不動産売却の基礎知識

不動産売却で経費に入るのは何?確定申告で税金の支払いを節約

不動産の売却時に利益が出た場合、譲渡所得税がかかるため確定申告が必要です。しかし、損失が出た場合でも確定申告することで税金の還付を受けられる可能性があります。

不動産を売却すると各種税金だけでなく手数料などの費用がかかり、決して少ない金額ではありません。この記事を読んで、確定申告の際に経費として計上できる費用を把握して節税に繋げましょう。

経費に含められる10の不動産売却費用

確定申告の際に経費として計上できる費用が多いと、節税に繋がります。しかし、不動産を売却する際に支払った費用には、経費として計上できない費用もあるので注意が必要です。ここでは、経費として計上できる費用について順に解説していきます。

売却価格で決まる仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して売却した場合、売却価格に応じた仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限が決められており、以下のように3段階に区分されています。

  • 200万円以下:5%+消費税
  • 200万円超~400万円以下:4%+消費税
  • 400万円超以上:3%+消費税

ただし、400万円を超える売却価格の場合、金額毎に算出するのが難しいたですが、以下のような計算式を用いれば売却価格を当てはめるだけで簡単に算出できます。

・仲介手数料=(売却価格×3%)+6万円+消費税

この計算式を見ると、売却価格が高くなるほど仲介手数料の金額も高くなることがわかります。従って、売却価格が高いほど経費も増えます。

不動産売却の売渡証書の作成依頼費

売渡証書とは不動産の売買によって所有権を移転する際に必要な書類の一つで、売買契約書とは異なります。売買契約書では所有権の移転登記ができないため、売買契約書をベースとして司法書士が売渡証書を作成します。

この場合、司法書士に対する報酬を支払わなければならず、5,000円~15,000円が相場だと言われています。売主と買主が同じ司法書士に依頼する場合は、費用を割引きしてもらえる可能性もあります。

なお、不動産の売却と同時に住宅ローンを完済する際には、所有権の移転登記と共に抵当権を抹消するための手続きが必要です。これらの手続きは自分でもできますが複雑なため、司法書士に依頼する場合がほとんどです。このような場合、抵当権を抹消手続きに対する報酬も必要です。

作成した書類に貼る印紙代

不動産を取り引きする際には売買契約書を作成し、売主と買主の間で取り交わします。売買契約書や為替手形などの文書に対しては、印紙税法によって印紙税が課せられ、売買契約書に印紙を貼付して納付します。

印紙税は、契約書に記載した金額によって段階的に高くなりますが、10,000円未満の場合は非課税となっています。各種税金には、消費者の税負担を軽減するための措置が設けられており、印紙税にも軽減措置が適用されます。

軽減措置が適用されるのは、平成32年3月31日に作成される文書が対象となっており、例えば売買契約書に記載した金額が3,000万円の場合、本来なら20,000円の印紙税が半分の10,000円に軽減されます。以下の表では、印紙税の税率の一部を示しています。

契約書に記載した金額 本来の税率 軽減措置後の税率
10,000円以下 非課税 非課税
500万円超~1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円 30,000円

不動産売却のための測量費

古い不動産を売却する場合、隣接する土地との境界が曖昧な可能性があり、そのまま売却すると買主が新たに建物を建てる際に土地との境界を巡ってトラブルに発展するリスクがあります。

古い不動産の場合、登記簿謄本の情報も古いため、売却前に測量して境界画定図を作成することが望ましいとされています。また、売却後にこのような欠陥が発覚すると、売主が瑕疵(かし)担保責任に問われる可能性があり、測量費などを負担しなければなりません。

測量費は経費として計上できない場合がほとんどですが、不動産売却のために行った測量については経費として計上できます。測量費の相場は、100平方メートルあたり35万円~と決して安くはありません。

ただし、隣接する土地が複雑な場合や土地の形が複雑な場合は、測量費が高くなる傾向にあります。

土地だけで売却するための解体費用

少子高齢化社会となった日本では全国的に空き家が急増しており、国や自治体がさまざまな対策を講じています。空き家のように古い家屋が建てられた土地は、活用方法が制限されることから売却が難しいと言われています。

しかし、古い建物を解体して更地として売り出すと、住宅や駐車場経営など活用方法の幅が広いため、ニーズが高い傾向にあります。更地として売り出すためには建物の解体が必要ですが、不動産売却のために要した解体費用は経費として計上できます

解体費用は敷地の坪数によって異なり、木造の場合は1坪あたり4万円~10万円が相場となっています。なお、建物の構造によって解体費用が異なり、木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造の順で費用は高くなります。

売却の契約後に別の買主に変更するための違約金

不動産の取り引きにおいて、買主と売買契約書を交わした後に買主が住宅ローンの審査に通らず、売買契約が白紙になってしまうケースも少なからずあります。

売買契約時には、買主が手付金として売却価格の一部を売主に対して支払いますが、何らかの理由で契約が白紙になった場合、手付金は返金しないのが一般的です。

しかし、売買契約書を交わした買主よりも高い価格で購入してくれる別の買主が見つかった場合、売主側の一方的な理由で契約を解除することになります。

このような場合、売主が買主に対して手付金と同額の違約金を支払わなければなりませんが、違約金は経費として計上できます

ただし、契約解除後は、速やかに新たな買主に売却しないと経費として認められないので注意が必要です。

土地売却で家を移動させた場合の費用

土地の一部を売却する場合、予め建っている建物を敷地内の別の場所に移動させるケースがあります。この作業のことを「曳屋」といい、建物を解体することなく移動させる方法です。

土地の売却のために曳家を行った場合、かかった費用を経費として計上できます。曳屋は、道路拡張に伴う移動や耐震補強工事などで地盤のみの補強を行う際に用いられています。建物を解体しないものの大掛かりな作業となるため、曳屋の相場は100万円~300万円程度かかります。

売却先探しに使った交通費などの広告費

不動産を売却する際には、不動産会社と媒介契約を結んで売り出すのが一般的です。不動産会社のサイトへの掲載や折り込み広告などの一般的な広告費は、売却活動の一環として契約内容に含まれています。

しかし、不動産の売却先を不動産会社に頼らず行う場合、買主を探すための売却活動を自分で行わなければなりません。買主探しのための宿泊代や通信費、接待のための食事代などは、広告費として経費に計上できます。

賃貸物件の所有でかかっている税金

土地や住宅などの不動産を所有している場合、毎年固定資産税や都市計画税が課せられ、活用していない不動産を所有していると損失になります。

これらの税金は、賃貸物件の所有でなければ経費の対象となりませんが、賃貸物件の場合は維持費として見なされるため、経費として計上できます。

ただし、不動産売却時の固定資産税や都市計画税は、売主と買主で精算するのが一般的ですが、全て経費として計上できる訳ではなく減価償却の対象となるので注意が必要です。

賃貸物件売却での立退料

賃貸物件を所有している場合、さまざまな理由で入居者に退去を求めざるを得ないケースもあります。このようなケースでは、入居者に立退料を支払わなければならず、立退料に明確な規定はありませんが、入居者と交渉して家賃の半年程度を支払うケースが多いと言われています。

立退きの対象となる入居者が多いと高額になりがちですが、売却のために立退料を支払った場合、譲渡に伴う費用としてかかった経費を計上できます。

不動産売却するならまず一括査定サイトを利用しよう

不動産会社に査定を依頼した場合、まずは必要最低限の情報から査定額を算出する「机上査定」が行われ、後に机上査定と実際に物件を見た情報を合わせて査定額を算出する「訪問査定」が行われます。

高い査定額を提示してくれる業者を探す

机上査定で提示された査定額が高いと、訪問査定でも高い査定額になるケースが多いと言われているため、できるだけ高い査定額を提示してくれる不動産会社を見つけたいものです。

しかし、1社だけに査定を依頼しても査定額を比較できないため、不動産を売却する際には複数社に査定を依頼することをおすすめします。場合によっては百万円単位の差がつく可能性もあるため、大手から地域密着型の業者まで業者の規模に偏ることなく依頼すると良いでしょう。

一括査定サイトで相性の良い担当者を見つける

インターネット上では、複数社に一度に査定を依頼できるツールとして「一括査定サイト」が登場しています。一括査定サイトでは、非常に多くの業者と提携しているため、売却したい不動産の売買が得意な業者を見つけやすいことが魅力の一つです。

また、売却をスムーズに進めるためには、業者の担当者との相性も大切です。一括査定サイトを通じたやり取りで、不動産に関する知識が豊富で誠実な担当者を見つけましょう。

おすすめの一括査定サイト3選

サイト名 利用者数 対象エリア 提携会社数 同時依頼数
イエウール 1,000万人 全国 1,700社 6件
イエイ 400万人以上 全国 1,700社以上 6件
リビンマッチ 440万人 全国 1,400社 6件

イエウール:全国1,700社以上に対応

地方・地域密着型の中小規模不動産業者にも対応しているので、都市部以外に所在しているマンションや一戸建てなどの不動産を売却したい人におすすめです。

利用者数 1,000万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6社
取引件数 非公開
顧客満足度 98%
運営会社 株式会社Speee (Speee, Inc.)

サイト内では一戸建てや土地など、物件の種類別に売却手順の説明も掲載されています。しつこい勧誘があったなど、評判の悪い不動産会社は登録から外されているので安心です。

イエイ:お断り代行サービスを提供

大手不動産会社だけでなく、地域に密着した地方に強い不動産会社への査定も一括で依頼できます。

利用者数 400万人以上
対象エリア 全国
提携会社数 1,700社
同時依頼数 6件
取引件数 1,000件以上
顧客満足度 97%
運営会社 セカイエ株式会社

都心部だけでなく、地方の物件を売却したい人にもおすすめです。また、査定を依頼した不動産会社からの営業連絡を断りたい際に、代わりに断ってくれる「お断り代行」サービスがあるため、営業電話を断りにくい人におすすめです。

なお、依頼先の不動産会社は自分で選べる仕組みとなっています。

リビンマッチ:利用したいサイト第1位

都道府県別に、このサイトに登録している不動産会社の情報をあらかじめ調べることができ、その中から売却査定実績の多い不動産会社を選べることが特徴です。

利用者数 440万人
対象エリア 全国
提携会社数 1,400社
同時依頼数 6件
取引件数 14万件(年間)
顧客満足度 98%
運営会社 リビン・テクノロジーズ株式会社

全国展開しているような大手の不動産業者ではなく、どちらかと言えば地域に密着した中小規模の不動産会社の登録が多いので、相続などによる地方の不動産の売却を考えている人におすすめです。

経費にならない5つの不動産売却費用

不動産を売却すると手数料や税金などの費用がかかりますが、経費として計上できない費用もあります。経費にならない費用は、できるだけ抑えることで節約に繋がります。

不動産の抵当権抹消の費用

売却する不動産が住宅ローンの返済中である場合、売却時に完済しなければなりません。なぜなら住宅ローンを契約する際には、金融機関側が住宅を担保として抵当権を設定しているからです。

住宅ローンを完済すると抵当権を抹消する手続きをしなければなりませんが、自分で手続きするには複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。

司法書士に依頼するする場合、報酬として数万円程度かかります。しかし、過去に行われた裁判の判例によって、司法書士への報酬は経費とは認められていません。なお、司法書士に依頼した売渡証書の作成依頼費は経費として認められています。

維持管理に含まれてしまう修繕費

売却する不動産によってはリフォームやリノベーションが必要なケースもあります。また、買主へのマナーとしてハウスクリーニングを行って物件を引き渡す人も多いことでしょう。

しかし、これらにかかった修繕費は維持管理に含まれてしまうため、経費として計上できません。そのため、高値での売却を目論んでリフォームやリノベーションを行う際には、不動産会社に相談してから行うと良いでしょう。

ただし、内覧などで実際に物件の状態を見た買主が、引き渡しまでにリフォームを求めた場合は経費として計上できます。

残っているローンを返済するための事務手数料

不動産の売却と同時に住宅ローンを完済する場合、月々の返済ではなく一括で返済するため、繰上返済手数料がかかります。この費用は、住宅ローンの残債とは別に支払わなければならないもので、金融機関によって料金が異なります

多くの金融機関では無料~5万円程度で料金設定していますが、インターネットバンキングを利用すると無料になる場合もあります。例えば新生銀行の場合、繰上返済に伴う手数料は無料で1回あたり1円から繰上返済できます。

確定申告のための税理士への依頼費

従来の確定申告は全て紙ベースで手続きしなければなりませんでしたが、e-Taxの登場によって従来よりも手続きしやすくなりました。

不動産を売却した際に利益が出ると譲渡所得税の納付のために確定申告が必要ですが、損失が出た場合も確定申告することで税金の還付が受けられる可能性があります。

確定申告はインターネットを使用して自分で行うのが原則ですが、税理士に依頼する場合は費用がかかります。しかし、税理士に依頼しない人との不公平を避けるために、税理士に対する費用が経費として計上できません

売却する家からの引っ越し費用

現在の住宅を売却して住み替える場合、当然ながら転居先への引っ越し費用がかかります。個人事業主やサラリーマンの転勤に伴う引越しの場合、特定支出控除として引越し費用を経費として計上できる制度が設けられています。

しかし、一般的な引っ越し費用は特定支出控除の条件の段階ではじかれており、経費として計上できません。なお、引っ越し業者の繁忙期である3月や9月は、引越し費用が高額になりがちです。

確定申告のため税金の計算と税金

経費として計上できる項目は確定申告で申請し、正しい税額を納付します。しかし、税金の計算が複雑なため、その仕組みを基に節税対策に繋げましょう。

経費を計上した不動産売却の利益

不動産を売却した際に出た利益に対しては、譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税の計算は以下のように非常に複雑で、まずは税額の基となる譲渡所得を求めます。

・譲渡所得 = 譲渡収入金額 -(取得費+譲渡費用)

譲渡収入金額とは不動産を売却した際に受け取った金額のことで、買主と精算した固定資産税や都市計画税も含まれます。取得費とは不動産の購入にかかった費用で、譲渡費用とは不動産の売却にかかった費用を指しています。

なお、取得費は、単純に購入した際の金額という訳ではなく、購入した金額と購入に伴って支払った手数料などを合計から、建物の減価償却費を差し引いて算出されます。

税金がかかるのは控除含めて利益が出た時

課税される金額となる「課税譲渡所得」は、以下のように譲渡所得の計算式から算出した譲渡所得から「3,000万円特別控除」などを差し引いて算出します。

・課税対象となる譲渡所得=譲渡所得ー各種控除

従って、不動産を売却した際の利益の全てが譲渡所得税の対象にはならず、特別控除を差し引いてもなお利益が出た場合にのみに課税されます。

控除の種類は、3,000万円特別控除を始め、状況に応じて800万円から5,000万円までさまざまです。

節税をするなら長期所有してから不動産売却

不動産を売却した際に出た利益に対して課せられる譲渡所得税は、不動産の所有期間に応じて税率がかかります。譲渡所得税は住民税と所得税が含まれており、平成25年1月1日からは東日本大震災の復興を目的とした「復興特別所得税」が含まれています。

譲渡所得税は不動産の所有期間5年を境として「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に区分されており、5年以下の短期譲渡所得では税率が高くなります。従って、所有期間5年以上の長期譲渡所得に該当すれば節税に繋がります。

経費を全て計上して不動産売却で損をしない

不動産を売却する理由やタイミングは人それぞれですが、住宅ローンの残債や所有期間によってかかる費用が異なります。

売却と同時に住宅ローンを完済する場合は、繰上返済手数料や抵当権抹消のために司法書士への報酬がかかりますが、これらは経費として計上できません。

従って、経費として計上できる費用はくまなくピックアップし、経費として計上できない費用については、できるだけ費用を抑えると損をしに売却が目指せます。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!