自宅を売却する方法とは?手順とお金についての基礎知識

住宅は、長い間住み続けることを前提に購入する人が多いことでしょう。しかし、ライフスタイルの変化やより良い住環境を求めるなど、自宅を売却するタイミングはいつ訪れるかわかりません。

また、実際に売り出しをスタートしても、場合によってはなかなか買い手がつかないケースもあるため、売却までの手順や費用について把握しておくことが大切です。

ここでは、自宅を売却するための手順とお金に関する基礎知識について解説していきます。

自宅を売却するための基礎知識

自宅をスムーズに売却するためには、売却までの手順や必要な期間を予め把握しておくことが大切です。また、住み替えで新たに住宅を購入する場合は、購入と売却のタイミングを見極めるようにしましょう。

査定から売却までの流れ

住宅を売却する際には、不動産会社に査定や仲介を依頼して進めていくのが一般的です。査定から売却までの流れは、以下の通りです。

  1. 不動産会社による査定
  2. 不動産会社との媒介契約
  3. 売却活動
  4. 買い手との売買契約
  5. 物件の引き渡し

不動産会社による査定

不動産を売買する際には、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。ただし、不動産会社によって査定額が異なるため、複数社に依頼することをおすすめします。

不動産会社との媒介契約

仲介を依頼する不動産会社が決まると、売り手と不動産会社との間に媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あり、詳細は後ほど解説します。

売却活動

不動産会社から提示された査定額を基に、実際に売り出す価格を設定します。不動産会社のサイトや広告などを用いて、売却活動を始めます。

買い手との売買契約

売却活動に伴い、購入希望者が現れると内見を受け入れます。その後、条件や価格交渉などを経て、売買契約を結びます。

物件の引き渡し

売買契約時に物件の引き渡し時期を協議し、その日が訪れると買い手に物件を引き渡します。この時に決済が行われ、物件の鍵を渡して売却が完了します。

売却までに必要な期間

一般的な不動産の売買では、売却までに必要な期間は平均で3カ月程度だと言われています。早く買い手が現れると1カ月程度で売却できる場合もある一方で、長期間買い手が現れずに1年以上の期間を要する場合もあります。

長期間買い手が現れない原因の一つとして、売り出し価格の設定が相場からかけ離れた高い金額で設定されていることが考えられます。この他に、築年数の割に家の状態が悪いことも原因として考えられるため、必要に応じて修繕やリフォームを行うと良いでしょう。

購入と売却のタイミング

住み替えで自宅を売却する場合、新居の購入と売却のタイミングを見極めることが大切です。

売り先行の場合

売り先行の場合、自宅を売却した金額を新居の購入資金に充てられるため、資金計画が立てやすいことがメリットです。一方で、先に自宅を売却してしまうと、転居のタイミングが整うまでは仮住まいが必要になります。

そのため、仮住まいの家賃や引っ越し費用がかかることがデメリットとして挙げられます。

買い先行の場合

買い先行の場合、新居を購入でき次第転居できるため、仮住まいが必要ないことがメリットです。ただし、売却のタイミングが遅くなると、二重ローンになる可能性があることがデメリットとして挙げられます。

そのため、売却を急ぐことから売り出し価格を値下げしてしまうなど、売却価格が安くなりやすいことが考えられます。

売り先行、買い先行の双方にメリットとデメリットがあるため、家族のライフスタイルを考慮して検討するようにしましょう。なお、買い先行の場合でも、新居の購入資金が十分に確保できれば売却を急ぐ必要がないため、より相場に近い価格で売却できる可能性もあります。

仲介業者との契約の種類と違い

自ら買い手を見つけて売買契約を結ぶこともできますが、各種書類の作成や手続きなどが複雑なのが現状です。多くの場合、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。

仲介を依頼する際には、不動産会社との間に媒介契約を結びます。媒介契約には以下のように3種類あり、それぞれ特徴が異なります。

専属専任媒介契約

1社のみとの契約に限られているため、積極的な売却活動が望めることがメリットです。また、1週間に1回以上の頻度で販売状況を報告する義務があります。ただし、自ら買い手を見つけた場合には直接取引できないことがデメリットです。

専任媒介契約

専属専任媒介契約と同様に1社のみとの契約に限られており、複数社との契約は認められていません。また、2週間に1回以上の頻度で販売状況を報告する義務があります。なお、自ら買い手を見つけた場合でも直接取引できることがメリットとして挙げられます。

一般媒介契約

複数社との契約が認められているため、売却する物件の売買が得意な業者と契約すれば、スムーズな売却が実現しやすいことがメリットです。一方で、販売状況の報告が義務ではないため、自分から積極的に連絡を取るなどの工夫が求められます。

一般媒介契約に比べると、専任専属媒介契約と専任媒介契約の自由度は少ないですが、契約する業者が1社に限られているため、積極的な売却活動が期待できます。

住宅ローンが残っていても自宅の売却は可能

自宅を購入して間もない場合、もしくは住宅ローンの残債が多い場合、自宅を売却できないと不安になりがちです。しかし、売却して得た金額を返済に充てたり、買い替えローンを利用することで売却できる可能性があるので安心です。

高く売却して残債を返済する

多くの人が利用しているフラット35では、返済期間が15~35年と非常に長い期間が設けられています。そのため、自宅の売却を検討したタイミングによっては住宅ローンの残債が多い可能性が考えられます。

しかし、自宅をできるだけ高く売却すれば、その金額を返済に充てられるため、売却と同時の完済も望めます。もちろん売却金額で完済することがベストですが、それでも残債がある場合は自己資金などを充てれば完済できる可能性があります。

ただし、マンションや戸建てなどの住宅は、築年数に応じて価値が下がるのが一般的です。木造の戸建ての場合、築20年を過ぎる頃には価値はほとんどないと考えられています。そのため、できるだけ高く売却するためには、築年数の浅いうちに売却することをおすすめします。

住み替え時に組み直せるローン

住宅ローンには抵当権が設定されているため、完済して抵当権を抹消しなければ自宅を売却できません。住宅ローンの残債が多く、自宅を売却しても完済できない場合、住み替え時に組み直せるローンを利用できるので安心です。

買い替えローン

買い替えローンは、現在の住宅ローンと新居の住宅ローンを合算して返済する仕組みとなっています。買い替えローンを利用することで現在の住宅ローンを完済できるため、無事に自宅を売却できます。

ただし、買い替えローンは、自宅を売却した金額を返済に充てても完済できないオーバーローンとならないと利用できません。

ダブルローン

自宅を売却した金額で完済できた場合はアンダーローンとなるため、買い替えローンではなく新たに住宅ローンを組みことになります。これはダブルローンと呼ばれており、現在の住宅ローンとは別に新居の住宅ローンをそれぞれ返済する仕組みとなっています。

ただし、ダブルローンは既に借り入れがある状態で新たに借り入れるため、通常の住宅ローンよりも審査が厳しいと言われています。また、現在の住宅ローンの返済額に新たな住宅ローンの返済額が加わるため、今後の生活を圧迫しないように注意が必要です。

最後の手段としての任意売却

自宅を売却した金額を充てても現在の住宅ローンが完済できず、住み替えローンやダブルローンの組み直しが難しい可能性も考えられます。このような場合、最終手段として任意売却という方法で自宅を売却できます。

任意売却とは、住宅ローンを返済する見込みがない場合などに自宅が競売にかけられることを回避できる方法です。ただし、信用情報機関、いわゆるブラックリストに掲載されるため、7年間は住宅ローンを含む全ての借り入れができなくなる可能性があります。

さらに、任意売却する際には、住宅ローンを借り入れる際に記載した連帯保証人の同意が必要です。このように任意売却という手段を利用すれば自宅を売却できますが、デメリットも多いのが現状です。

賢く自宅を売るためにできること

自宅を売却する際には、売却金額と住宅ローンの兼ね合いが非常に重要だと言えるでしょう。また、1日でも早く売却したい場合は、不動産会社による買取を利用するとスムーズです。

マイホーム売却時の控除を活用して節税する

安倍政権になって以降、消費税の増税が2度に渡って見送られ、ついに2019年10月からの増税が決定されています。生活に最も身近な税金は消費税ですが、税金の種類は数多いのが現状です。

しかし、度重なる増税などで消費者の税負担を軽減するために、一部の税金には特別控除や軽減税率が設けられており、主に以下のような制度が挙げられます。

3,000万円の特別控除

自宅を購入する際にも不動産取得税や印紙税といった税金がかかっていたように、自宅を売却する際にもさまざまな税金がかかります。自宅を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税が課税されます。

3,000万円の特別控除は、自宅を売却して出た利益が3,000万円までは譲渡所得税がかからない仕組みとなっています。ただし、適用条件が多いため、事前に確認しておくことをおすすめします。

10年超所有軽減税率

譲渡所得税は所得税と住民税で構成されており、不動産の所有期間に応じて税額が異なることが特徴です。所有期間5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得に区分されています。

10年超所有軽減税率は、所有期間が10年を超える不動産を売却した際に適用される制度です。以下の表のように、通常の譲渡所得の税率とは異なり、譲渡所得の金額に応じて2つに区分されています。

区分 所得税 住民税 合計税率
短期譲渡所得 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 15.315% 5% 20.315%
10年超(6,000万円以下) 10.21% 4% 14.21%
10年超(6,000万円超) 15.315% 5% 20.315%

この表を見ると、不動産の所有期間が長いほど税率が低いことがわかります。また、10年超所有軽減税率が適用された場合、6,000万円以下の金額に対しては税率が最も低い一方で、6,000万円を超える金額は長期譲渡所得と同じ税率となっています。

一括査定サイトを活用する

自宅をより高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することが大切です。一括査定サイトを利用すると、一度で複数社に査定を依頼できるのでおすすめです。

売却の相場を知ることができる

一括査定サイトを利用して複数社から査定額を提示されると、自宅がどのくらいの金額で売却できるのか比較しやすいことがメリットの一つです。インターネット上には数多くの一括査定サイトが存在するため、提携業者数や実績などを参考に見つけるようにしましょう。

ただし、他の業者に比べて異常にかけ離れた査定額を提示する業者の場合、悪徳業者の可能性があるので注意が必要です。このような場合、専任媒介契約に持ち込むために最初は高額な査定額を提示していても、後々値下げしてくる可能性が考えられます。

最初に査定をすると今後の計画が立てやすい

住み替えで自宅を売却する場合、査定を依頼して相場と大まかな売却金額を把握しておくと、今後の資金計画が立てやすいと言えるでしょう。住み替えの場合には、住宅ローンの残債や新居の購入資金との兼ね合いが重要です。

また、新居に転居する際には引越し費用や各種税金など、さまざまな費用が必要です。そのため、最初に査定を依頼しておき、これから必要な大まかな資金を把握しておきましょう。

相性の良い不動産会社を見つけやすい

自宅をより高値でスムーズに売却するためには、優良な不動産会社を見つけると共に、相性の良い担当者に出会うことが大切です。担当者との相性が良ければ、こちらの意見や希望を伝えやすく、売却までの手順をスムーズに進めやすいと言えるでしょう。

一括査定サイトでは多くの業者と提携しており、得意分野の異なる業者が集結しています。そのため、一括査定サイトを利用すると、売却したい物件種別の売買に得意な業者を見つけやすいことがメリットです。

買取制度を利用して確実に売る

自宅を売却する場合、不動産会社に仲介を依頼して買い手を見つけるのが一般的です。この他に、不動産会社によっては直接買い取ってもらえる方法があり、短期間で確実に売却できることが特徴です。

不動産会社による買取では、媒介契約を結ばないため、仲介手数料の支払い義務がありません。また、売却活動という手順を踏まないため、早く売却でき、売却金額をすぐに受け取れることがメリットです。

ただし、通常の売買に比べると相場は70~80%程度と言われているため、高値での売却は期待できないのが現状です。

内見前に自宅の状態をキレイにしておく

購入希望者が現れると、内見を受け入れるケースがほとんどです。内見時には部屋の清掃はもちろんのこと、傷が目立つ箇所を修繕しておくなど、印象アップに繋がる工夫が大切です。

目立つ傷や汚れがある場合、それを根拠に値引き交渉に持ち込まれるケースがあるため、相場よりも低い金額で売却しなければならない可能性もあります。

ただし、中古住宅の購入希望者は購入後にリフォームすることを前提としているケースが多いため、リフォームする場合は不動産会社に相談してから行うようにしましょう。また、部屋をより綺麗に見せるためには、ハウスクリーニングの依頼もおすすめです。

自宅の売却事例を紹介

自宅の売却価格は、築年数と立地条件が影響しやすいと考えられています。ここでは、築年数によるマンションと戸建ての売却事例をご紹介していきます。

【事例1】築6年の都心部のマンションの場合

  • 物件:都心部の高級タワーマンション(全502戸)
  • 築年数:6年
  • 間取り:3LDK
  • 建物内の相場価格:6,745万円~7億7,933万円
  • 売却価格:1億8,200万円

このマンションは100年程度の耐久性を目指した構造躯体で、分譲価格帯は4,880~4億2,000万円と高額で、相場価格も非常に高額です。

【事例2】築年21の地方の戸建ての場合

  • 物件:戸建て(木造)
  • 築年数:21年
  • 面積:410平米
  • 周辺の相場価格:1,820~4,098万円
  • 売却価格:5,800万円

このように地方の戸建てで築年数が20年以上経過している物件でも、都市部へのアクセスが良く面積が広い場合は高値で取り引きされていることがわかります。

売却に向けての一歩を踏み出す

自宅を売却する際には、手順や売却までにかかる大まかな期間を把握しておくことが大切です。また、買い先行と売り先行では転居のタイミングが異なるため、住宅ローンの残債を考慮しながら自分に合った方法を選ぶと良いでしょう。

一括査定サイトを利用すると相場を把握できるだけでなく、不動産会社探しにも役立つため、積極的な利用をおすすめします。