不動産売却の基礎知識

新築・築浅物件とは|売却を成功させるためのポイントを紹介

ようやく手に入れた新築物件でも、所有者の事情によってすぐに売却しなければならないケースもあります。また、突然の人事異動などで入居からわずか数年での転居を余儀なくされるケースもあり、不動産市場には築浅物件が少なからず出回っています。

どのような事情であっても住宅を売却する際には手数料などの費用がかかり、場合によっては想像以上に安い価格で売却しなければならない可能性もあります。ここでは、新築や築浅物件の定義を示し、後悔しない売却のポイントについて解説していきます。

勘違いしやすい新築の定義

竣工して数年経っていても未入居の物件であれば、「新築」と定義されるとイメージしがちですが、不動産業界における「新築」の定義とは、竣工して1年未満で、かつ未入居であることとされています。

従って、未入居であっても竣工から1年経つと「新築」には該当せず、「築浅物件」と見なされます。また、竣工して1年未満であっても1日でも入居した形跡がある場合も「新築」には該当しません。

一方で、未入居でも竣工して1年経った物件は「築浅物件」となりますが、築浅物件の定義は明確にされておらず、入居の有無に関わらず築3年未満の物件が「築浅物件」と見なされるのが一般的です。

1日でも入居者がいた場合は築浅物件として売り出されますが、購入希望者の中には、購入後にすぐ売却に至った理由が気になる人が多いと言われています。

代表的な理由としては、転勤や離婚、失業などで住宅ローンの返済が見込めなくなったなどが挙げられます。ただし、重大な近隣トラブルや騒音問題など、入居前には把握しきれなかった理由で売却に至ったケースもあります。

新築・築浅物件を売却するメリット

一般的な中古物件に比べると、新築や築浅物件の売り出し件数は少ないのが現状です。しかし、竣工後すぐに売り出された新築よりも価格がお手頃なため、ニーズが高い傾向にあります。

比較的早く売却できる

多くの人は、できるだけ新しく綺麗な住宅に住みたいと望むことでしょう。また、ほとんど新築の状態で価格がお手頃であれば、購入したいと考える人が多い傾向にあります。

新築の状態でも売れない期間が長ければ価格を下げざるを得ず、新築や築浅物件へのニーズは高いため、建築後数年しか経っていない家は売れやすいと言えるでしょう。

ただし、重大な欠陥を隠したまま売却した場合は、売却後に瑕疵(かし)担保責任に問われるリスクがあり、買主と売主の双方にとってデメリットでしかないため、欠陥がある場合は正直に全て伝えるようにしましょう。

住宅設備が新しいので価値が上がる

ガスよりも給湯や暖房のコストが安く、直火を使用しないことから幼い子供やシニアにとって安全性が高いとして、オール電化住宅が普及しています。新築や築浅物件では、オール電化のような最新設備が整っているため、人気が高い傾向にあります。

また、住宅の売却時には、利用していたエアコンや照明などは撤去するのが一般的です。一方で築浅物件の場合、まだ使用できる設備が多いため、そのままにしておくと価値が上がります

築年数が古い物件を購入すると、購入後すぐにメンテナンスが必要になる場合も多いため、しばらくメンテナンスが不要な新しい設備が揃った築浅物件は維持管理費の面でも安心です。

保証面で安心してもらえる

DIYを趣味にする人が増えたことで、お得に中古物件を購入し、自分好みの住空間にリフォームしたいと考える人が増えています。しかし、新築や築浅物件であればリフォームの必要性がなく、設備などに対する保証期間も十分だと言えるでしょう。

重大な欠陥が見つかった場合は、売主を瑕疵(かし)担保責任に問える権利がありますが、裁判まで発展すると時間も労力もかかります。しかし、2009年10月に住宅瑕疵(かし)担保履行法が施行されたため、万が一の欠陥を保険でカバーしてもらうことができます。

築5年以内の物件であれば、仮にデベロッパーが倒産していた場合でも保険が適用されるため、買主に安心感を与えられます。

場合によっては税金の控除が受けられる

時代と共に人々が住宅に求めるものが変化し、現在は省エネでバリアフリー、耐震性などが求められるようになりました。このような状況の中、国土交通省では長く安心して暮らすことを目的とした「長期優良住宅認定制度」を設けています。

この制度では、独自に設けた一定の基準をクリアした住宅であれば、住宅ローン控除が10年間受けられるというものです。基準には、バリアフリー、省エネルギー性、劣化対策などが盛り込まれており、住宅ローンの控除額が10年間で最大500万円受けられます。

新築・築浅物件を売却するデメリット

新築や築浅物件を売却する場合、住宅ローンの残債が気になる人も多いのではないでしょうか。新築に近い状態であっても購入時と同程度の金額では売却できない可能性もあるため、資金面を考慮した上での売却をおすすめします。

築浅の場合は思うほど高く売却できない可能性がある

戸建てやマンションなどの住宅は、築年数に応じて資産価値が下落するのが一般的です。新築マンションの場合、「新築」であることが最大の魅力であることから、入居した時点での資産価値は2割程度下落すると言われています。

築5年ではさらに下落するため、築浅物件であっても想像するほど高値で売却できない可能性があります。従って、売却した金額を元手に新たな住宅を購入しようと考えていても、売却金額を全て住宅ローンの残債に充てる形、あるいは自己資金を完済に充てなければならない可能性もあります。

ただし、東京オリンピックなどの大イベントが開催予定の地域や再開発が予定されている地域では、地価の上昇によって不動産価格も上昇するため、購入時よりも高い価格で売却できる場合もあります。

資金繰りが大変

不動産を売却する際には売却金額だけを受け取れる訳ではなく、住宅ローンの残債に充てなければならなかったり、手数料や税金が発生します。築浅物件を売却する場合、新築時よりも価格が下がるため、どのように資金繰りするかがポイントになります。

不動産会社に仲介を依頼する場合は売却金額に応じた仲介手数料、売買契約書に貼り付ける印紙税などの税金、転居先への引越し費用などさまざまな費用が必要です。

また、売却には住宅ローンの完済が前提となるため、金銭面や日程において計画性を持って進めていくことが大切です。ただし、住み替えローンも利用できるため、転居先の購入費用に住宅ローンの残債を上乗せするという選択肢もあります。

譲渡所得にかかる税率が高い

不動産を売却した際に利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税の税率は所有期間に応じて区分されており、以下の表で示5年以下では土地転がしなどを防ぐために高い税率となっています。

区分(所有期間) 所得税 住民税 税率合計
短期譲渡所得(5年以下) 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得(5年超) 15.315% 5% 20.315%

所有期間は不動産を売却した年の1月1日を起点としており、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」と呼ばれています。

なお、所得税の税率には、2011年に起こった東日本大震災の復興支援を目的とした「復興特別所得税」2.1%が上乗せされています。復興特別所得税は、平成25年1月1日から平成49年12月31日まで期間での課税が予定されています。

新築・築浅物件の売却を後悔しないためのポイント

新築や築浅物件を売却する場合、これから長期間に渡って返済していく予定だった住宅ローンの完成を目指すため、資金繰りが悩みの種になるかもしれません。また、相場よりも安い価格で売却してしまうなど、後悔しないために以下のようなポイントを押さえておきましょう。

仲介で売却する

土地や住宅などの不動産を売却する場合、主に2つの方法から選択できます。不動産会社に仲介を依頼して売却する方法が一般的な一方で、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。

不動産会社に買い取ってもらう場合、自分に都合の良いタイミングで売却でき、すぐに売却金額が支払われるため、スピーディーに売却できることがメリットです。

ただし、一般的な売却に比べると相場の70%から80%程度での取り引きになるため、高値での売却は目指せません。築浅物件は、一般的に売り出せばそれなりの価格で売却できることが予測できます。

そのため、どんなに早く売却しなくてはいけない状況でも、安値で売却するのは損だと言えます。特に築浅物件では不動産会社による買い取りは損になりやすいため、できるだけ一般的な方法で売却することをおすすめします。

不動産の査定は必ず複数の不動産会社に依頼する

物件種別に関わらず、不動産の売却を成功させるためには不動産会社選びは重要です。また、査定額の相場を知るためにも最初から1社に絞るのではなく、複数の不動産会社に査定を依頼すると良いでしょう。

不動産会社選びは折り込み広告や住宅情報誌も参考にできますが、一括査定サイトの利用がおすすめです。一括査定サイトは、一度に複数社に査定を依頼できることが特徴です。

ただし、提示された査定額がそのまま売却額にはならないため、金額だけで不動産会社を決めないようにしましょう。多くの一括査定サイトでは、全国各地に及ぶ非常に多くの不動産会社と提携しているため、大手から地域密着型まで選択肢が豊富です。

業者とのやり取りは主にメールや電話で行うため、対面でのやり取りが苦手な人でも安心です。なお、一括査定サイトは無料で利用できるため、おすすめです。

売却する理由をはっきりさせておく

住宅を売却する際の理由は所有者によってさまざまですが、築浅物件が売りに出されている場合、「なぜこんな築浅で手放すのだろう」と思われがちです。

人事異動による急な転勤や急遽両親との同居が必要になるなど、仕方ない事情が売却する理由とされる一方で、離婚や事故などのマイナスイメージに繋がる理由もあるのが現状です。

買主に安心してもらうためには、売却の理由を隠すことなく率直に伝えることが大切です。特に事故物件の場合は理由を知らせることが義務となっているため、隠すことはできません。

セールスポイントは積極的にアピール

不動産会社に仲介を依頼して売却する場合、物件の売り出しをスタートすると購入希望者の内覧を受け入れます。内覧の際に物件のセールスポイントをアピールすると、好印象を与えて売買契約に繋がりやすくなります

例えば、新築や築浅物件の場合、3年または5年間は固定資産税が半額になる軽減措置があります。この制度は平成30年度の税制改正で2年間延長されることが決まっており、平成32年3月31日までに新築された戸建てであれば3年間半額、マンションであれば5年間半額になります。

太陽光発電システムや電動シャッターなど、他の物件にはない設備をアピールすることが大切です。

新築・築浅物件を売却した時にかかる税金

新築や築浅物件を売却する際には、印紙税や登録免許税がかかります。また、売却時に利益が出た場合には譲渡所得税がかかり、売却の翌年に確定申告が必要です。

印紙税(必ずかかる)

不動産の売買においては、買主と売主それぞれ1通ずつの売買契約書を取り交わします。売買契約書には売却金額に応じた印紙税が課せられ、規定された税率の印紙を貼りつけて納税します。

度重なる消費税率の増税による消費者の税負担を軽減するために、一部の税金には軽減措置が設けられています。印紙税は、平成32年3月31日までの期間に限って軽減措置が適用されます。

登録免許税(必ずかかる)

登録免許税とは特許の指定や免許の技能証明に課せられる税金のことで、不動産登記の際にも課せられます。不動産の手続きにおいては、所有者の名義変更や住宅ローンの抵当権抹消登記に必要な税金となります。

手続きによって税率が異なり、名義変更には不動産の価額の1,000分の20、抵当権抹消には1筆あたり1,000円となっています。なお、登記の手続きを司法書士に代行する場合は、これらの税金とは別に司法書士への報酬を支払わなければなりません。

売却益が出た場合は譲渡所得税

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税は住民税と所得税から構成されており、平成25年1月1日から25年間は復興特別所得税も支払います。これらの税率は、不動産の所有期間によって異なります。

区分   (所有期間) 所得税 住民税 税率合計
短期譲渡所得(5年以下) 30.63%(復興特別所得税2.1%を含む) 9% 39.63%
長期譲渡所得(5年超) 15.315%(復興特別所得税2.1%を含む) 5% 20.315%

新築や築浅物件は所有期間5年以下の「短期譲渡所得」に該当するため、39.63%と税率が高くなります。売却前に譲渡所得の税率が知りたい場合は、一括査定サイトで提示された査定額を以下の計算式に当てはめるとおおよその税率がわかります。

課税譲渡所得の算出方法

まず、売却益にあたる譲渡所得を算出します。売却益は売却金額そのままではなく、以下の計算式の「譲渡価格」にあたる売却金額から取得費と売却費用を差し引いて求めます。

・譲渡所得(売却益)=譲渡価格(売却金額)-「取得費+売却費用」 

取得費は物件を購入した際にかかった費用を指しており、売却費用は売却する際にかかった費用を指しています。具体的には、印紙税などの税金や仲介手数料などが挙げられます。

次に、税額のベースとなる課税譲渡所得を算出します。課税譲渡所得は、以下のように上記の計算式で求めた譲渡所得から特別控除を差し引いて求めます。

・課税譲渡所得=譲渡所得(売却益)-特別控除

特別控除とは、売却益が3,000万円までの場合に控除される「3,000万円の特別控除」をはじめとした特例を指しています。

税額の出し方

短期譲渡所得と長期譲渡所得では税率が異なり、課税譲渡所得で算出した金額に所得税や住民税を乗じて求めます。

・長期譲渡:税額=課税所得金額×15%(住民税5%)
・短期譲渡:税額=課税所得金額×30%(住民税9%)

譲渡所得税の算出方法について詳しく知りたい人は、以下のサイトにアクセスしてみてください。

参考:不動産を売るとかかる譲渡所得税をざっくり計算する方法

売却益が出たら確定申告を行う

物件種別に関わらず、不動産を売却して利益が出た場合は、売却の翌年に確定申告をして税金を納めなければなりません。なお、売却して損失が出る場合は、基本的には確定申告は不要です。

しかし、損失が出ても控除や還付金が受けられる可能性があるため、確定申告することをおすすめします。確定申告とは、1月1日から年末までの1年間に得た所得を申告することで、正確な税金を納税する手続きのことです。

確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までと決まっており、申告が必要であるにも関わらず手続きしなかった場合は、延滞税などの罰則が設けられています。

参考:不動産を売却したときの「確定申告」9つのポイントとは

まずは一括査定サイトを利用して売却成功につなげよう

不動産の売却を成功させるためには、まずは売却を検討している不動産の査定額をしることが大切です。査定額は不動産会社によって異なるため、一括査定サイトなどを利用して複数社に査定を依頼することをおすすめします。

不動産会社には新築や築浅物件を数多く取り扱っている業者もあるため、業者の公式サイトや折り込み広告などを参考にして、新築や築浅物件に強い業者を選びましょう。

また、一括査定サイトについて詳しく知りたい・比較したいという場合は下記の記事を参考にしてください。

参考:【2019年最新】不動産一括査定50サイトをジャンル別に比較!