戸建て売却

戸建の売却相場を調べる方法|適正な価格設定で買主を見つけよう

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マンションや戸建てなどの住宅には、寿命があると言われています。多くは築年数と共に資産価値が下落し、戸建ての寿命はおよそ30年と考えられています。

また、住み替えで住宅を売却するタイミングは、築10~20年までの期間がベストだと言われています。この時期は住宅ローン控除が終了するタイミングであることに加えて、中古住宅の購入希望者からのニーズが高い傾向にあります。

住み替えの場合にはより高値で売却すると、売却金額を新居の購入資金に充てられるといったメリットもあります。より高値で売却するには売却相場を把握することが大切であるため、一括査定サイトなどを利用して事前に相場を調べておきましょう。

戸建の売却相場を事前に把握することのメリット

戸建てなどの不動産を売却する際には、事前に相場を把握しておくことが大切です。相場を知ることで不動産会社から提示された査定額を比較でき、相場よりも低い価格で売却するといった失敗を回避できます。

適正価格で販売することで売却を有利に進める

戸建ての価格は、築年数や立地条件をベースにして決められるのが一般的です。この他に、日当たりや風通しなどのさまざまな項目が考慮され、最終的な査定額が算出されます。

戸建ての売却を検討した際に、まずは不動産会社に査定を依頼することからスタートすると考えがちです。しかし、査定を依頼する前に物件の相場を把握しておくようにしましょう。

なぜなら、相場を知らずに売却価格を設定すると、売却がスムーズに進まない可能性があるからです。例えば、相場よりも高い価格で売り出した場合、相場程度の価格で売り出している周辺の類似物件に購入希望者を奪われてしまいます。

そのため、いつまでも買い手がつかないといった事態に陥りがちです。一方で相場よりも低い価格で売り出した場合、損をしてしまう可能性が考えられます。

従って、物件の相場を把握した上で適正価格で売り出すと、売却を有利に進められると言えるでしょう。

相場を知っておくことで不動産会社選びに役立つ

戸建てを売却する場合、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。その後、査定額をベースとして売却価格を設定し、売り出しをスタートします。

しかし、悪徳な不動産会社の場合、相場とかけ離れた高額な査定額が提示されるケースがあります。このような場合、仲介手数料を目的として一時的に高額な査定額を提示している可能性が考えられます。

もしくは、対象物件のエリアでの取引経験が少なく、適正価格での査定ができなかった可能性も考えられます。また、スムーズに売却を進めるためには、仲介を依頼する不動産会社選びが非常に重要です。

相場を知っておくことで不動産会社選びに役立つため、提示された査定額の根拠を問い質し、優良な業者を見極めるようにしましょう。特に業者の担当者との相性が売却活動に影響しやすいため、誠実な対応をしてくれる担当者を見極めましょう。

不動産売却に関するデータベースを利用して相場を調べる方法

戸建ての相場は、不動産取引の情報が閲覧できるサイトで調べられます。ここでは、国土交通大臣が指定したサイトと国土交通省が運営しているサイトについて順に解説していきます。

直近1年の相場を調べるレインズ

レインズとは、不動産流通機構が運営する不動産取引情報サイトです。このサイトは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営、管理しているため、信頼性が高いと言えるでしょう。

都道府県と詳細エリアに絞って実際の成約価格を検索できますが、直近1年の取引情報しか掲載されておらず、情報が少ない場合には検索できないことがデメリットです。

相場の変動がわかる土地総合情報システム

土地総合情報システムとは、国土交通省が運営する不動産取引価格情報サイトです。このサイトは、レインズと同様に調べられるのは実際の成約価格で、土地と建物の両方を調べられます。

直近1年の取引情報しか掲載されていないレインズと異なり、2005年から直近までのデータが掲載されています。ただし、過去に不動産取引した人を対象にしたアンケート結果をベースにしているため、全ての人が回答しているとは限りません。

そのため、全てのデータが揃っておらず、情報が少なめであることがデメリットです。

一括査定サイトを利用して相場を調べる方法

物件の相場を調べる最も身近な方法は、新聞の折り込み広告や不動産会社の公式サイトなどが挙げられます。しかし、より適正な相場を知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額を比較することが大切です。

複数の不動産会社に査定を依頼

従来は、売り手自身が最寄りの不動産会社を訪れて査定を依頼するのが一般的でした。しかし、近年はインターネット上で複数社に一括査定を依頼できる「一括査定サイト」が登場しています。

一括査定サイトを利用すると、不動産会社を訪れなくても複数社に査定を依頼できるので便利です。また、複数社の査定額を比較することで、相場と適正価格が見えやすくなります。

手軽に売却相場を知るなら机上査定

不動産会社による査定では、まずは物件情報をベースとして査定額を算出する机上査定が行われます。一括査定サイトでもこの方法が用いられており、過去の成約価格や周辺の類似物件、相場の動向などを参考に査定額が算出されます。

一括査定サイトの場合、物件種別やエリアなどの情報を入力してインターネットを介して査定を依頼する仕組みとなっています。なお、査定結果はメールで受け取る方法がほとんどで、サイトによっては勧誘が一切行われないといった特徴もあります。

戸建の状態をしっかりと査定するなら訪問査定

物件情報をベースとして査定額が算出される机上査定が行われた後に、通常は訪問査定が行われます。訪問査定とは、不動産会社の担当者が物件の状態を確認し、より正確な査定額を算出する方法です。

この方法では、机上査定で用いたデータに加えて、目視による室内や室外の状態をチェックします。具体的には日当たりや騒音など、近隣の状況を踏まえた上で査定額が算出されます。なお、不動産会社の担当者が物件を訪問するため、予定の確保が必要です。

一括査定サイトの選び方

現在、インターネット上には非常に多くの一括査定サイトが存在しています。一括査定サイトの特徴はさまざまで、主に以下のような項目に違いがあります。

  • 対象エリア
  • 提携社数
  • 同時依頼数

対象エリアが関東圏や関西圏など、特定のエリアに限定した一括査定サイトもあるため、まずは物件が対象エリアであることを確認しましょう。多くの一括査定サイトでは1,000社以上と提携していますが、サイトによっては提携社数が少ない場合もあります。

このような場合、査定が偏るといったケースも考えられるため、複数の一括査定サイトを利用してみるのも良いでしょう。なお、一括査定サイトを利用して査定を依頼する際には、大手から地域密着型の業者まで幅広く網羅することをおすすめします。

大手の場合、確かなノウハウと実績がある一方で、地域密着型の業者の方が特定のエリアに特化した情報を持っているケースもあります。また、業者によって得意分野が異なるため、戸建ての売買に強い業者を見つけることも大切です。

おすすめの一括査定サイト3選

サイト名 利用者数 対象エリア 提携会社数 同時依頼数
イエウール 1,000万人 全国 1,700社 6件
イエイ 400万人以上 全国 1,700社以上 6件
リビンマッチ 440万人 全国 1,400社 6件

イエウール:全国1,700社以上に対応

地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。

利用者数 1,000万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6社
取引件数 非公開
顧客満足度 98%
運営会社 株式会社Speee (Speee, Inc.)

サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。

イエイ:お断り代行サービスを提供

大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。

利用者数 400万人以上
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6件
取引件数 1,000件以上
顧客満足度 97%
運営会社 セカイエ株式会社

都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。

なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。

リビンマッチ:利用したいサイト第1位

都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。

利用者数 440万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,400社
同時依頼数 6件
取引件数 14万件(年間)
顧客満足度 98%
運営会社 リビン・テクノロジーズ株式会社

全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。

近隣で売却実績がないなら自力で計算

再開発された住宅地やマンションの場合、周辺に類似物件が多いため、売却実績が多い傾向にあります。しかし、エリアによっては近隣で売買実績がないケースも考えられます。このような場合、以下のような方法で相場を算出してみると良いでしょう。

土地部分の相場を計算する方法

戸建ての場合、土地部分は築年数の影響を受けにくいため、資産価値が下がりにくいと言われています。一方で、建物部分は築年数に応じて資産価値が下がる場合がほとんどです。

土地部分の相場を計算するには、路線価を用いると良いでしょう。路線価とは、国税庁が毎年7月頃に公表する宅地1平方メートルあたりの評価額のことを指しています。

路線価は、以下のように土地が面している道路の数によって計算方法が異なります。

・1路線の場合

1平方メートルあたりの評価額=路線価×奥行価格補正率

 

・2路線の場合

1平方メートルあたりの評価額=側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率

2路線の場合、1路線で用いる計算式に加えて、側方路線価や側方路線影響加算率を乗じた金額が加算されます。

建物部分の相場を計算する方法

建物部分は土地部分と異なり、築年数に応じて資産価値が下がるのが一般的です。また、木造の戸建ての場合、築20年で資産価値がほとんどなくなると考えられています。

建物部分の相場を計算する場合、再調達原価が用いられます。再調達原価とは、建物を新たに建築した際の価格のことを指しており、建物部分の相場は以下のような計算式で算出されます。

・建物部分の価格=再調達原価×(経済的耐用年数-経過年数)/経済的耐用年数

なお、再調達原価は国税庁の「建物の標準的な建築価額」を用い、経済的耐用年数や経過年数を絡めて算出されます。

戸建の売却相場の計算例

戸建ての相場は、土地部分と建物部分を合わせた金額で構成されています。それでは、実際に数値を入れた計算例を見ていきましょう。一例として、エリアや築年数などは以下のように設定しています。

東京都世田谷区大蔵2丁目(1路線):路線価:44万円
土地の面積:70平米
再調達価格:15万円(1平方メートルあたり)
耐用年数(木造):22年
築年数:10年

・土地の価格

44万円(路線価)×0.98(奥行価格補正率)=43万1,200円(1平方メートルあたりの評価額)

43万1,200円(1平方メートルあたりの評価額)×70(平米数)=3,018万4千円(土地の評価額)

 

・建物の価格

2,250万円(再調達原価)×{22年(経済的耐用年数)-10年(経過年数)}/22年(経済的耐用年数)=1臆2,272万727円(建物部分の価格)

このように計算方法はやや複雑ですが、路線価をベースとして戸建ての売却相場を導き出せます。

固定資産税通知書から戸建の売却相場を計算

土地や住宅などの不動産を所有している場合、所有者に対して固定資産税の納付が義務づけられています。固定資産税の税額は、毎年4月頃に送付される固定資産税通知書に記されています。

戸建ての売却相場を知りたい場合、固定資産税評価額に記された金額に70%を乗じて算出できます。この方法は、路線価をベースとして算出する方法よりも簡単です。

固定資産税通知書が手元にない場合、各自治体の役場で納税証明書を請求することで確認できます。

ただし、固定資産税通知書に記されている金額は3年に1度の頻度で見直されているため、現状とズレる可能性があるので注意が必要です。

戸建を売却するときの5つの注意点

戸建てを売却する際には、できるだけ高値で売却したいと望む人が多いことでしょう。できるだけ高値で売却するためには、以下のような点に注意が必要です。

値引きを見越して価格を設定

一般的な不動産の取引では、購入希望者から値引き交渉を求められるケースがほとんどです。そのため、売り出し価格を設定する際には、購入希望者から値引き交渉されることを見越した金額設定することが大切です。

ただし、最初から相場よりも高い価格で売り出してしまうと、なかなか買い手がつかないといった状況になりかねません。価格設定の匙加減は難しいため、仲介を依頼する不動産会社と相談し、相場と大きくズレることがないように注意しましょう。

立地の良い築浅の戸建なら安易に値下げをしない

新築よりもお得な価格で購入できる築浅物件への需要は高く、買い手がつきやすい傾向にあります。そのため、築浅物件の場合、早く売却したいがために焦って値下げする必要はありません。

特に立地条件が良い築浅物件はスムーズに売却できる可能性が高いため、タイミングを見極めて値下げすると良いでしょう。

また、なかなか買い手が現れない状況に焦りを感じていても、許容範囲を大きく上回るような値引き交渉には安易に応じないことも大切です。

戸建の売却価格は新しいほど変動が大きい

戸建てやマンションなどの住宅は、築年数に応じて資産価値が下がるのが一般的です。建物部分の資産価値は築10年で新築時の50%、築15年で新築時の20%まで下落すると言われています。

また、築20年を超えると資産価値はほとんどないと言われており、築年数が新しいほど変動が大きいことが伺えます。そのため、物件の資産価値を築年数から検討し、売却のタイミングを見極めることが大切です。

相場より高く売却するなら掃除

購入希望者が現れると、実際に物件を見学してもらう内覧を受け入れます。内覧は、購入の意思を決定する貴重な機会であるため、購買意欲を高める工夫が大切です。

室内に傷や汚れが目立ったり、庭が荒れた状態で内覧を受け入れた場合、売買契約に繋がらない可能性も考えられます。また、それらの欠陥が値下げ交渉の引き金となる可能性もあります。

そのため、掃除や整理整頓をして、綺麗な状態で内覧を受け入れるようにしましょう。なお、築年数が経過した戸建ての場合、水回りに不具合が出やすいため、必要に応じて修繕し、購入希望者に良い印象を与えましょう。

設備はどこまで残すか買い手と交渉

戸建てを売却する際には、エアコンなどの設備やカーテン、照明器具、家具などをどこまで残すかは買い手の意向に影響されます。

ある程度の設備が整った状態の方が喜ばれる可能性がある一方で、家具などを残すことを良しとしない買い手もいるのが現状です。

物件の引き渡しまでに買い手と交渉し、不要な場合は処分しなければなりません。ただし、不用品の処分には費用がかかるため、状態が良いものはリサイクルショップやオークションサイトなどを利用して引き取ってもらうと良いでしょう。

相場を調べてから戸建の売却を開始

住み替えで戸建てを売却する場合、売却した金額を元手に新居の購入を検討している人も多いのではないでしょうか。また、住宅ローンの残債がある場合、売却金額を充てての完済もできます。

売却金額は100万円単位で変動する可能性があるため、損をしないためにも事前に相場を調べて売り出すことをおすすめします。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!