に選ばれて査定を依頼できます。

残債がある物件の売却では、少しでも高く売却することで、その後の資金計画に余裕がもてるため一括査定を利用して高値売却ができる不動産会社を選びましょう。

住み替えローンを利用する

家を売却するだけでなく同時に購入も予定しているのなら、住み替えローンを利用して売却する方法があります。住み替えローンは、売却時に残った残債を新たに購入する物件の住宅ローンに上乗せして借り入れするローンです。

このローンの利用の際には、物件の売却と購入の決済日を同時に行う必要があります。また、新しく組む住み替えローンは、担保以上の借入となり月々の返済額が今までよりも大きくなる可能性があります。

そして、一度目の借入時よりも借入できる年数が短くなり、借入金額もオーバーローンの状態になるため審査も厳しくなることが予測されます。

そのため、住み替えローンを利用する際には、事前にシミュレーションを慎重に行い検討する必要があります。

任意売却をする

残債が残った家の売却を行う時にはさまざまな理由があります。転勤であったり、離婚であったり、ローンの支払いができなくなったりと人それぞれです。そして、中でも支払いができなくなった場合に利用できるのが、「任意売却」です。

任意売却は一定期間ローンを滞納した場合に選べる売却方法です。通常ならローンを滞納すると、一定期間ののち抵当権が実行されて競売にかけられてしまいます。しかし、競売での価格は市場価格よりかなり低くなるため、金融機関の同意のもと通常の売却ができるのが任意売却です。

通常の売却なら競売よりも高く売却できるため、金融機関にもメリットがあります。そして、債務者にもメリットがあり、任意売却だと諸費用もかからず、売却後の残債は無理のない範囲での返済になります。

また、借入先によっては残債を減額してもらえることがあります。そのため、ローンの返済が滞った時には、任意売却も売却の1つの方法として覚えておくとよいでしょう。

おすすめの一括査定サイト3選

サイト名 利用者数 対象エリア 提携会社数 同時依頼数
イエウール 1,000万人 全国 1,700社 6件
イエイ 400万人以上 全国 1,700社以上 6件
リビンマッチ 440万人 全国 1,400社 6件

イエウール:全国1,700社以上に対応

地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。

利用者数 1,000万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6社
取引件数 非公開
顧客満足度 98%
運営会社 株式会社Speee (Speee, Inc.)

サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。

イエイ:お断り代行サービスを提供

大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。

利用者数 400万人以上
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6件
取引件数 1,000件以上
顧客満足度 97%
運営会社 セカイエ株式会社

都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。

なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。

リビンマッチ:利用したいサイト第1位

都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。

利用者数 440万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,400社
同時依頼数 6件
取引件数 14万件(年間)
顧客満足度 98%
運営会社 リビン・テクノロジーズ株式会社

全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。

住宅はローンが残っていても売却できる

住宅ローンが残っている物件を売却している人はたくさんいます。残債の額に売却金額が届かないからと言ってあきらめる必要はありません。選ぶ不動産会社によってはより高く売却できる可能性もあります。

そのため、売却しなければならない事態になったら、まずは一括査定を利用してどれくらいの価格で売却できるかの検討をつけましょう。そして、より適切な不動産会社を選ぶことで高値での売却につながり、残債を減らすことができます。

どうしても残債が残るようなら、住み替えローンを利用したり、無担保ローンを利用して売却することもできます。よりよい不動産会社が見つかれば、最善の方法をアドバイスしてもらえます。一括査定は不動産会社を選ぶ時にもとても役立つシステムです。

上手に一括査定を利用してより高く売却できるように、あなたにとって信頼できる不動産会社を見つけましょう。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!