空き家が0円でも売れない理由とは。売却のコツと税金のしくみ

親から空き家を相続した時、その空き家を維持していくのが難しいなら手放す人も多いでしょう。手放す方法に売却を考えている場合、実は空き家は0円でも売れない時代に突入しているので注意が必要です。では、なぜ0円でも空き家を売却することが難しいのでしょうか。

また、空き家には維持していくだけでも税金がかかります。税金のしくみ、そして空き家が0円で売れない時代であっても売却するコツや売れない理由について解説していきます。空き家を手放すための行動をスムーズに取れるようにしましょう。

なぜ空き家が0円でも売れないのか

空き家が0円でも売れない時代ですが、なぜ売れないのでしょうか。実はきちんとした理由があります。ここでは、空き家が売れない理由を解説していきます。理由を知っておくだけでも、今後の売却活動の参考になるでしょう。

老朽化が進み過ぎているため

たとえ空き家を0円で手に入れることができても、空き家の老朽化が酷いとリフォームなどして修繕しないと住むことは難しいでしょう。修繕には費用がかかりますし、状態によっては何百万円以上もかかってしまう可能性が高いです。

いくらかお金を出せば状態の良い家を買えてしまうこともあるため、そうなると空き家を0円で購入してリフォーム代出す場合と大差なくなってしまいます。

大差ないとなれば、わざわざ空き家を0円で購入するメリットがほぼ無くなくなります。こういったことから、老朽化が酷い空き家は売れにくくなっています。

立地が悪く生活をするには不便

周辺地域に民家があっても、少子高齢化で高齢者が多くなっているのが今の日本の現状です。将来的にはもっと人が減っていくと見込まれています。

2015年の国勢調査では人口が1億2,709万4,745人でしたが、15歳未満がと15歳~64歳未満の人口が減少する中で、それ以上の年齢の人が増加しているという結果が出ています。着々と少子高齢化になっているのは間違いありません。

子世代のような若い人たちはもっと駅が近く、スーパーや病院などが近い立地条件の良い場所を好むため、地方などの立地の悪いところは人気がなく、そのまま空き家として残り売れにくくなってしまうのです。

売却活動に問題がある

空き家がなかなか売れない時、売却活動に問題の可能性があります。たとえば以下のようなことが挙げられます。

  • 不動産会社の広告のやり方に問題がある
  • 物件紹介の写真が見づらく、魅力的に見えない
  • 物件を掲載しているポータルサイトなどに集客力がない

といったようなことがないかどうかチェックして売却活動を一から見直してみることをおすすめします。お任せしている不動産会社と相談してみても良いでしょう。

売れない空き家は維持費がかかる

空き家に限らずとも不動産は維持費がかかります。そして売れない空き家でも当然維持費がかかるため、空き家を保持するためにかかる維持費、税金のしくみについて解説していきます。

空き家にかかる維持費の相場

空き家を維持していくのに必要な費用について説明していきます。主な費用と目安は以下の通りです。

必要な費用の名称 費用の目安
固定資産税 年で数万円~数十万円
都市計画税 年で数万円~数十万円
火災保険 年で数万円~数十万円
光熱費 年で数千円~数万円
修繕費用熱費 業者へ依頼すれば数万園~数百万円
庭木選定等のその他維持費用

上記の表から、固定資産税と都市計画税の計算方法を説明していきます。固定資産税は不動産を所有している以上支払う義務のある税金です。

住宅のある市区町村から所有者に課せられ、市区町村が定めた固定資産税評価額に一定の税額をかけた金額を納税することになります。一般的には税率1.4%が多いのですが、自治体に確認してみるとよいでしょう。

例を挙げると、固定資産税評価額が2,000万円の建物の場合は以下の計算式となります。

・2,000万円×1.4%=28万円

例を挙げると、固定資産税評価額が2,000万円の建物の場合は以下の計算式となります。経過年数によって減額されていくしくみで、毎年5月頃に納税通知書が送られてきますので評価額を確認してみましょう。

そして都市計画税は、都市計画法によって市街化区域にある建物や土地を課税対象とする税金のことです。空き家のあるところが都市計画区域にあるかどうかは自治体に確認しましょう。

税率は0.3%が多いですが、こちらも自治体で確認しましょう。

・2,000万円×0.3%=6万円

固定資産税と都市計画税だけでもそれなりの金額になってしまうため、空き家保持していくだけで結構な出費です。

空き家を更地にすると税金はアップ

2015年に空き家対策特別措置法が施行されました。これは固定資産税の減額特例は適用されないのですが、空き家を更地にした場合は建物部分の税金はなくなり、土地の部分の税金は3倍程度アップしてしまいます。

まずは土地・建物がある場合の固定資産税の特例措置は以下の通りです。

住宅の敷地で住宅1戸につき、200㎡までの部分(小規模住宅用地)については課税標準を登録価格の6分の1とする。

200㎡を超えて住宅床面積の10倍までの部分(一般住宅用地)については、課税標準の登録価格の3分の1とする。

となっていますが、空き家を壊して更地にした場合、この特例措置は適用されないということです。更地にすると「非住宅用地」扱いになり、地価公示価格の7割が固定資産税評価額でそのまま本則課税標準額とされ、その金額の7割を上限にして負担調整されて課税標準額が決まるしくみです。

そして3倍程度アップするという土地の税金ですが、例を挙げてみましょう。まずは空き家を壊す前で計算しますが、仮に面積150㎡、固定資産税が1㎡あたり120万円で課税標準額が上限とされる住宅用地だとすると、固定資産税【120万円×6分の1×標準税率1.4%】で2,800円となります。

都市計画税の場合は【120万円×3分の1×制限税率0.3%】で1,200円となり、合計で4,000円です。

そして空き家を壊して更地にした場合、非住宅用地となるので【120万円×0.7×(1.4+0.3)%】という計算式になり、合計は約14,200円です。

この金額を特例措置がある場合と比べると、【14,200÷4,000円】で約3.6倍という計算です。

【対策1】一括査定サイトを使って空き家を売りに出す

売れない空き家の売却を成功させるための対策を解説していきます。ここでは対策として「一括査定サイトを利用する」ということが重要です。

相場に合った適正価格で空き家を売り出す

一括査定サイトは、簡単に複数の不動産会社で無料査定依頼ができる便利なものです。一括査定サイトを利用するメリットは、空き家の相場を知ることができるということ。売却する際には、相場に見合う適正価格で設定ができます

信頼できる不動産会社を複数社から選定する

一括査定サイトには、サイト内で登録されている複数の不動産会社と連絡を取ることが可能です。

web上で売却したい空き家の情報・個人情報を入力すると査定ができる不動産会社が表示され、依頼したい不動産会社を選ぶというしくみで行います。

信頼できる不動産会社が見つかれば、売れない空き家でも売却できるコツなどを教わりながら一緒に売却活動ができるはずです。

古い空き家の販売実績が豊富な不動産会社を見つける

家は古くなっていくごとになかなか買い手が見つからないものです。それは空き家も同じですが、古い空き家でも販売実績のある不動産会社なら、空き家を売却できる可能性は高まります

一括査定サイトなら、そういった不動産会社を見つけることも難しくはありません。

不動産会社によっては該当エリアの売買実績や売る物件にも得意不得意があります。古民家専門の不動産会社や、空き家売却のノウハウがあるところならば空き家売却のためのコツを教えてくれるはずです。

【対策2】地元の空き家バンクに登録をする

売れない空き家の対策では、「空き家バンク」と呼ばれるものを利用する方法があります。空き家バンクとは何か、そしてどのようなしくみなのか解説していきます。

空き家バンクを利用して買主を探す

自治体や自治体から委託された団体によって運営されているのが空き家バンクです。ここに登録しておくと、全国の購入したい人とマッチングすることができます

自治体は、マッチングまでをサポートするというしくみです。空き家バンクは営利目的ではないため、費用もかかりませんし空き家を所有していて売却を考えているなら利用することをおすすめします。

 自治体の各種補助金制度を利用する

自治体によって補助金制度を設けているため、各自治体の制度を利用するという方法があります。この補助金制度は、空き家活用を促進するものです。

自治体によって制度の条件が異なるので気になるなら各自治体に問い合わせてみましょう。ここでは、東京都と海老名市の事例で制度を説明します。

東京都では、空き家を活用する際に改修工事費用の一部を補助するという制度です。空き家を以下の用途で使う場合に限ります。

  • 多世代同居世帯や子育て世帯向け用(戸建て住宅)
  • セルフリノベーション用としての用途

セルフリノベーションとは、入居者が借りている物件の大規模改修を自分で行うことをいいます。補助対象となるのは工事費用で補助対象費用の3分の1が支給されるしくみです。改修工事あたりの上限額は100万円とされています。

そして海老名氏の場合は、「空き家活用促進リフォーム助成事業」が行われています。空き家をリフォームし、居住用として賃貸または売却をしたり申請者やその親族が住むとなった場合には税抜10万円以上の工事に対して2分の1を助成するというしくみです。

上限は50万円です。こういったように、リフォームやリノベーションにかかる費用の一部を負担するというのがメインとなる制度です。

売却に関する各種手続きは専門家に依頼する

空き家バンクに登録してマッチングした場合、買い主側との契約内容の交渉には自治体は一切関与しません。あくまでのマッチングまでとなっています。

そうなると、買い主と売り主での取引だけでは書類上不備が出てしまう恐れがありますし、何かトラブルになってしまったら大変です。

そのためには、不動産会社などの専門家を間に入れ、手続きを依頼した方が安心ですしスムーズに取引できるでしょう。

【対策3】0円の空き家を寄付する

売れない空き家の対策として、「寄付」という方法があります。寄付とは具体的にどういうことなのか詳しく説明していきます。

空き家の近所から寄付の交渉

空き家のある土地の近所に寄付の交渉してみるという方法があります。意外と売れる可能性があり、家として使うのではなくたとえば駐車場としての活用なら需要はあります

また、隣家だった場合は増改築のチャンスにもなるわけで、売れない空き家をそのままにするよりも、まずは近所に交渉してみましょう。

そして個人への寄付という扱いなら税金がかからないのが大きなメリットです。

自治体や企業への寄付は断られることが多い

不要な空き家を自治体や企業へ寄付と考えたとしても、それは無意味です。0円でも売れないような空き家は自治体や企業にとっても利用価値がありません。

仮に寄付を受けたとしても、その後の維持費がかかるのでよほどのメリットがない限りは断られてしまうでしょう。

もしどうしても寄付したいなら、具体的にその空き家や土地をどう活用するのか、介護施設といった具体案を出してみると良いでしょう。

【対策4】相続前なら権利の放棄

空き家を正式に相続する前なら、相続権利を放棄するという手段があります。といっても簡単に決断できるものではありません。具体的にどのように放棄するのか説明していきます。

相続放棄するかは遺産の金額で決める

相続放棄とは、すべての遺産を貰う権利を放棄してしまうこと。たとえば現金などの遺産は受け取って空き家の権利だけは放棄という都合の良いことはできませんので要注意です。

相続放棄するか否かは、遺産の金額で決めましょう。空き家を維持していくのにはコストがかかります。その維持費用だけで遺産の2割を超えてしまうなら相続放棄がおすすめです。

その理由は、相続した後の維持費用で遺産が消えてしまうからです。その上で、空き家を相続するとなったら、遺産総額を計算して放棄するか判断しましょう。

相続放棄だけでは管理責任が残る

相続放棄したからと、管理責任も無くなるということはないので要注意です。これは民法第940条で定められていることで、「相続放棄した者は、その放棄により相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでは、自己財産におけるのと同じとして、その財産の管理を続けていかねばならない」となっています。

相続放棄をしても貰い手が見つかるまでは責任逃れはできないわけです。

特に売れない0円の空き家は負の遺産です。そのまま何もしないと経年劣化で隣家など近所への迷惑にもなり得ます。何か事故が起きれば、それは相続人の責任問題です。

管理責任も手放すため相続財産管理人を選任

相続放棄だけでは免れない管理責任も手放すためには、相続財産管理人にお任せしましょう。これは、相続放棄した財産の清算を行ってくれる人のことです。選任の仕方は、以下の通りです。

  • 申し立てを被相続人を最後の住所地かんかつの家庭裁判所にて行う
  • 申し立て受理後、本当に相続財産管理人が必要かの審理が行われる
  • 必要だと判断された後、相続財産管理人の選任審判が行われる

大まかに流れは上記のようになります。申し立ては、選任申立書を作成して必要な分だけの収入印紙を貼り付けます。家庭裁判所HPにて書式が掲載されていますので参考にしてください。他にも必要な書類があります。以下の通りです。

  • 被相続人が生まれてから死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の父母が生まれてから死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の子また孫で死亡者がいる場合、生まれてから死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡が記載されている戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹の中で死亡者がいる場合、生まれてから死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 代襲者として甥また姪で死亡者がいる場合、死亡が記載されている戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 財産を証明する資料

さらに不動産がある場合は、不動産登記事項証明書が必要です。未登記の不動さんなら固定資産評価証明書や預貯金、有価証券など残高が分かる書類を用意しましょう。そして申し立てするのには費用が必要です。

  • 申し立て費用の収入印紙800円
  • 予納郵便切手分(各家庭裁判所によって異なる)
  • 官報公告費用3,775円
  • 予納金(相続財産管理人の経費・報酬に充てる費用)20万円~100万円程度

集める書類だけでも多いので、選任申し立ての際は不備のないよう行いましょう。

空き家は0円以上で売る方法から試そう

空き家を相続する例は決して珍しいことではないのですが、近年では0円でも売れないという状況に陥っています。

それでも保持するにも固定資産税などの維持費がかかり、所有者にとっては使わないのに保持していては大きな負担となってしまいます。

しかし0円でも売れないからと諦めるのではなく、一括査定サイトを利用して空き家売却の売買実績のある不動産会社を探してみましょう

0円で価値がないとされていても、意外と価値を見出だしてくれる買い手が見つかるかもしれません。早急に手放したい人には難しいですが、根気強く諦めずに信頼できる不動産会社を見つけましょう。